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勘違いなさらないでっ  【8】

 7000文字投下。ちょっとシリアス???えーっw?

 がちゃりとドアを開けると、慈愛の微笑み執事と3人のメイドが目を見開いた。

 だって、全身毛だらけの2人が立っていたんですもの。当たり前よね。

 彼らは世界的爆発ヒット商品を手にしていた。

 ハンドローラーコロコロだ。とっての棒の先に回転する埃とりブラシがついている。ウィコットの毛を取るために持ってきたようだが、予想外の毛の多さに4人はハンドローラーコロコロを更に増やし、埃とり用のメイド2人を追加してわたくし達の服を綺麗にしてくれた。聞けばこの部屋の掃除もこのハンドローラーコロコロが威力を発揮するそうだ。

 すでに東屋からサロンへと移っていたリシャーヌ様達は、ゆったりソファでくつろいでいた。

 ただ、わたくし達の姿を見てびっくりしたけど。

 「ウィコットと触れ合うだけで、どうしてそんなによれよれに乱れますの?」

 いろいろ事情があるんです、リシャーヌ様。

 確かにドレスやサイラスの服はよれよれで、髪も乱れてる。髪結いメイドがあわてて準備しているという。そうね、セットして帰らないとあんまりだわ。

 「シャーリーを笑顔にしたいというからアドバイスしたのに、ちゃんと楽しんでもらえたの?サイラス様」

 「えぇ、気に入ってもらえましたよ」

 すかさず王子口調になるサイラス。

 わたくしは疲れすぎて何も言えなかった。

 「それで、シャーリーは許してくれたの?」

 「許す?」

 思わぬ言葉に、わたくしは首を傾げた。

 リシャーヌ様も「あら?」と首を傾げた。

 「サイラスがシャーリーを泣かせたのでしょう?だから笑顔になってもらって許してもらおうっていう……、違うの?」

 最後はサイラスに聞いていた。

 サイラスはははっと笑った。

 「そうですよ。でもやり過ぎてまた怒られました」

 「ダメじゃない」

 リシャーヌ様も呆れ顔だ。

 それまでぽかんとしていたわたくしは、横に立つサイラスを見上げた。

 「どういうこと?」

 「ウィコットを見せたかっただけだ」

 しれっと言われ、少し目線を外すとセイド様の横にレインがいたのでじっと見た。

 案の定そっと目線を外されたので、彼女は何か知っているようだ。今日のことといい、後日たっぷり聞かせてもらおう。


 ……わたくし執念深く覚えておきますわよ。特にセイド様。

 ハゲろ!!

 

 怨念を飛ばせば、セイド様はビクッと背筋を正し、きょろきょろ部屋を見渡していた。

 「で、どうかしら?シャーリー」

 「は、はい」

 何か話されていたらしい。

 わたくしはあわてて返事をした。

 「まぁ、良かったですねサイラス様」

 嬉しそうなリシャーヌ様に、わたくしは「しまった」と口をつぐんだ。

 「そうですね」

 にっこり王子様スマイルを展開するサイラス。よれってる姿だが、あんた間違いなく王子様だね。キラキラオーラ同時開放して微笑む。

 「顔見知りからお友達へ昇格していただいたので、とても嬉しいですね」

 は?と目が点になった。

 つまり、だ。サイラスがわたくしのお友達になった?リシャーヌ様の目の前で!

 撤回したい!が、この雰囲気はできない。

 そしてリシャーヌ様はトドメを刺した。

 「お友達から始まる結婚というのも素敵ね。まずはしっかりお友達(・・・)としてお互いを知ってね?」

 「えぇ、しっかり親睦を深めますよ。ねぇ、シャーリー?」

 そう言ってわたくしを見たサイラスの顔には、べったりと素の腹黒い笑みが浮かんでいた。

 角度的にリシャーヌ様からは見えない。

 くそっ、なんて計算高い奴だ!

