55-1 外界の魔陰
毎日投稿三十七日目。
最近バイトが忙しいので、またしても分割で投稿させていただきます。
では楽しんでください!!
二日目の晩。祐は布団の上で寝ころんでいた。
別段眠かったと言う訳では無い。唯昼に会った、かの魔法使いが祐の思考を占領しただけなのだ。だから天井を見上げ情報を整理しようと祐の体が寝ころんだのだ。
「人が死に、その魂が異なる世界に飛んだ弊害。それが魔陰ねぇ....今になると何か嘘くさいんだよな」
脚を組み膝を曲げる。裾が持ち上がり家のない素足が露わになった。
矛盾の無限螺旋は、時を経て均衡を崩す。
対立の取れていた二つの辛みは、疑の側面が強く巻かれる。
「いや、そもそも千年生きてるって....けど、実際多分あいつは凄いわけだしなぁ」
四季の全力を遥か高みから嘲笑えるほどの、魔法使いの段違いの力量。それは疑の侵攻を止めんばかりに真たる巻きを強める。
やはり魔術師と魔法使いとでは比べようが無かった。それも相手が機械じみた魔導士であればあるほどに。
「─────考えるのは止した方が良いんだろうけど、流石にそうは行かんよなぁ」
前提の思考は、砕け再構築された。
しかしそれは骨組みに限った話である。壁も天井も無いそれは、空気さえ風のように過ぎ去る。
空の思考で空の見た目。どうしたって祐はその中身を埋めなければならなかった。
疎らな足音二つが、祐の背中を通じて響く。
数は二つで、共々対極的な性格を孕んでいた。
陽性的雑多、陰性的静寂。大凡その二つが誰であるのかが祐は分かった。
「────もう寝てたのかお前?」
『報告:鬼川様。清玄様がお呼びですので我々と会議室へ』
襖の先には予想通りの二人が、立ち尽くしていた。
「分かりました.......あぁそれと四季さん」
祐は反動で体を持ち上げる。
『質疑:どうかなさいましたか?』
「魔力と魔術の件だけど、もう治ったから明日からは大丈夫だよ」
祐は布団の上に立つと、片側の口角を吊り上げそう口にする。
途端無に染まる四季の表情が歪が刻まれる。
眉が瞬間より、眼は数ミリ細った。
会議室。先客が二人居た。
一人は浅葱入りの浴衣を着た柳清玄。
そしてもう一人は、この和の紅点異常なモノである一人の男である。煙草を咥え、清玄の座椅子から二つばかりの離れに腰を下ろしていた。
「あれ、おっさん。何でこんな所に居るんだよ?」
清玄の対角方面に腰を下ろして祐はそう尋ねた。苛立ちを含んだように、世嗣は灰へと昇華する煙草を灰皿へと擦り付ける。
「俺が聞きてぇよ.....傀儡師の一件の書類を纏めて提出して、いざ東京に帰ろうとしたら、ババアに止められた!!」
はぁぁぁ......
それが理由ですかい。と思いを乗せるように祐は気だるげに溜息を吐く。
四季は祐の右隣。景千代は襖からすぐの所に腰を下ろした。
何とも協調性に欠けたような着席方法に気持ち悪さを感じつつも祐は、目の前の清玄を見つめた。
「皆揃ってくれたね.....それじゃあ単刀直入だけど、この街にかの魔法使いが出没している」
刹那の間。祐と清玄を除いた三者の息が詰まる音が鳴った。
魔力の微細な揺れ。それは疑いようのない動揺の事実。
空虚な間の乱れは目で見て取れた。
「(.....なぁ四季さん。魔法使いさんって?)」
『返答:人類ので初めて魔法の境地に辿り着いた人間。ヨハン・アブソル。大陸の魔術教団『法王の籠』の事実上トップを担う人間。二つ名を大陸最強の魔術師』
「えっ?.......」
どうしてか四季説明は既知としていた。
覚えがあり、何処かでなぞった二度目の言の葉。
「まぁ毎年の事、この時期になると観光の為に来ているらしいがそれでもやはり皆には警戒態勢を敷いて欲しいんだ」
「なぁ清玄さん。そいつの見た目ってどんな感じだ?」
「ヨハンの事かい?彼は翡翠の髪色を雑に鋏で切ったような感じかな。身体的特徴は他にもあるが、何よりの特徴は魔力を完全に切れるという点かな」
又であった。
清玄の説明もまた既知であった。見覚えがあり感知した覚えるのある人外的な特徴。
「それがどうかしたってのか坊主?」
世嗣は新しい煙草を咥えると徐に火をつけた。
「あぁ......なんつーかな。俺今日の昼そいつと一緒に居た。んでもって一緒にカフェでお喋りした」
息を詰まらせる音が、金切声のように空間を占めた。
瞬間。間は静寂を吹っ飛ばした。
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初見でしたら第零話から読んでもらえると助かります。




