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冒険の準備

 気がついたら見慣れない空間にいた。


 ここはどこだ!? 拉致か! 監禁か!

 いや、とりあえず落ち着け俺。

 状況把握、状況把握っと。素数を数えるか? じゃあ二! 二は素数じゃねぇ! いや素数だろ! 知るか!


 ふぅ、とりあえず落ち着いた。



 俺が居るのは知らない空間。


 いや空間というより部屋か? それにしてもここは暑いなぁ。なんだここ。クーラーくらいないのか。


 それにしても、ここに来る前に見た魔方陣......。


 異世界転移系のラノベでもあんな描写があったな。


 女神に呼ばれたのか? 等と妄想を膨らましていると、部屋に鏡がある事に気が付いた。


「おっ、鏡あるじゃん。」


 自分の服装とか確認しようと鏡の前に立つ。


 そこには、赤髪で一般的な高校生くらいの身長をしたガキンチョが!


「って誰だよ! 俺かこれ!」


 おいおいおいおいおいおいおいおい、俺の黒髪と高身長はどこ行ったよ?

 身長十二センチ返せこらぁ。目線低い事に気が付かなかったぞおい。


 それにしても、なんか貧相な服だなぁ。ただの布切れじゃんこれ。まぁ別にいいけど。それより身長どうにかならないの? 身長。




 いつの間にか変化していた自分の肉体に困惑していたら、突然声を掛けられた。


「オーウ、アナータがツギノテンセイシャデースネ。」


 現れたのは金髪で異国風の顔付きと服装をした男だった。


 誰だこいつ、異世界人か? しかも急に現れやがって。どこから出てきたんだよ。日本語カタコトだしよぉ。


「次のってどういうことだ? 転生者ってどういうことだ?」


 次のってことは俺より前がいるってことだ。待てよ? 集団転生ってことか? 転移じゃないのか? あの予言者の予言は当たったのか? 外れたのか?


「オーウ、シツモンはヒトツズツシテモラエルトタスカリマース。」


 それはそうだね。


「オーウ、マズ、アナータはシューダンテンセイにヨッテココニキマシタ。」


 なるほど、つまり一人ではないということかぁ。


「シカーシ、テンセイとイッテモカラダがカワッタダケデース。ワカリヤスクイエバヒョーイデース。チ・ナ・ミ・ニ、イマノアナタノカラダノネンレイハジューヨンサイカラジューロクサイクライデース。」


 なるへそ。うざいけどちゃんと理解したぞ。今の俺は中学生なのか。てことは身長はまだまだ伸びるな。納得、納得。



 ってなるかーい!!



 いや信じられないよ! 異世界転移なんて! いや転生かもしれないけどさ。

 それに百歩譲って、ここが異世界だったとしてだ。


「お前が俺を異世界に呼んだってことかよ? だったら、さっさと地球に返してくれ!」


 ホント、はた迷惑な!


「ノーウ、ヨンダノハワターシでハアリマセーン。トイウカ、カッテニテンセイシャがワターシのイエニハイッテキテルダケデース。」


 あ、そうなんすね。すいません。


「シカーシ、ミゴロシにスルワケニモイカナイノデ、シカタナクココデテンセイシャにショキソウビをプレゼントシテイルノデース。」


 めっちゃ聖人でした。


「ソシーテアナータはココでワターシのホドコシをウケテイセカイにタビダッテイキマース。」



 施し? 異世界転移転生の施しとはつまりチート能力! ほとんどの主人公はそれを駆使して異世界チーレムを堪能している! 何よりこの危険な異世界で死なずに済む!


「つ、つまり、俗に言うあの、チートをもらえるんだよな?」


 恐る恐る聞いてみる。


「イイエ、アナータガタがイウチートナルモノはアゲレマセーン。」


 な......んだ......と。このままじゃすぐに死んじゃうじゃないか!


「チョットコッチにキテクダサーイ。」


 なんだ、なんだ?


「イマカラアナタニスキルをアタエマース、コノママではスグーニヤラレーテシマイマース。アナタ、タタカエナイデショー(笑)」


 この野郎うざいな。その長い鼻ヘシ折ってやろうか?