 ここで「ひっ」と怯えて、泣くことができたらどんなにいいか。

 演技しようと思ったが、先に負けてたまるか!といらん男気が顔に出た。

 「そうですね。お友達(・・・)として仕方ありませんわね」

 思ったより高飛車な態度がでた。

 「おや、お友達なら何か特権でも?」

 「そぉですね。訪問くらいなら許可しますわ」

 「それはそれは、光栄ですね」

 仮にも一国の王子に上から目線の物言いをしたにもかかわらず、周りからは非難の声が上がらなかった。むしろリシャーヌ様はにこにこしてる。そしてサイラスもあっさり引いた。

 ……なによ、おもしろくないわね。

 「あ、そろそろウィコットを運ぶ準備をしないと」

 時計を気にしていたセイド様が声を上げた。

 「あぁ、じゃあ俺も行く」

 そして「見たい」と言ったレインも連れて3人は退出した。


 ぽつんと残されたわたくしとリシャーヌ様。

 でもこれ幸いとリシャーヌ様にわたくしは詰め寄った。

 「……リシャーヌ様、これはどういうことですかっ」

 「何って、サイラス様はライアンのご友人で、セイドと3人御学友なのよ。で、ウィコットをあなたに見せたいと言うし、わたくしも丁度出掛けたかったからセイドに協力してもらったの。ダメだったかしら?」

 「だ、ダメも何も、わたくし結婚なんてしませんわ!」

 きょとんとしたリシャーヌ様は、ころころと笑い出した。

 「あらやだ、まだ怒ってるの?男性が試合で怪我するなんて当たり前じゃない。あんなかすり傷で泣くなんて、シャーリーったらよっぽど好きなのね。うふふ」

 それを聞いて本日2度目の愕然。

 とんでもない勘違いをしている!っていうか何を言った皇太子、サイラス、レイン…って周囲全部泣かせるものなら泣かせたい。

 「誤解です、リシャーヌ様!わたくしサイラスのことなんて、ちっとも愛してませんわ!」

 「大丈夫よ、友情も愛情に変化すると聞くわ」

 「いえ、友情すらありませんよ!?」

 「サイラス様はライアスと違ってお腹の中少し黒みたいだけど、きっと大事にしてくれるわ」

 腹黒と知って、なおわたくしに勧めますか?

 大事にするって根拠ないですよね?

 にこにこと微笑むリシャーヌ様に、わたくしは首を振った。

 「無理です。わたくし求婚はお断りします!」

 「あら、じゃあ誰か意中の方がいるの?」

 「おりません!わたくしは生涯独身がいいのです!」

 きっぱりと胸を張って断言すると、リシャーヌ様はすっと顔を曇らせた。

 ……怒らせたかしら。

 ちょっと後悔するも、後には引けない。

 「独身なんて、あなたせっかくいいご縁があるのよ?それにサイラス様の真っ黒な性格を癒せるのは、やはり真っ黒なあなたしかいないと思うの」

 さりげなーく、悲しそうな顔でひっどいこと言われた。

 「サイラス様の手綱を引けるのはあなたしかいないわ。お互い腹の探り合いは得意でしょ?ってライアンも太鼓判押してたわ!」

 ……恩を忘れたな、あの皇太子。今に見てろ!

 ひくひくとひきつるわたくしに、リシャーヌ様は微笑んだ。

 「大丈夫。誰だって結婚は怖いし不安よ。期待ばかりじゃないのも事実。でも、女が手綱を握ればある程度上手くいくわ。惚れる前に惚れさせろって、あなたが言ってたじゃないの」

 ぐぅっと声が詰まった。

 「だから大丈夫。サイラス様に寄ってくる女性も、あなたなら2度と近寄れないようにできるでしょ?」

 うふっと、どこか影のある笑みを浮かべるリシャーヌ様。

 あれ?何か怒ってないかな。皇太子に誰か言い寄ってるのかな。今度調べよう。

 「でも、わたくし結婚願望なんてありません」

 「願望はなくても結婚できますよ。それにいろんなアドバイスをしてきたあなたなら、何があっても大丈夫な気がするわ」

 気がするって、そんなバカな。

 他人事だから冷静に判断、アドバイスできるんですよ。自分のことならまだしも、相手を考えて生活するなんて……気が重い。気疲れするタイプじゃないけど、疲れそう。

 ……サイラス相手に気疲れも猫も被らないけどね!!

