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昼食を食べ終えた後、私は圭介と散歩をした。
「エルザ。お前はこの国を支配してどう思った?」
「別に。ここは死後の世界よ」
圭介は少し浮かれているようだった。
私はなんだか疲れていた。
会議も戦略もよくわからないし、どうでもいい。
それより穏やかに圭介と過ごしていたかった。
「私のこと礼香って呼んでよ」
「別にどっちでもいいんだけどさ」
私は正直王女という身分が嫌だった。
国を統治するとか正直いってよくわからない。
しかも圭介は腕から炎を出す魔法使いになっている。
いったいなんなんだろうと思った。
「どうしたの? 礼香?」
「別に。なんだか疲れているのよ。ここ最近」
「もうじきルクセルを占領するんだ。俺たちの国は?」
「どうして占領しなきゃいけないのよ」
「そりゃあそれが俺たちの使命だからだ。一刻も早くフィレンシアから解放しなきゃならない」
「でも代わりに私たちがそこを占領するんでしょ」
「そういうルールなのさ。世界には決まりがある。それで歴史で繰り返してきたように、人々は支配と侵略を繰り返すのさ」
「ずいぶんと嫌な世界ね」
「そうでもしないとどうにもならないのさ。現に俺達だって国民を支配しているだろ?」
「そりゃあそうだけどさ。私にはどうでもいいのよ。何もかもが」
「君の演説は凄いって評判だぜ」
「知らないわよ。そんなことは」
私はなんだかここ最近疲れていた。
「もう帰らない? ベッドで眠りたいの」
「いいよ」
私達はそう言って二人で王室に戻った。
私はベッドにうなだれる。
なんだか頭痛がした。
理由もわからない。
生きていること自体がしんどい。
こうして権力を手にしてもなんだか不安なままだ。
このまま私たちはどうなるのだろう。
そんな不安しかなかった。
「圭介」
私は彼を呼んだ。
「何?」
彼は返事をする。
「水を持ってきて」
「そんなものは召使いに頼め」
「私はあなたに持ってきてほしいの」
私は圭介が水を持ってきている間、ベッドの中に潜り込んだ。
正直、午後の今この瞬間が一番幸せだった。
でもふいに父親にレイプされたことを思い出して嫌な気分になる。
私の中にはまだ憎悪が根強く残っている。
そして私にも力があれば戦争をできるのになと思った。
どうせなら父親を殺してから自分も死ねばよかったと思った。
でもあの時はそんな発想すら思いつかなかった。
それほどショックなことだったのだ。
「水持ってきたよ」
圭介はグラスと水入った瓶を持ってきた。
「ありがとう」と私は言う。
そしてグラスに注がれた水を飲み干した。




