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異世界戦争  作者: Eigen
炎銃
8/15

 俺はすべてが嫌になって、この異世界にやってきた。

 まさか愛した冷夏と再会することになるとは思いもよらなかった。

 胸の中をはい回る鬱屈した感情。

 冷夏と出会えた喜び。

 冷夏は王女となってワインを飲み干してベッドに寝ている。

 俺は冷夏のベッドの隣りにそっと寄り添う。

 髪を優しくなでる。

 まだ子供みたいに見える。

 美しく人を惹きつける造形。

 俺はまだこれからもずっと冷夏を愛している。


 冷夏と会えたことはうれしかったのに、どこか俺の気分は沈んだままだ。

 この異世界が何よりも不気味に見えた。

 いったいなんだかわからないものに触れている感覚。

 冷夏と会って急に体の力が抜けたせいか、不安が増加する。

 俺が昔から抱えていたこの世界に対する不安だった。

 誰かと共有したいけれど、共有できない。

 世界はひっそりと息をしている。

 月の明かりが窓の外に見える。

 時間は死んだみたいに止まっていた。

 そう。

 その時、時間は止まっていた。

 確かに俺の失われた命が作り出した世界からもしれない。

 俺の見ている世界は夢なのかもしれない。

 そっと部屋の鏡に指を伸ばす。

 俺は胸の中で何かをつぶやいた。

 その瞬間に炎が指からほとばしる。

 鏡は瞬間的に溶けてまた固まった。

 まずいことをしたなと思った。

 俺は魔法使いにでもなったのだろうか。

 俺は部屋の窓を開けて、空に向かって人差し指を突き出す。

 今度はもっと強く念じる。

 その瞬間に指から炎がほとばしる。

 俺は爽快感を感じた。

 この世界を滅ぼすことができるかもしれない。

 破壊。

 それが俺が常に胸の内に秘めていた衝動だった。

 俺は冷夏に指を向ける。

 そしてすぐに怖くなってやめる。

 誰かのことを殺してしまうのかななんて思った。

 俺は指から出た炎を炎銃と名付けた。

 悪くないなと思った。

 俺はこのゲルマニア国で始まる戦争に急に出兵してみたくなった。

 なぜならこの世界なら何をしても許される。

 まっているのは二度目の死だけだ。

 もう恐れるものは何もなかった。

 一度死の一線を越えてしまったから。

 だからもう何も怖くなかった。

 俺は兵士たちが俺の出す炎で死んでいく夢想をする。

 夢想にふける。

 夜は続いていく。

 俺の不安はどこかへ消え去った。

 もう失うものは失った。

 後はこの与えられた奇妙な世界でどんなゲームをするかだ。

 指に向かってそっと念じる。

 指から炎が吹きあがる。

 部屋の中がまるで爆発したみたいに閃光に包まれた。

 俺は一つの着想を思いついた。

 この国の英雄になることだった。

 俺の頭はまるで麻痺したみたいに興奮していた。

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