 ウィコットの準備ができたのか、3人が戻ってきた。あいかわらずレインはセイド様とこれでもかってくっついて歩いてきた。よく足がもつれないものだわ。

 わたくしは高飛車を継続した。

 「ねぇ、お友達ならそれなりに誠意を見せていただけるわよね?」

 ふんっと嫌味ったらしく言う。

 ほらほら、こんな女嫌でしょ。さっさと呆れて怒って帰れ。

 ところがサイラスは、ふと顎を親指で摘むようなしぐさをして考えると「ちょっと待て」と言い、部屋を出て行った。

 「シャーリー……」

 ちょっと眉をひそめているセイド様の横で、レインが心配そうな声を出した。

 わたくしはチラッと一瞥しただけで、サイラスを待った。

 そして戻ってきたサイラスは取ってのついた、両手いっぱいほどの大きさの籠を持ってきた。

 「俺の権限で自由にできるのはこいつらだけだ。受け取れ」

 不覚にもぽかーんとしているわたくしの前に突き出された籠から、黒と白地に茶のブチウィコットが2匹顔を出した。

 「みぃうぅ~」

 「んみみみぃ」

 そしてサイラスは付け加えた。

 「売るなよ」

 「売らないわよ!どんだけ失礼なのあんた!!」

 心の中で叫ぶつもりが、思いっきり声に出てしまった。

 あわてて口を塞ぐも、周りはぎょっとしてわたくしを見てるし、サイラスだけが微笑していた。

 

 ……わたくしはウィコットを手に入れた。




 「で、なんでうちにいますの?」

 セイド様が学生時代にハメをはずして1度だけ行ったという女装事件の詳細をレインあてに送りつけ、新婚ほやほや夫婦に初めての難問を叩きつけ、皇太子には「マタニティブルーって知ってます?」と題して、妊婦の繊細になる心情や不安をつらつらと書き、特に妻の妊娠中に浮気する夫が多いんですって、きっとリシャーヌ様も気にされているわ、御可愛そうと書いた。追い討ちとしてそんな妻を頭でっかちの知識だけで言いくるめようとしても逆効果ですよ、くれぐれも周囲に女性の影をちらつかせないように誠心誠意努めてくださいと書いておいた。皇太子妃が妊娠すれば、今以上の愛人候補が周りをうろつくだろう。軽くあしらっているだけじゃダメだぞ、ということだ。

 まぁ、ここまでは単なる親切なアドバイスに過ぎない。エサは最後にぶら下げた。

 もし、リシャーヌ様のマタニティブルーが解消されましたら、妊娠中の夫婦が夜に楽しめることをリシャーヌ様にお伝えしますよと書いた。こういうことをアドバイスできるような人はあの城にはいない。頑張れよ、恩知らずな皇太子めっ。

 そんなうっぷんを晴らし、兄がわたくしを呼んでいるというので客間に来たのだが、どうしてそこにサイラスがいるのだろう。

 「よぉ。ウィコットは元気か?」

 「元気よ、ご心配なく」

 本気でわたくしが売るなんて思って確認しに来たのかしら。相当心外だわ。

 「太りやすいから1日人参3本厳守、ブラッシングは欠かさず運動もさせる。ちゃんとしてるか?」

 そうなのだ、あのウィコットは見た目雑食かなって思ったら完全草食動物。しかも主食は人参。短い前足で人参を押さえつけ、はぐっと噛み付くとゴリゴリ言わせて食べている。

 「してますわよ。人参も無農薬です。ただ」

 ちらりとソファに座り、振り返るようにわたくしを見ている兄を見下ろした。

 「わたくしの見ていないところで、誰かが(・・・)人参を追加で食べさせているようですの。そういえばお兄様、ずいぶんウィコット達に懐かれてましたわね。他家の番犬ですら退くお兄様に懐くなんて、とっても珍しいですわね」

