これが、私の恋
悲恋、ループもの。
「どうして、こうなってしまうの?」
▼▽▼▽
私は何度も自分の人生をやり直す。
なぜ繰り返しているのか、分からない。もう何度やり直したのかも、分からない。
「ミリア! こっちに来いよ!!」
「ちょっと待ってよ、ライナー!」
彼と私は幼なじみで、いつもそばにいた。
彼は眩しい太陽のような人で、彼のそばにいると笑顔になれた。
楽しい時も辛い時も、お互いに支えあっていた。
幼い頃は、お互いが世界の全てだったのだ。
そうして私はいつしか、恋に落ちていた。
けれど彼は必ず、私ではない誰かに恋をする。
「ライナー、私はあなたのことが好きなの」
「……ミリアの気持ちは、嬉しいよ。でも俺には、妹にしか思えないんだ。ごめん」
彼にとって私は、妹のような、家族のような存在なのだ。だからどうやったって恋愛対象にはならないのだ。
私を、見て。
あなたを誰よりも、何よりも愛しているのは、この、私なのよ。
そんな心の声は、彼に届くことはない。
「ミリアは本当にいい子だな」
「……いい子なんかじゃないわ」
私は諦められなくて、彼が好きになった人と同じように振舞った。彼に好かれるような行動をとった。
それでも、彼は私を好きになることはない。
「ミリア、これが僕の婚約者だ」
「初めまして」
毎回毎回、名前や姿形、性格も違う女性が、彼から婚約者として紹介されるのだ。
どんな選択をしても、全てうまくいかなくなる。
「……もう、いい」
私は部屋のベッドの上で一人、膝を抱え込んで言った。
彼を、諦めよう。
そうすれば、楽になれるんだ。
だって彼は私の恋心なんて、いらないのだから。
彼に頭を撫でられるのが、好きだった。
私を心配してくれる声が、好きだった。
私が辛い時は、いつもそばにいて励ましてくれた。
彼といる時は、笑顔を浮かべるようにした。
彼を心配して、色々と気遣った。
私も彼が辛い時は、話を聞いたり、そっとしておいてあげたりした。
私は彼の望む通り妹になることにした。
そしてこの人生では、諦めて他の人と結婚し、子どもを産んだ。
「ミリア、ウィルが一緒に出かけたいと言い出して聞かないのだが……」
「いいじゃない、どこかにでかけましょう?」
「やったー! お父さんとお母さん、大好き!!」
夫は優しく、子どもも可愛い。どこからどう見ても幸せな家庭だろう。
けれど私の心に空いた穴は、満たされることがなかったのだ。なんて贅沢な人間なのだろう。
「結局、彼じゃないとだめなのね」
私は老衰し、再び人生はループする。
幼い子どもの姿になっていた。
私は今度は部屋で一人、ソファーにうずくまった。
「これが、私の恋。これが、私の運命」
私は何度繰り返すことになるのだろう。これはいつまで続くのだろう。
私は一筋の涙を零した。
▼▽▼▽
ジメジメとした森の奥に、小さな小屋があった。その小屋からは、煙が立ち上っている。
「絶望に染まっているみたいだ。代償としては十分だろうね」
怪しげなマントを纏い、顔を隠した男は小屋の中で一人、笑う。
「彼と結ばれたいからやり直したい、ねぇ。魂をくれるなら、叶えてあげられたのだけれど。一度定まった運命をねじ曲げるには、大きな代償がいるからなぁ」
男はとにかく楽しそうだった。
「さて、今度はどんな依頼がくるのかな? ……楽しませて、くれよ?」