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俺はその日、英雄になった。
フィレンシアの占領したベルゲルクをたった三日で取り戻した。
「あいつはいったい何者なんだ?」
仲間たちの兵士は俺に向かってそう言った。
「巨大な火炎放射によってフィレンシアは敗退した。あの怪物を今すぐにでも叩き潰すのだ」
フィレンシアの皇帝レナルドは俺のことを火炎放射と名付けた。
俺は敵の陣地に向かってひたすら爆弾のような炎を放ち続けた。
瞬間に敵の兵士と戦車が蒸発する。
戦闘機さえ飛んできたが、俺はその三日の間、炎銃を放ち続けた。
フィレンシアはベルケルクからすぐに撤退した。
俺は最高司令官に呼ばれた。
「お前はいったいどこでその力を手に入れた?」
「さぁ? 気づいたらそんな力があることに気付いた」
「なぁ、お前に勲章を授けてもいいが、勲章の数が足りないんだ」
「そうですか」と俺は言って笑った。
「この戦争ではお前の力にすべてをかけることにした。お前を軍の大将にしよう。いいか? 俺の指示通りにお前はその腕から、やつらのいう火炎放射をぶちまけるんだ。他の兵士はお前の援護に回らせる。次に狙うのはルクセルという小さな国だ。そこをフィレンシアから解放する」
「まだ戦争をやるんですね」
「当たり前だ。最後に俺たちが何を考えているかわかるか?」
「わからない」
「俺たちはな。あのフィレンシア帝国を占領し支配するのだ」
「あの巨大帝国をですか?」
「ああ、それでこのゲルマニアがユーラシアを支配する」
「それはなんとも崇高な考えですね」
「とにかくお前は今日から陸軍の司令官そして最前線で戦う兵士だ」
「それはなによりです」
「ゲルマニアではもうすでにお前のことが報道されている。新聞やラジオでは三日でフィレンシアを倒した英雄扱いだ」
「あのエルザも知っているんですか?」
「もうじきエルザがこのベルゲルクに来るらしい。楽しみにしてろ」
俺はその日の夜、興奮と不安で眠れなかった。
他の兵士はカミル様と俺のことを敬っている。
そして翌日、王女のエルザがベルケルクの元へとやってきた。
俺たちはベルケルクの政治家やゲルマニアの軍人らと会食をした後、エルザが俺に与えられた豪勢な部屋にやってきた。
「やあ、圭介」
礼香は俺にそう言った。
「その名前はもう古いよ。カミルと呼べ」
「じゃあカミル。ずいぶんと活躍したようね」
「ああ、腕から出てくる炎のおかげでな」
「見せてよ。その力」
「窓を開けろ」
エルザは窓を開けた。
俺は炎銃を空中に向けて軽く打つ。
「くらったら一たまりもないわね」
エルザはそう言って笑った。