 「そうか?一緒に見に行ったから、お前に懐いているんだろう」

 表情は変わらないが、若干目に動揺があった。

 兄の言葉が本当なら、まだ2回しか会っていないはずなのに、今日も兄の足元には白茶ブチのプッチィの白毛が2本ついている。甘いわよ、お兄様。

 サイラスが真面目な顔をして腕を組んだ。

 「それはいけない。ウィコットは太ると肝機能の病気になりやすい」

 「まぁ、それは大変!」

 どうしましょう、とわざと大げさに驚いてみせると、急に兄が立ちあがった。

 「……サイラス様、申し訳ないが少々急用を思い出したので、少し退席してもよろしいか?」

 「あぁ、気にするな。またゆっくり話そう」

 兄は何事もないようにゆっくり退出したが、廊下に出たとたん走って行った。

 しっかり運動させてくださいよ、お兄様。

 兄が退出すると、サイラスは片手で顔を覆ってくくっと笑い出した。

 「若獅子がウィコットと戯れるとはな、くくっ」

 「イズーリの軍の司令官の1人である、あなたの毛だらけも見事でしたわよ」

 「お前もな」

 「ふんっ」

 軽く顔を背けて、向き直った。

 「今日はどんな御用です?」

 「あぁ、3つの用件があって来た。まずはウィコットの様子だが、元気そうだな。先程ジェイコットから聞いた。時々名前を言っていたようだが、お前がつけたのか?」

 「……そうです」

 「プッチィとクロヨンだったか。お前、子どもの名付けだけはするなよ。子どもに恨まれる」

 それに関しては何も言わない。ネーミングセンスがないのは自覚済みだ。

 「で、他は?」

 わたくしはさっさと話題を変えることにした。

 「次は、これかな」

 足元から何か白い袋を持ち上げ、テーブルの上に置いた。

 口の縛ってある白い袋。あ、デジャヴ。

 「忘れ物だ。受け取れ」

 「嫌!」

 即答だ。中身を見るのも嫌だ。

 「毎回持ってくるのも重いし、荷物になるんだがな」

 「持ってこないでよ!」

 だんっと拳でテーブルを叩けば、サイラスはにっと意地悪く笑った。

 「そうだな。嫁に来ればこれはお前のものだし、うちで保管しとくか。ついでに部屋を改装したいんだが、要望はあるか?」

 「何の話よ!」

 「何って、お前の部屋だ。お前の希望を聞いてるんだ」

 「嫁に行かないって言ってるでしょ!」

 ばんばんテーブルを叩いて抗議するが、サイラスは聞きやしない。

 「俺が婿入りするには問題が多すぎる。諦めて嫁に来い」

 「あんたの婿入りなんか聞いてないわよ!」

 「何が気に入らないんだ?王妃にでもなりたいのか?」

 「誰がっ!あんな大変な役、死んでもお断りよ!」

 「じゃあいいじゃないか。兄は元気で問題ないから俺は王位から遠いし、戦場にはでるけど役職上最前線には立たないし、一応資産もある」

 自分の利点をさらっと言い切った。

 その台詞なら出会って2日目にわたくしが言ったわよ。

 「まずはお友達でしょ!」

 何か言えば言いくるめられそうだったので、とにかく逃げようとお友達宣言を利用した。

 「そうだな。そんなお友達から3つめの用件だ」

 あっさりと話題が変わり、サイラスは胸元から白い封筒を取り出した。蜜蝋でしっかり封がされたそれは、貴族なら常識となる王家の印が押してあった。

 「来月に行う舞踏会の招待状だ。彼女のことは知っていると思うが、ここで皇太子妃の懐妊が発表される。いわば懐妊お祝いパーティだ。だから全ての貴族を招待というわけではないが、まぁそれなりに規模はあるだろう」

