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星のかけら

 ファンタジーチックな、夢があるお話。

 黒い空間に浮かぶたくさんの星たち。けれど光っていない星たちも、その中にはたくさんあるのじゃないかな。

 それらの星たちは集まって、ひとつの巨大な光る川を形作っているの。けれどそれも宇宙にとってはちっぽけなものなんだろうね。


 その星たちの上で私はひとり、くるくる、くるくると裸足で回り、トントン、トントンとリズムを刻む。白いワンピースの裾が、私の動きにあわせてゆらゆらと揺れた。

 頭に載せたかごには、今にも零れ落ちそうなほどの星のかけらたちが顔を出しているわ。赤色、青色、黄色、緑色。少しずつ色の違ったさまざまな星のかけらたちは、淡く光っていたの。

 それらはどこか懐かしく、愛おしい、と感じてしまう。


 私は一仕事を終えて、休憩することにした。

 星のかけらから作ったジュースや金平糖は、甘くてとってもおいしい。同じく星のかけらから作ったパンには、ジャムをたっぷりとつけて食べるのが好き。疲れも吹き飛んじゃうわ!


 休憩中、私はぼんやりとしながら、色々と考えることにした。


 私の仕事は、星のかけらたちを拾い続けることなの。そのかけらたちから、私は砂時計を作っているわ。

 砂時計は……宇宙に生きる者たちの、命の時計。私が一度も見たことがないような生き物もいるのだろうなぁ、と考えるとわくわくしてしまう。一体どんな生き物なのかな?


 砂時計の砂が全て落ちてしまった時、宇宙のどこかで何かが終わりを迎えているわ。それらは等しく、悲しくもあり美しくもある。

 私が砂時計から砂を抜いて、また新しい砂を入れてあげると、宇宙のどこかで新しい命が生まれるの。それらは等しく、喜びであり祝福でもある。

 

 そして私が一番気をつけなくてはいけないことは、二つあったりするの。


 一つは砂時計を落として割ってしまうこと。落として割ってしまった砂時計は、元には戻らない。作ってすぐに落としてしまったら、生まれた瞬間に死んじゃうことになっちゃう。

 もう一つは、砂を入れ替えずに、砂時計を逆さにしてしまうこと。それをしちゃうと生き返っちゃうことになる。


 私は今度は、砂時計たちに入っていた砂たちをかごに詰めることにしたの。これがまた、結構大変なのだけどね。


 私は再び星たちの上でくるくる、くるくると逆向きに回り、タンタン、タンタンと音を刻む。

 するとかごに入っていた砂たちは少しずつ、さらさらさら、と星たちの上に降り注いでいく。

 踊り疲れた頃には、砂たちは全てかごの中からはなくなっていたわ。


 私は一日の仕事を終えて、ほっ、と息をつく。


「明日も、頑張らないとね」


 足元でキラキラと輝く星たちを辿って、家へと帰ることにしたの。疲れてはいるけれど、いつも通り足取りは軽やかだったり。



――私は時を司る者。


 今日も明日も明後日も、星のかけらたちを集め、星の砂時計を作り続けるんだろうな。

 だってそれが、私の日常だから。


「……ただいま!」

 ツイッターで短編小説として書いたものに加筆をしました。

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