異世界の本と草のモンスター
「どういう意味か分かっただろ? 転生者の常識はここでは通用しない。」
そう言いながら部屋の左端の本棚から一冊本を出してきた。
あの本棚は(グッさんが)作ったとしてあの本はどこで拾ったんだ?
グッさんはその本をポイっと投げてきた。
「読んでみろ。」
実は結構読書が好きだったりするのでありがたい。
むかしむかしあるところにひとりのじゃあくなまおうがいました。
まおうはもんすたーたちをしたがえてにんげんたちをこうげきしました。
しかしゆうしゃがあらわれてまおうをたおしてくれました。
そしてゆうしゃはまおうがふっかつしないようにありとあらゆるもんすたーをたおすようにいいました。
そしてすべてのくにがきょうりょくしてほとんどすべてのもんすたーをたおしましたとさ。
めでたしめでたし。
何で全部ひらがななの? 子供でもカタカナくらい読めるでしょ。教育遅れてんのか!
いや、そもそもなんでひらがなカタカナとかいう概念がこの世界にあるんだよ。つうかグッさんの声も日本語じゃねぇか! 異世界言語は無いのかよ!
後、何? 全てのモンスターを従えたって、魔王どんだけ強いんだよ。勇者も絶対チート付きだよね。くそったれ。
しかも勇者最後無茶ぶり残してどこ行ったんだよ!?
勇者ならお前が全てのモンスター倒せよぉ!
さらにほとんど全てのモンスターって何よ?
全てのモンスターを倒したってスケルトンもナイトもグッさんもいるじゃん!
倒しきれてないじゃねぇかぁ!
「解説をしてやろう。」
「頼みます先生!」
「まず、ほぼ全てのモンスターと書いてあるが、残ったのがスライム、ゴブリン、スケルトンの三種類なんだ。」
そ、そうなのか。まさか異世界の三大雑魚モンスターが生き残るとは。
まぁ人によって見方は違うからどうかは知んないけど。
「なぁグッさん。俺がいた世界ではこの三匹は雑魚モンスターってことになってるんだけど。」
「それならここの本を読んでみろ。」
とグッさんは草で本棚の一番上を指した。
『世界!ヤバいモンスター集』
スライム SSランク
物理無効と全属性耐性を持つヤバいモンスターの代表格。
なんと言っても魔王討伐伝説の時に倒しきることの出来なかったモンスターとして有名。必ず物理無効と全属性耐性を持っている事と、個体毎にスキルが違うので注意が必要。また、このモンスターは時間経過でランクが上がっていくモンスターである。見つけたらなんとしてでもすぐに倒す事。それが出来なくても、モンスターギルドに連絡を。
ゴブリン Aランク
魔王討伐伝説の時に倒しきることの出来なかったモンスターの中にでは一番ランクが低いがその分一番個体数が多いことで有名。
またスライムのように大きい訳でも無い為、発見しづらい。力も強く知能も高いので注意が必要。
またゴブリンには個体毎のランクがあるようで、もっとも強いゴブリンキングはSSランクである。
またキングがいる場合群れができる可能性が非常に高い。
見つけたらすぐにモンスターギルドに連絡を。
スケルトン Sランク
アンデット領を住みかとするモンスターで、リーダー格のスケルトンにはトップクラスの知能があるとされている。
非常に残虐かつ好戦的かつ個体ごとの多様性があるモンスター。
魔王討伐伝説の時に倒しきることの出来なかったモンスターのひとつにして、昔は亜人として扱われていた時期もあった。
アンデット領外で見つけたらすぐにモンスターギルドに連絡を。
また希少種は可能な限り生け捕りにせよ。
いやなにこれ。まずタイトルよ。
後モンスターギルドってなんだよ。それで、スケルトンの希少種ってなに? 一番気になるんだけど。つうかスケルトンってSランクなのかよ道理であんなに強いはずだわ。
「グッさん、スケルトンの希少種ってなに?」
「骨じゃなくて、光沢のある鉄でできたスケルトンだ。その身は希少な金属になんだとさ。まぁ俺は見たこと無いけどな。」
なるほど。だから生け捕りなのか。
さてこっちも聞いて見よう。
「この、モンスターギルドってなんだ?」
「これはモンスター専門のギルドでモンスターの研究をしている。後、モンスターテイマーの育成なんかもしているな。」
俺はタマゴも持ってるし、この世界ではモンスターテイマーになろうかな。ギルドもあるみたいだし、そこに行くのを目標にしよう。
「後、リーダー格のスケルトンにはトップクラスの知能があるって書いてあるけど、モンスターに知能ってあるんだね。」
「モンスターの知能の有無は種類によるな。普通のモンスターは喋れないが、種類によっては喋れるやつもいるらしいぞ。ただ、テイムされたモンスターは種類を問わず、テイマーと意識疎通が出来るらしい。それは言語によるものだったり、感覚によるものだったりするがな。」
なるほど。別に全てのモンスターが知能を持って喋れる訳じゃないんだな。
「グッさんが知能を持って喋れるモンスターで良かったぜ。そうじゃなきゃ今頃俺は死んでたからな。」
「俺はお化け草って種類のモンスターだが、他のお化け草は喋るどころか知能の欠片も持ってないぞ。」
「え!? じゃあなんでグッさんは喋れてるの!?」
「知らん。」
スキルについて
モンスターは複数スキルを持っているものもいますが、人間は一人一つと決まっています。例外もあります。
またスキルには階級があります。
低級→中級→上級
となっています。
階級が低いほど応用が効くようになっています。
例えば、
水魔法(低級)→水球(中級)→生活水魔法(上級)
のような感じです。