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第四話 炎の魔戦機乗り

 それから一週間後。

 ギルドにはこのあたりでは見たことのない人達が多数押し寄せていた。


「なんだか最近、他所の人がいっぱい来ますね」


 ベテランの冒険者に話しかけた。


「ああ、皆1000機倒した魔戦機の件でこちらに来ているらしい」


「へぇ」


「有名冒険者が多数来ているぞ」


「アイツは氷神リース、それから後ろにいるのは不動王――」


 メジャーな冒険者を教えてくれるベテランさん。勉強になる。


「冒険者だけじゃない、各国から情報を得ようと、この街に来ているようだ」


 結構大事になっているな。しばらくサイファーを出さないほうが良さそうだ。


「他の国からもですか。国といえばデソウはどうなりそうなんですかね」


「もうじき攻められるらしい」


「なんと」


「急な宣戦布告で各国を混乱させたとかなんとかって話だが、結局のところ力が弱まったから攻め滅ぼせると踏んだのだろう」


「噂ではデソウはたいしたことがないという結論を出したと聞く」


「破壊された1000機のサンプルを各国が持ち帰り調べたんじゃないかな。それで弱い機体が多いと」


「となると他の国はもっと強い機体を所有しているってことですかね」


「そういうことになるかな」


「それでもまだ600機ほど残っているらしいから油断はできないようだが」


 それから一ヶ月ほど。


「ようやくお金がたまった!」


 魔戦機パーツ屋へ。


「いらっしゃい」


「ボディパーツと脚パーツを鉄ベースに」


 ボディパーツには魔核が入っている。そして銅から鉄にすることで魔力上限が上がる。簡単に言うと容量の多いバッテリーにかえたってところかな。レベルが高く、魔力を大量に持っていても、銅ではその力を発揮できない。逆に機体の性能が良くてもレベルが低ければその機体を使いこなすことはできない。あ、お金の力を使うのならまた話は別になるけど。


「いくつか種類があるがどれにする?」


「スタンダードタイプで」


「了解。えーっと、冒険者の方ね。出張サービスがあるから後はウチに任せてくれればいい」


「はい」


 ギルドへ。


「デソウはあっという間に滅んじゃいましたね」


「身から出た錆ってやつか」


「そうそう、買っちゃいましたよ」


「鉄か。おめっとー」


「はやいな」


「とにかくレベル上げと金策をしてましたから」


「ん? あの女の子は」


「今度はココだ」


 ベテラン冒険者と談笑していると一人の女の子がギルドに入ってきた。


「燃えるような赤髪。暴炎のファティアか」


「彼女も魔戦機乗りですか」


「そうだ。しかも強いぞ。その強さは最低でも上位10体の中に入っているだろうと言われている」


「ほぉ」


「それだけじゃない。彼女はリンデという国の王女様でな」


「子供の頃から英才教育を施されている。戦いのな。おかげで18歳でレベル60、上限に到達している」


「それは強いですねぇ」


 ん? レベル60で上限? 何のことかな。後でアイに聞いてみよう。


「そして戦いが好きらしい。リンデの王ジャトも戦いが好き、親子揃ってバトルマニアって話だ」


「彼女もやっぱり例の機体を探しに来たのかな」


「多分そうだろうな」


 この一ヶ月全くバレずに過ごしてきた。今回もまたバレずにいけるだろう。


「えっと」


 彼女はポケットから手紙を取り出し読み始めた。


「果たし状! レフトレスさん、世界最強を決めませんか!? 日時は◯日✕時△分、カイデ平原で待ってます。追伸なお、来なかった場合は私が世界最強になります!」


 レフトレスってサイファーのことかな? いや、それより。


「よし! 次!」


 彼女はギルドを出ていった。


「彼女、さっき公園でも同じこと言ってたな」


「なるほど、あぶり出し作戦か」


「ハハハ、豪快な子だ。しかしあれじゃあ、引っかかるやつはいねえよな」


「そ、そうですね」


 ギルドを出て街をブラブラと。


(アイ、さっきの話聞いてた?)


(もちろんです。罠ですね。しかしまっすぐすぎます。アレでは)


(ハ、ハハ)


 後に彼女はこの国の全ての街や村で果たし状を読み上げたことを知った。

 それから数日後の◯日✕時△分、カイデ平原。


「帰りましょうよー。ナーラ様」


「ファティアが面白いことしてるのよ? 見ないと」


「あんな作戦で来るわけないじゃないですか。他の国の諜報員とか誰もいませんよ?」


「確かに私達だけね」


「今までもあの国、ファティマ様にはさんざん振り回されてきたじゃないですか」


「ナーラー! レフトレスが来ても手を出さないでね!」


「わかってる」


「全く来るわけ」


「あはは、まさか。来ちゃったようね」


「は!?」


「どうやら彼? はおもしろい人のようね。中身がどうなっているのか知らないけど」

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