10
翌朝、目が覚めると戦争が始まっていた。
俺はすぐに徴兵された。
「敵はすぐにやってくるでしょう。この国の未来はあなた達にかかっている」
エルザの演説を聞いた俺は腕の感覚を確かめる。
念じれば腕は熱くなる。
「お前は誰だ?」
隣に立つ兵士が俺に問いかける。
「俺の名はカミルだよ」
「どこから来たんだ?」
「うーん。ここの出身さ」
「ずいぶんといい身分だな。俺はここから離れた農村からやってきたんだ」
「フィレンシアのことは知ってるな?」
「ああ。新聞や噂でね。正直俺は金のためにこの戦争にやってきた」
「そりゃじゃあ駄目だよ」
俺は言った。
「どうしてだい?」
隣の兵士はそう言って不思議そうにつぶやく。
「国のために血を流すんだ。そして国民の命を俺たちが守るんだよ」
俺は隣の兵士にそう言ってやった。
演説が終わると陸軍が招へいされた。
「お前らに与えられた役目はなんだ?」
上官が一人の兵士を名指しする。
「戦争に勝つことです」
その兵士は言った。
「いくぞ。戦いの始まりだ。フィレンシアの連中を数限りなく殺してやるんだ。お前らの手でな。奴らはどんな下劣な手でも使ってくるだろう」
俺たちは軍の車に乗せられて、遠征に向かった。
長い遠征だった。
「なぁ、俺死ぬのかな?」
一人のいかにも臆病そうな兵士が言った。
「死が怖いのか?」
俺は言った。
「そりゃあね。俺には妻も娘もいるんだ」
「そんな弱音を吐くな。死など瞬間に過ぎない」
日が暮れ、俺たちは途中でテントの中で眠る。
朝日がやってくると同時にまた車に乗る。
敵軍の占領下に近づいていく。
銃声が耳に響く。
すでに前線ではフィレンシアとゲルマニアの軍が戦っているらしい。
俺たちは車から降り、指示された通りの配置へ向かう。
辺りには何もなかった。
ひたすら荒れ地が広がっているだけだ。
遠くにはフィレンシアの戦車が見えた。
戦いは一瞬で始まる。
ゲルマニアの兵はフィレンシアの兵のいる場所まで機関銃で突き進んでいく。
俺がやればいいんじゃないか。
俺は空に向かって炎銃を放った。
瞬間轟音が鳴り響く。
銃声が止まった。
「何が起きた?」
隣にいた兵士がそういうのが聞こえた。
俺は腕を前につきのばす。
そして念じる。
すべてを破壊しろ。
腕からは炎が無限にほとばしる。
爆弾のように。
地鳴りとともに、敵の軍隊が蒸発していく。
あまりの威力に閃光に目がくらんだ。
「お前はいったい?」
上官がそう俺に聞いた。
「俺が誰かって? まぁ最強の魔法使いとでも言っておこうか」




