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退魔の英雄  作者: 明太子
外界之魔陰
47/65

45-1 嘗ての過ち

毎日投稿二十三日目。

本当に忙しくて、執筆時間が無い!!

てなわけで今回も分割で投稿します。


 ──────


 まるで崩落のことなど皆忘れていたかのよう、宴は円滑に事を運ぶ。部活、個人、学校、はたや選抜にいたるまで。天童高校の出場競技である棒倒しは、数多の怪我人を出しつつも無事決勝まで進める。その他の競技はと問われれば、個人個人で表彰入りを果たす者がちらほらであった。

 

 そして二日目は、悠々と幕を引いた。


「まだ魔力の方は治りませんか?」

「全然みてぇ.....」

祐は拳を握りは開きを繰り返す。魔力を流が流れるような微弱な雰囲気はあるにはあった。だがそれが確実なものであるかを知る方法は未だ遮断されている始末だ。

「ってか時雨さんから見て、俺の魔力はどうなんだ?」

ふと祐は呆けた顔をしながらそう問う。

「......鬼川さん程私は感知の精度が良くないのですが、現状魔力は感知できません」

「そっか」

祐はそれを一つの事実として捉えた。それ以上でもそれ以下でもないよう祐は平然と欠伸をする。

「しかし、魔陰を見れないとなるとやはり少々怖いですね」

「そうだねぇ.....時雨さんと居ない時は常に覇力で身を守らないと危ないかも」

「相変わらず、随分な強行突破ですね......普通誰も出来ませんよ」

時雨は頭を抱えながらにそう呟いた。

 現に鬼川祐の脳裏にひらめいた先方は、無駄遣いの極みと言わざるを得ない。何せ四神力の中でも絶対的な量の少ないそれはここぞという場面のみの丘の黒船。それを常時全身に纏わせるなどある種の富豪と言えよう。

「けどそれ以外に方法ないし。まぁ大丈夫でしょ」

祐はそう言い切るとけたけたと嵩嗤う。やはりその姿は自身が死にさらされている人間とは言い難かった。


「.........あっそういえば!!」

余りに突飛に祐は手を鳴らす。何かを思いついたのだろうが、それを現実でするのは少々間抜けに見えた。

「どうかしましたか?」

時雨は怪訝そうにそう尋ねる。

「時雨さんってさぁ。なんで俺の事さん付けで呼ぶの?しかも苗字で」

心からの懐疑と言えるのか祐は、眉を顰める。

「どうして、と言われましても.......癖としか言いようがないですね。そういう鬼川さんも私の事をさん付けするではないですか」

時雨はまた訝しげに祐を見つめる。

「いや俺は年下だし。流石に時雨、って言えないでしょ」

「.........なるほど。それは確かにそうですね」

小さな疑心の毛玉から糸が綻ぶよう時雨の声は平然へと戻る。

「まぁ癖かもしれないけど、俺の事は呼び捨てで良いよ。何か仰々しいし」

祐は髪紐を解くと手櫛で髪を梳かした。その姿はやはり男の姿とは思い難く、女と思い易い。

「では何と呼べば?」

「うぅん........まぁ祐で良いんじゃない。普通に」

祐の言う普通とは一体なんであるのか時雨は理解に及ばない。

「祐。ですか......」

「あぁいや。別に鬼川さんが良いならそのままでいいけど」

違和感に対し胡乱とする時雨を見て祐はそう声を掛ける。

「いえ。この際ですし、人を呼び捨てに出来るようになろうかと」

下手な所でエンジンのかかった時雨は両の拳を硬く握り、ふんと鼻を鳴らした。

「えぇっと.....では祐」

意を決して口にした祐という名は、中々にはまっていた。まるで初めからそう呼ばれていたかのように。


 ──────暗転。




 弐番街第一研究所。

 この世の中に絶対の守りがあるとすればそれはこの一角を指すのだろう。

「結びになるが.......葉加瀬君。君はもうこの街には戻る気は無いのかい?」

そんなある種の聖域(サンクチュアリ)とも呼べる空間。そこで一年(ひととせ)ぶりの会議が開かれていた。

「何度も言わせんといてもらいたいのぉ。儂はここに戻ってくるつもりは毛頭ない」

葉加瀬は一つ四百万は下らないソファーに深々と腰を掛ける。

 

 彼女を含めた十人の面々は、皆この世界に名を轟かせた天才科学者であった。

「なるほどなるほど......それは随分手厳しい」

頭髪は白く顔のありとあらゆる部分に皺が枝分かれして走る。

「貴女が居ればこの街は一段と....いや数十モノ階段を駆け上り進化する。それを手伝ってはくれませんかねぇ」

その隣、またしても同じような老人が口を広げた。

「糠元.......素数番街の進化が何に繋がると言うのじゃ」

眉を顰め葉加瀬は矢のように鋭い眼光を突き付ける。

「何を愚問な。この街が更なる変革を遂げれば、世界中の科学レベルが向上する。つまり良いこと尽くしという訳ですな」

そう啖呵を切る。葉加瀬を除いた他八名は、惜しみのない拍手を喝采と浴びせる。

「そうか.....その割には、魔陰の事を世に広めんのかい?」

だが葉加瀬はそんな言葉を見せかけのモノと嘲笑うようにそんな言葉を吐く。

「魔陰?......あぁオゼル・シェードの事ですか。まだ退魔の衆時代の名残があるようで」

糠元は鼻でそう笑う。

有益なる魔物(オゼル・シェード)かい.....あんな害虫に対して随分な名前を付けたモノだ」

「何を仰るんですか?その恩恵を最も受けたのは、他でもないあなた自身でしょう?」

三人目の科学者が舐め腐ったように口を開く。

 

「........................」

日本刀ほどの切味を持った眼光を突き付けるが、葉加瀬は口を開かない。

「まぁ何とでも言え。じゃが儂は二度とこの弐番街には戻ることは無い───それだけは変わることの無い事実じゃ」

葉加瀬は乱雑に腰を上げると、マジックミラーに囲まれた部屋から逃げるように足を運ばせた。






「そうですか.........しかし今あなたの持っている第三魔法(完全なる掌握)それだけは預けて頂きたい」

「.........ふんッ若造共が、此度は貴様らには触れさせん」


機械音が鳴ると、会議室の電灯が煌いた。マジックミラーは只のガラスへと変貌した。


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初見でしたら第零話から読んでもらえると助かります。

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