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令嬢ものが大好きな作者の初挑戦を、見守っていただけると嬉しいです。とっっても可愛いベルフィール様のお話、ぜひ楽しんでください!!


「……さま、お嬢様、起きてください」

「うん……もうちょっとだけ……」

「今日はお嬢様のデビュタントですよ」

「……デビュタント……え!!」


 私、ベルフィール・ノラサグリが14歳の誕生日を迎えるこの日、我が家では大きなパーティーが開かれることになっていた。


「お誕生日おめでとうございます、ベルフィールお嬢様」

「ありがとう、ナティ」


 大好きな侍女のナティアに起こしてもらって、お気に入りのお洋服に腕を通した。鏡に座ると、ナティがお化粧道具を並べ始める。……お化粧道具!!ずっと前からお化粧に憧れていたけれど、大人になってからね、と止められていたのだ。


「ナティ、これって……」

「お嬢様も今日から大人の女性の仲間入りですもの」


 ナティの言葉に嬉しすぎて顔が熱くなる。鏡の中のナティが、優しく微笑んだ。


「今日がデビュタントだなんて、信じられないの」

「わかりますよ、お嬢様。私も、デビュタントの日は朝からおしゃべりが止まらかったと母から聞きました」

「ナティのデビュタント、見てみたかったわ。きっとすっごく可愛かったのでしょうね」

「お嬢様ほどでもありませんよ」


 お化粧を終えて、最後にふんわり髪をセットしてもらって、今日の私の完成。鏡の中のベルフィール・ノラサグリは、昨日までのベルとは別人に見える。

いつもより少し背筋を伸ばして、私は立ち上がった。

食事の間に向かうと、私以外の家族はみんな揃っていた。


「おはようございます」

「おはよう、ベル。そしてお誕生日おめでとう、私の天使」

「ありがとうございます、お父様!」


 お父様が軽々と私を抱え上げて微笑んだ。王国一の魔法の使い手であり王国騎士団の団長を務めるお父様は、いくつになっても老いを感じさせない。

 エメラルドのような目に吸い込まれそうになった私が恥ずかしくなって目を逸らすと、お母様が手を伸ばして私の頬を撫でた。


「ベル、おめでとう。貴女が無事にこの日を迎えられて、本当に嬉しいわ」

「お母様、私もとても嬉しいです」


 ユスタリカ王国随一の美女とも称される私のお母様は、今日も窓から差し込む朝日に照らされて眩いほどの美しさを放っていた。


「今日はお化粧をしているのね、ベル」

「ナティがしてくれたのですよ!」

「とっても似合っているぞ。すっかり大人の女性だな」


 お父様に降ろしてもらった私は、くるっと後ろを向いた。エルフィアナお姉様がかがんで手を広げたところに、私は飛び込む。


「おめでとう、ベル。もうデビュタントだなんて、信じられないわ」

「ありがとう、エルフィお姉様」

「ベル!俺からも、お誕生日おめでとう

「エルラントお兄様もありがとう」


 エルフィアナお姉様とエルラントお兄様はそっくりの双子だ。2人ともいつも優しくて、何かあったらどちらかが必ず気づいてくれる。私は2人のことをいつも頼りにしていた。


「ルークは午後には戻ってくるそうだよ。メルヒールも少し仕事をしてから戻ってくるそうだ。2人とも、パーティーには間に合いそうで良かった」


 ルークファルお兄様は、今はユスタリカ王立学園で寮生活を送っている。メルヒールお兄様は、王国騎士団で第四部隊の隊長を務めており、兄妹の中で一番多忙だ。

 ノラサグリ家で蝶よ花よと育てられてきた私のデビュタントは、かつてないほど豪華に行われる予定になっている。


「今日のドレスもベルがデザインしたのでしょう?とても楽しみだわ」

「はい!ずっと着たかったドレスをようやく作れたから、本当に嬉しくて……」


 ドレスのデザインをすることが大好きで、スケッチブックの中には数えきれないほどのデザイン画が眠っている。この日のために何年もかけて考えてきた、きらきら輝く夜空のようなドレスは、私の宝物だ。


「それじゃあ朝ご飯を食べてパーティーの準備を進めないとな」

「もちろん!エルお兄様もとびきりかっこよくして来てくださいね」

「任せてください、デビュタントのお姫様」


 今日の予定を頭の中に駆け巡らせながら席に着く。会場、食事の確認をして、ドレスの最終調整をして……考えることはたくさん!!本当にパーティーが楽しみね!!

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