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ベルケルクを領土としたゲルマニア帝国は次にルクセルの奪還を狙っていた。
最高司令官と大将のカミルとの間ではいろいろな作戦が交わされ、その会議に私や政治家も交じって参加していた。
「最後に決定権を持つのは王女であるあなたです」とゲルマニア帝国の軍の最高司令官に言われた。
「そうですね」と私は返事をした。
正直、どうでもいい。
私は政治にも歴史にも関心はないが、権力は好きだった。
私の思うままに国を動かすことができる。
「フィレンシアを叩き潰しましょう」
私は言った。
「その前にフィレンシアの占領した地域をすべて奪還することが目標ですがね」
圭介はそう言った。
何を偉そうにと思う。
実権を握っているのはこの私だ。
「まぁ実際に戦うのはあなたたちですがね」
私はそう言っておいた。
軍の会議が終わると、圭介はまた私の部屋に来た。
手にはシャンパンを持っていた。
「どうしたの?」と私は言う。
「シャンパンでも飲もうぜ」
「まだ昼間よ」
「そんなこと関係ないさ」
私たちはグラスにシャンパンを注いで飲んだ。
頭がくらくらする。
「私も戦争に行ってみたい」
「そんなことできるわけないだろ。すぐに相手の軍に殺されるぜ」
圭介は相変わらずまともなことを言う。
「私も戦いたいのよ。ねえ、わかってると思うけど、ここは死後の世界よ」
「そりゃあそうだけどさ。たぶん本当に死ぬし、拷問にかけられたら苦痛だぜ」
「そりゃあそうね」
圭介はシャンパンを飲み干す。
私はなんだか疲れてベッドに横になった。
コルセットが窮屈だ。
だから私は外した。
「また寝るの?」
圭介は私にそう聞く。
「一緒に寝よ」
「わかった」
二人で添い寝する。
目を閉じれば高校生の時と変わらない。
なんだかあの世界の方が幸せだった。
本当に私たちは無力だったけれど、夏の太陽とか秋の涼しさとか冬の雪景色とかが急に恋しい。
「なんだか、寂しいの」
私はぼそっと圭介に本音をもらす。
「寂しいの? この世界の王女が?」
「そりゃあそうよ。本当に寂しいの」
「じゃあ抱きしめてあげる」
私は圭介の胸の中で目を閉じる。
急に安心して涙がこみあげてくる。
「あの父親が憎くて仕方ないの」
私はそう言った。
「俺たちはもう死んだんだぜ」
圭介は相変わらずクールだ。
「ところでさ、お前の名前はエルザじゃん。俺かっこいいと思うんだ。だけど俺の名前はカミルだぜ。どうせならドレイクとかそういうのがよかった」
「知らないわよ」
そう言って私は圭介の胸の中で笑う。
次の戦いで圭介が死なないか心配だった。




