表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/33

第一話 急襲

 VRMMO、『魔戦機鋼ウィズライズ』。

 人類は「魔法工学」という技術を発達させ、人間をこぶし大まで圧縮する技術を得る、その後、紆余曲折の末にそれをエネルギー源とした人と同じくらいのサイズのロボットが完成。その安全性の高さから次第に騎士や冒険者が使うようになる。

 プレイヤーはそのロボット「魔戦機」に乗り、この世界を生き抜いていく。


 世界観は中世ファンタジーで人と同サイズのロボが戦うという一風変わった仕様のこのゲーム、全世界で大人気に。俺はこのゲームの対戦で勝ち続け、常にトップに居続けた。


「こっちへ来てもう一週間か」


「どうしたロイ?」


 俺の名前は古屋炉井。19歳、男。


「いや、なんでも」


 とある日、ゲームを始めようとVRゴーグルをかぶるといつもと違う場所に飛ばされていることに気づいた。調べたところ、俺が『魔戦機鋼ウィズライズ』の世界に入ってしまっていることがわかった。


(レベルが1になってしまったのは少しショックだったな。まあ、また最初からこの世界を楽しめると思えばいいけど)


「よし、討伐依頼を受けた」


 今俺はギルドにいる。この世界で冒険者となり、魔戦機に乗りお金を稼いでいる。


「パーティを組むぞ。全員で5人だな」


 魔戦機に乗る前に魔法でパーティ契約をする。こうすることで仲間のHP、状態異常等がわかるようになる。


 水晶のような宝石が埋め込まれた右手を前に出す。他4人も。パーティのリーダーが魔法で呪文を唱える。一瞬水晶が光った。


「5人パーティ成立っと。じゃあ魔戦機に乗り込むとしよう」


 パーティは3~5人が基本。味方にかける全体スキル、魔法が5人までだからだ。


「ガチャン」


 ロッカーよりちょっと大きめな場所に入る。そのロッカーの前には俺が使っている魔戦機がある。そう、ここから魔戦機に乗り込むことが出来る。

 乗り込むというか圧縮されるんだがな。「魔核」と呼ばれるこぶし大の物体に。


「全裸になるから脱いでおかないとな」


 脱がなくても身体だけ吸い込まれるのだが、当然帰ってきた時は散乱した場所に戻ることになる。

 道具袋も置いていく。


「この世界に来た時、この石ころが一つはいっていたけど結局なんなのかわからなかったな」


 魔戦機へ。


「コックピットモードっと」


 視点はロボット視点とコックピット視点の二つ。ロボット視点は機体によって変わることがある。今俺が乗っている機体は人間視点、FPSでよくある一人称視点。

 コックピットは色々ある。俺は用意されてあるやつを適当に選んだ。


 視野の広さは頭のパーツ、もしくは魔戦機の性能に寄る。俺の魔戦機は人間と同程度の視野角。360°、全方位の視野を持つことも可能だがとんでもなく高い。手に入れられるのはまだまだ先になるだろう。


 5人全員集合。もちろん全員魔戦機。

 盾と剣、剣の二刀流、杖等各自いろいろな装備を。他ゲーでよくある「クラス」があり、スキルや魔法もある。それによって武器を選ぶ感じかな。


「はーい、討伐に出発しまーす」


 現地へ向かう。移動は徒歩専用のバッテリーを使う。その間は半分自動。常に進み続ける。停止や方向転換は手動で。こうすることでバッテリーの持ちを良くしている、とのこと。


「あー、はやく鉄ベースの機体に乗りたい」


「銅は色々としょぼいからな」


 機体のベース金属は色々ある。今俺や皆が乗っている機体は銅。一番弱いベース金属だ。


「んでも鉄は高いからな」


「その分性能は段違いだがな」


 強さ順としては銅、鉄、銀となる。他にもオリハルコンなどベース金属は様々な種類が。


「到着。早速狩りを始めようか」


「了解」


 戦闘時には自分の魔力を使う。跳ねたり走ったり、武器を振り回したりするだけでも魔力を消費する。魔力が高ければ高いほど強い魔法、強いスキルを使うことが出来る。ただ、ベース金属によって出力上限があるけど。

 戦術はよくある釣り戦術。魔物をちょっとずつ誘い込んで撃破する。


「魔獣3名様、お連れしました」


 俺は手数重視のアタッカー、二刀流。仲間が釣ってきた魔獣を力の限りぶっ倒す。


「はーい、追加でーす」


「ガコン」


「おっと」


 仲間が機体にダメージを負う。モニターを見ると右腕部のHPが減っている。HPは各パーツごとに設定されており、0になると大破、壊れて修復不可能となる。


「まかせて」


「Sスペアショット」


「ブシュン」


 後衛の一人が銃で仲間を撃つ。


「サンキュ」


 アイテムを撃ち出して右腕部のHPを回復させた。機体の金属は形状記憶合金のようになっていて特殊な液体を浴びせることで機体が治る、とかなんとか。ゲームではそんな説明だったな。魔法にも似たようなものがあり、こちらもHPを回復できる。


「ファイアショット」


 杖から魔法。魔法は大量の魔力を使う。銃タイプで魔法を放つことが出来るものもある。


「十字連撃」


 スキルを使った。これも魔力を使う。


「ザシュ!」


「お、レベルアップ」


 何匹か倒したところでレベルアップ。現在4。

 その後数十分ほど戦い街へ帰った。


「おーい、はやくしろー!」


「走れ 走れー!」


 街は異様にざわついていた。


「どうしたんだ?」


「知らないのか!? 隣国デソウがこの国、アレイに宣戦布告した。それで今、デソウの兵団がこの街に向かっているって話だ。その数は1000以上と聞いた」


「なんだって!?」 


「そんなにいるんじゃ守りようがないな」


「そういうことだ」


「みんな、早くこの街から逃げよう」


 ギルドに戻り魔戦機から降りた。ロッカーの中で着替えを。


「はぁ、大変なことになったな。早く逃げないと」


(……、……様)


「ん?」


 どこからか声が聞こえる。いや、声というか脳に直接語りかけているような。


(…イ様、ロイ様)


「この声は、ナビゲーターのアイか?」


(ようやく声が届いたようですね。それでは石を)


 石? ああ、こちらの世界に一緒に来たアレか。


「コレは!?」


 ただの石だった物が金属のような物に変化していた。コイツはもしや。


(あなたの専用機、「サイファー」の魔核です。そして)


(そのサイファーを呼び出せます)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ゆるっとした感じでゲームよりの世界観が書かれてますね。 [一言] 読まれ難い不遇ジャンルのロボ物小説ですが、頑張って筆を走らせていきましょう('ω')ノ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