 しかしスキルをもらえるのはありがたい。謎の異世界人の言う通りこのままじゃ戦えないからな。もしかしたらそのスキルで無双できるかも知れないしな。


「で、早くスキルをもらえないか?」


「オーウ、アセッテハイケマセーン。アナタのスキルを決めなくてはイケマセーン。」


 スキルを決める?どういう事だ?


「何かスキルを決める道具みたいなのがあるのか?」


 あるとしたら石板か何かだろうな。いやいや、そんな古臭くて原始的な物じゃないだろう。やっぱり水晶? あーでも、謎の機械とかも良いよなぁ。やっぱりこういうのはミステリアスじゃないとな!




「コレデス」


「サイコロじゃねーか!!」



 謎の異世界人が戸棚から取り出したのはでかいサイコロ。これでスキルを決めるのか? ミステリアスのミの字もねぇよ。つーか、コレってスキル全六種類なの? 絶対違うよね。えーこれ絶対チートとか入ってないやつじゃんかー。


「ホウーラ。ハヤクコロガシテクダサーイ。」


 仕方がないので転がしてみる。




 とりゃ!



 コロコロ、コロンとサイコロは転がった。


 なんか火の玉のマークに止まったぞ?


「オーウ、アナータのスキルは炎球(ファイヤボール)ですね。」


「いやそのまんまじゃねーか!!」



 はっ! しまった! また突っ込みを入れてしまった。

 そんな事気にした様子はなく謎の異世界人は続ける。



「ツギーハ、アナータに武器をアタエマース。ソノナモ、ウッドソードデス。」


 おぉ、一応期待してみよう。

 名前からして木属性とかそんな感じの剣。


 そう言って、奥の方をゴソゴソと漁って何か持ってきた。




「コレです。」


「木刀じゃねーか!!」


 はっ! また無意識に突っ込みを入れてしまった。とにかく手に取ってみるも、まさにザ・木刀だ。いやいやいやいや、こんなんじゃ戦えないよ。どんな凄い剣術使いも凶暴なモンスターの餌食だよ。


「イヤナラカエシテクダサーイ。」


「あの、いや、貰います......。」


 怒られてしまった......。

 まだ名前も知らないのに......。



「ツギーハ、モンスターのタマーゴです。」


 はい!? 今なんとおっしゃった? モンスターのタマーゴだと!

 つまりモンスターが孵る=寂しい異世界ライフ回避!


「ふっ、勝った!」


 おっとしまった声が漏れてしまった。

 美少女系をお願いしやすよ旦那!


 いやー別に彼女いない歴=年齢とかそういうわけじゃ無いんだけどね!

 異世界に美少女は付き物だよね!



「デハ、コノナカカラエランデクダサーイ」


 四つのタマゴが並んでいた。左から順に見てみよう。


 赤いタマゴ。触ってみると熱かったので、パス。

 濃い緑色のタマゴ。なんか雰囲気がやだ。パス。

 紫色で羽根のはえたタマゴ。いや絶対悪魔が生まれるやつやんけ。パス。

 水色と白の混じったタマゴ。触ってみるとひんやりキモチー。こいつにしよう。



「こいつにします!」


 清楚系が生まれそう。wkwk。


「オーウ、デハ、契約をシテクダサーイ。念じればデキルはずでーす。」



 念じればデキルはずって......。

 ためしに目をつむってタマゴに手を当て契約! と念じる。




 ◁契約が完了しました▷



 おぉ異世界。なんかわからんけど出来た。意外と出来るもんなんだな。でも今の声、なんか神秘的な感じじゃないね。あれ、なんか腕に痺れが。


「チナーミニ、契約をシナーイトイシソツウが出来ないので注意してクダサーイ。」


 あーい。とりあえず今はモンスターのタマゴをもらえてハッピーなりぃ。


「では、アッチ側にオクリマースヨ。」




「ちょっと待ってくれよ異世界人、名前なんて言うんだ?」


 これだけは聞いておきたいと思った。ある意味恩人だからな。


「ワターシは戦さんと呼ばれてイマース。以後オミシリオキヲ~。」


「そうか。俺は平田 衣陽っていうしがないニートさ☆ じゃあな戦さん。」



 また会えるといいなと思いながら、俺は戦さんが出した魔方陣によってアッチ側に送られたのだった。

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