謎の新婚生活(?)
ギャグ・若干BL要素あり?
可哀想な男の子の話。
「……はっ!?」
気づいた時には白い謎空間にいた俺。
周囲を見渡すが、何もいないし何も感じない。
「ここはどこなんだよっ!」
俺、獅童 雷は頭をグシャグシャと掻き乱していた。
こちとら平々凡々な普通の高校生だぞ!?
ちなみに毎回入学式の時にカッコいい名前だね、なんて言われてる。けど女子たちが影でガッカリしてるのを、俺は知ってるんだからな!
イケメンじゃなくて悪かったな!
自分で言っといてあれだけど……俺のガラスのハートがっ。
つか、あれっ? 良く見たら遠くの方に人がいるわ。
「すみませーん」
声をかけてから、俺はそのことに後悔した。
「!? オカマ!?」
そこにはピンクのフリフリドレスを着たおっさんオカマがいた。
「って速っ!」
ボ○トもかくやというスピードで俺に迫ってくる。……早く逃げねぇと!
鬼のような形相で逃げる俺だったが、あっさり確保される。
「うっふーん、かわいい子ねぇ」
強烈なキッス攻撃を受け、俺はその場に倒れた。
******
気がつくと俺はベッドに寝かされていた。そして耳元にやたらと生温かい息が当たっているような……。
俺は寝返りを打った。
「はぁい、坊や。寝顔がとっても可愛かったわぁ!」
オカマだった。
間近で見ると化粧が濃く、化粧と香水の入り混じった匂いがひでぇ。
「あの……なんで一緒のベッドに寝ているんですかね?」
「坊やが倒れちゃったからぁ、看病してあげてたのっ。なぜかベッドだけはあったから、そこに寝かせて、私も寝たのよぉ」
逃げようとすると、オカマはがっちりとした筋肉で俺を挟み込み、放さない。
あ、終わった。
俺はそう思った。
******
謎の白い空間に閉じ込められてから、数週間がたった。
俺たちがなぜここに閉じ込められたのか、何をさせたいのか。そういった目的は、今のところ一切分かっていない。
幸いにしてオカマは紳士らしく、襲われてはいない。……助かった。
食料などもあったので、どうにかオカマと仲良く二人で生活している。
このオカマ、案外性格は悪くないのだ。悪くないのだが、やたらとくっついてきてうっとうしいし、暑苦しくて叶わない。
「雷くーん、ご飯できたわよーん♡」
キッチンのある方から、なにやら声が聞こえてくる。俺は作業をとりやめ、片付けながら声に応じた。
「いちいちハートマークを飛ばすんじゃねぇ! まぁ、わかった。今行くわ」
「はぁい」
キッチンに向かうと、今日もふりふりのピンクのエプロンを着て、料理をしていたらしい。
「ふふふっ、雷くんのために丹精込めて作ったのよ」
「アリガトウゴザイマス」
キッチンテーブルに座りながら、俺はあることに気がついて愕然とした。
……俺の勘違いじゃなかったらいいんだけどさ。
今、オカマと新婚生活みたいになってね?
俺はその事実に、ただただ頭を抱えた。