 「……それなら父にすでに届いているわ」

 「これはお前宛てだ」

 すいっと、テーブルの上を滑らせるように招待状をこちらへ渡す。

 王家からの招待状を断ることは、死ぬか重篤になるかしないと断れない。そのくらい強制力があり、責任も重く、名誉なことでもある。

 ジロンド家に招待状が届いても両親か父だけ参加すればいいのだが、個人宛となるとそうはいかない。

 リシャーヌ様かしら。今まで通りほっといてくれていいのに。

 「わざわざあなたが届けに来るってことは、あなたも参加するんでしょ?ダンス1曲踊ったら控え室に引っ込みますからね」

 サイラスにエスコートされるなんて、ますます皇太子夫妻や両親、レインに誤解されてしまう。義務的に1曲踊ればあとは自由だ。父はすぐには帰れないだろうから、その間控え室でのんびり過ごそう。

 そう思って疑わなかった。

 何も言わないサイラスに、目線を招待状から外すと、なんだか申し訳なさそうな顔をしていた。

 あら、そんな顔できますのね。

 っていうか、何よ、その顔。

 訝しがるように沈黙するわたくしに、サイラスはゆっくり口を開いた。

 「悪いんだが、俺はエスコートできない。俺の相手はすでに決まってるんだ。悪いな」


 なんですって!?


 聞き間違いかと、本気で耳を疑ってしまった。

 今まで求婚や部屋の改装とか、嫁に来いとか散々言っておいて、まさかの公の場でのエスコートができないですって!?

 それじゃあ、さっきのわたくしの台詞は単なるうぬぼれじゃないの。

 急激に恥ずかしさが込み上げてきて、わたくしは固まってしまった。

 「少し前に打診されて、了解してしまったんだ。まさか名指し招待されると思わず、このことは皇太子妃も謝っていた。今日は直接謝りたくて来たんだ。すまない」

 ぺこっと少しだけ頭を下げた。

 あのサイラスが、本当にすまなそうに言い、素直に頭を下げた。

 そしてそれにすぐ対応できないわたくしがいた。

 

 ……あ、どうしよう。


 正直な感想だった。

 何だか考えがまとまらないっていうか、目の前のサイラスを見るのに精一杯な自分がいた。

 「シャーリー?」

 怒鳴りも、罵りもしないわたくしに、サイラスは不安そうに顔を上げた。

 その顔を見た瞬間、わたくしは気づいた。


 何を失望してるの?

 何をそんなにショックを受けてるの?

 何を期待してたっていうのっ!


 目を閉じてそれらを振り払うようぶんっと頭を振ると、わたくしは無理やり微笑んだ。

 「勘違いなさらないで?お友達であるあなたに謝られることなんてありませんわ。むしろ、わざわざ届けていただけるなんて、お忙しいのに本当にありがとうございました。当日は参加させていただきますが、どうぞお気になさらずにお役目しっかり果たしてくださいませ」

 そのままサイラスの顔を見ないように立ち上がると、振り向きもせず「兄を呼んでまいります」と部屋を出た。

 1歩1歩に怒りと苛立ちを込め、不穏な雰囲気を放出しながらウィコット専用の部屋へ向かった。

 「お兄様、サイラスが帰りますわよ!とっとと叩き出してくださいましっ!!」

 ばんっとドアを開きつつ怒鳴るわたくしに、ウィコットはもちろん兄も驚いていた。

 「どうした?」

 「何でもありませんわっ!あの女ったらし、今に見てなさいよ!!」

 心の声も口に出すと、わたくしはプッチィを抱きしめた。


 



 また次週~。お約束の舞踏会編ですw。

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