生徒会と歴史
人の身でありながらアビリティを
意のままに扱えるように初代理事長である
柱 鳴斎は”パネル”を考案した。
〜生徒会と歴史〜
オレ、五十嵐 慧は今
とても、困っていた。理由は至って単純なものであった。
それは、オレの向かいで美味そうに購買のパンを食べている
オレの幼馴染である東城 涼華が持っていたお弁当の
中身がお米だけだからである。
「おい、涼華。オレにもそのパン分けてくれよ。
流石にお米だけはムリがあるって。。」
「なに?私が作ってあげたお弁当がそんなに気に入らない訳?」
何故か涼華は不機嫌そうに言う。
「いや、作ってあげたって、、。」
_米だけじゃんか。これでよくそんな上から目線なこと__。
「慧。いま失礼な事考えてたでしょ。」
ギクッ・ ・ ・
_な、なんでわかるんだよ。エスパーかこいつは。
「そ、そんなわけ無いだろ」
あ、そう。と涼華は言いパンを食べた。
「そういえば、朝は生徒会の集まりがって言ってたけど
なんかあったのか?」
オレはこの空気を変えるべく少し気になってた事を涼華に尋ねた。
「生徒会での事は他言厳禁とされているから
あまり、話すことは出来ないんだけど。。そうね、慧に話せる事は
今日の午後にある”パネル”での実技授業での注意するようにって言われたってことだけね」
涼華はそう言うと席を立った。
「ごめんなさいね、慧。私、生徒会として次の授業の準備を
しなきゃいけないの。じゃあね。」
と言い涼華はそのまま教室を出ていった
_せわしい奴だな、全く。てか、やっぱ、生徒会って大変そうだな。。うん。
この学園で生徒会に属するということがどのような事を
意味しているかはオレでもよく知っている。
それは、アビリティを武力と考えるこの学園ならではのものである。
この、学園の入学試験には面接、筆記の他にアビリティへの
適正検査さらには技能検査ととてもハードなものであった。
そして、その合格者なかで上位ニ名が生徒会入りを義務付けられている。
つまり、その年の入学生のなかで最もアビリティの素質がある者と言う事になる。
まぁ、簡単に言えば強い奴ってことだとオレは思っている。
なので、生徒会に属する奴らは皆
入学の頃から一目置かれる存在という訳だ。
オレの幼馴染である涼華も最初はそうだった。
まぁ、涼華の場合
人が寄ってこないからかえって過ごしやすいわ
とか、気にも止めてなかったけどな。
しかし、そんなエリート達が集まる生徒会が
わざわざ朝に集まるなんて。
涼華はああ言ってたけど生徒会役員の
招集理由なんて大体検討はつくけどな。
そう思い、オレは彼女の方を見た。
_やっぱり、大和の事だろうなぁ。。うん。
一昨日、転校してきたという。
あの、大和一族の末裔である大和 涼菜
絡みにほぼ間違いはなかった。
大方、今日から始まる午後のアビリティを使った実技の授業で
彼女の腕前を見極めようってことだろうと思った。
_流石の生徒会もこればっかりは調べようがないからな。
アビリティの歴史において
昔から大和一族が異能の封印を守護し
そして、その封印が弱まり大和タケルはこの学園の初代理事長である柱 鳴斎に
依頼し、柱 鳴斎は異能を完全に封じ込めた。
これはもはや伝説とまで言われるほど
語り継がれてきた歴史であり。約500年前の事とはいえ
今でも知らないものはいないほどだ。
しかし、その歴史には続きがあった。
柱 鳴斎はその後、日本中から救世主と呼ばれるようになった。
それは、今まで恐れられていた異能を封じ込めあまたさえそれを
武力として新たな日本の軍事兵器になりうる”パネル”を
発明したからである。そして、封印されてきた異能の力は”パネル”を通す事で
様々な応用が利く事を柱 鳴斎は知り、その後”パネル”の量産化に
成功し今に至る。とされている。
これだけを読めば
「なんだ、柱 鳴斎って凄いじゃん!」
とか、
「アビリティの歴史は柱 鳴斎にあり!」
などと言ってるバカな奴もいた。
まぁ、現に今同じクラスの奴らなんだが・・・
しかし、この話を知った時ある疑問を浮かべた。
それは、その後の歴史に大和一族の事が何一つ載ってなかった。
ということだった。
柱 鳴斎に異能を託しそして忽然と姿を消した。
これは、その後の歴史を知れば誰もが疑問に抱くことかも
しれない。守護するという使命を果たし姿を消したのであれば
それは、それで納得もいくだろう。
だが、一昨日転校してきた大和一族の末裔である
大和 涼菜がよりにもよってこの鳴斎学園にきたということは
それだけで大きな意味があるに違いない。
そして、おそらく生徒会が一番
目をつけてるのが大和 涼菜のアビ力(アビリティの力の略称)である。
柱 鳴斎は”パネル”という形でアビリティを意のままに
することに成功した。なら、大和一族は独自の方法で
アビリティを操る方法を編み出してるのかもしれない。
しかし、それではわざわざ柱 鳴斎に依頼する必要は
なかったことになる。だがそれでは生徒会の行動は____。
キーンコーン
カーンコーン
昼休みの終了を告げるチャイムがなった。
_やべっ!考え事してたかいつの間にかこんな時間に!?
辺りを見回しても誰一人いない。
_まぁ、このことはいずれ分かる日が来るだろう。うん。
そんな、気がしたオレは
今まで考えていた事を放り投げ慌てて教室を出て、校庭に向かった。
_____
____
___
「遅い!!なにをしてるんだ。五十嵐!!!」
そう言うと担任の如月先生はまたしても
鬼の形相を浮かべたオレを睨んだ。
「いや、先生。ちょっと考え事をしてまして。。」
しかし、この言い訳という名の事実は如月先生にとって逆効果であった。
「考え事だと?つくならもっとまともな嘘つけ!!」
そして、振り上げた如月先生の右手の拳はオレの頭上を捉えていた。
_あ、オワタ。。
そう思ったその時。
「如月先生!!ちょっと待ってください!!」
とどこか聞き覚えのある声が聞こえた。
殴られる事を覚悟していて目を
瞑っていたオレはその拳が止まったことは感じ
ゆっくり目を開けた。すると、そこには先ほどまで昼食を共にしていた
東城 涼華の姿があった。
_ってことはあの声は涼華の声か。。
「なんだ、東城。」
如月先生は鬼の形相のまま涼華を睨んだ。
「け、、五十嵐くんが遅れたのは私が午後の授業の準備を手伝わせたからです、」
_え!?
オレは驚き思わず声が漏れそうになった。
「なんだと?・・ 」
そう言うと如月先生は黙り込み校舎の方見た。
_ん?どうしたんだ。いきなり。
数秒した後、また涼華の方を向いた。
「まぁ、いい今回は東城の生徒会役員という立場に免じて許してやろう。
時間も押してることだしな。」
そう言うと如月先生はさっきまでの鬼の形相のような
表情とはまた違った厳しい顔をし
目の前に並んでる一学年160名の生徒の方を向き
大声で言い放った。
「いいか!!これから、お前達に”パネル”を使った模擬戦闘をしてもらう!!」
こうして、何が起こるか分からない
午後の授業が始まった。