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死んだのか?
彼女が消えた。
この世界から。
礼香。
俺の彼女だった。
大好きな目が大きくて少しつんつんしてクールな細身の女。
そいつが急に姿を消した。
高校三年の俺と一緒のクラスだったが、もう来なくなってしまった。
俺たちは付き合っていて、一緒に教室で勉強したり、デートしたりしていた。
それがこの様だ。
先生は「礼香さんは行方不明になってしまいました」なんて言っていた。
俺には到底信じられやしない。
だってあんだけ好きだった彼女が消えるなんて、どう考えたっておかしい。
拉致でもされたのか?
なら俺はその国をぶち壊しに行こう。
俺が愛していた、俺だけの彼女。
「圭介」
いつだって礼香は俺のことを呼び捨てにした。
「なんだよ?」
俺は答える。
「君のこと好き」
俺は普通に照れる。
「俺だって」
次の言葉が出てこない。
相変わらず俺はシャイだなと思う。
それでまぁとにかく、いなくなった彼女がどこに行ったのかわからないまま、夏が明けて秋がやってくる時期になった。
夏休み明けの教室に彼女がいないのは寂しい。
俺は時折物悲しくなって涙を流した。
それも人前でだ。
俺の好きだった彼女はいったいどこへ行ったんだ?
それだけが疑問だった。
まさか神隠しにでもあったのだろうか?
彼女が自殺なんてするわけない。
それだけはわかっている。
あいつはそんなやつじゃない。
ちゃんとしっかりしている。
一体あいつに何があったのか。
未だに礼香がいなくなって一か月以上たったが音さたはない。
「死んだんじゃねえの?」
クラスメイトは俺にそう言った。
「そんなわけないだろ」
俺は冷静にそう返事をする。
「どうしちゃったんだろうな? ただの家出とかならいいけど」
「あいつが家出したいなんて俺は今まで聞いたことがない」
「じゃあ誘拐されたのかな?」
「可能性はあるな。あいつは美人だからさ」
「なんでお前と付き合ってたんだろうな」
友人は俺にそう言って笑う。
そんなことはどうでもいい。
今の俺にとっては彼女が帰ってくることだけが重要なんだ。
それ以外のことはどうでもいい。
俺は一人で寂しく授業を受ける。
いなくなった礼香と一緒に食べていた昼食も一人で食べる。
パンを食べているとき、俺はまた泣きそうになった。
「また一人で飯食ってんのか?」
そう言ってくるクラスメイトもいた。
「悪いか?」
俺はそう言った。
「いつまでも礼香のこと考えていてもしょうがないだろ?」
そいつは諭すように言った。
俺には到底受け入れがたいことだった。
どうして礼香はいなくなったのか。
それだけが問題だった。




