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自己治癒と他者治癒、そして

身動きが取れなくなり、困る華椰葉だが一瞬『あ』と顔をする

チラッと白衣の女を見るが、もう一つの椅子に座ろうと背を向けていた


華椰葉は何に気付いたのか




「なんでこんなことする必要が?」


「理由は単純です。怖いのよ」


「……それはおっしゃる通りです。ではこのままお話をするということで、お願いします!」


予想外の反応だったっぽい




「まずは、あなたのお名前を教えてほしいです」


静子(しずこ)と申します」


「静子さん、これからお世話になります!」


「こちらこそです。では、はじめに治癒術の大切なことを3つ伝えておきます」


「まずその1。治癒術を習得できた場合、他人には習得方法を教えないでください。……多分習得できないと思いますが」


後半にぼそっと言った言葉が聞こえ、華椰葉が少しムスっとする


「いや、後半の言葉は無視してください。とにかく絶対に他言しないことです」

「でも、みんなが自己治癒できるようになった方がいいのではないですか」


「それは”味方”の場合に限ります。いつ誰が裏切るのかわからない故、安易に教えることはできないのです。そして、確実に味方だとしても治癒術は忍術の中でも最高レベルに体力を消費する術です。よっぽど有能でない限り、治療は医者、もしくは重傷に限りますが治療班に任せた方が得策です」


「なるほど」


「その2です。治癒術は基本的に自分自身にしか使えません」


「んー、それは矛盾では? 治療班の人は他人を治せるじゃないですか」


()()()()です。」


「つまり、何か方法があるのですか」


「そうです。まず治癒班にいる忍者は皆、治癒の忍術しか使えません。今からどんなに訓練しても、他の忍術を使えるようになることは絶対にありません」


「そんな……」


「忍者の家系に生まれてきた一定数の子どもは他者を治療するために育てられます。幼いころから心の中で強く祈り、強制的に他者治癒術以外の忍術を押さえつければできるようになります。この方法を”抑え”と呼びます。別に難しいことではありません。ただ、治癒術を磨こうとしても才能がなかった人は全く忍術を使えない常人になりますが」


「その忍術を使えなくなった人は、もう忍者にはなれないのですか」

悲しそうな顔で質問をする


「もちろんです。でもそれが不幸かどうかは人それぞれです。常人になれたおかげで、安全で平和な人生を送ることができている人もいますので」


「では最後にその3です。これは無効も同然ですからお伝えしなくていいと思いますが一応……」






「蘇生術ができます」






「それって、世界で禁止されているではないですか!」

恐怖からの驚きが隠し切れなくなる


「一般的には禁止されています。しかし忍術は歴史が長くその一般には該当しないのです」


「なるほど忍術は他とは遠く離れた存在ですからね、それは理解できました。でも『無効も同然』とはどういうことですか。蘇生は忍術において禁止されてないのなら、術を施す人も少なからずいるのでは?」


「いいえ、皆がやらないのは”やりたくないから”です」


「やらないのではなく、やりたくない......よっぽどの手法なのですね。ちなみにその方法も極秘ですか?」


「いいえ、この蘇生術こそシンプルな仕組みです」


予想外に蘇生方法を教えてくれた


「まず先ほどの治療班の”抑え”を思い出してください。説明した通り他者治癒は、自身の他すべての忍術を押し込んで発揮できます。ですから、蘇生術も同じ仕組みで他者治癒の能力をすべて押し込むとできるようになります。ここでの注意点は、蘇生術は一度しか使えません」


「ということは、他者治癒をできる人は今後他者治癒できなくなり、蘇生を一度使えば常人になってしまう。だからやりたくないのですね」


「左様です。それに加えて蘇生対象者の状態にもよるのですが、他者治癒使い1人では不十分です。人数が少ないと蘇生効果を発揮しないまま抑えだけが発動してしまう場合もあります。だから他者治癒使いが多ければ多いほど安心なのです。それもまたやりたくないに繋がってしまうのですが」


そう、同じタイミングで同じ対象者に自分が常人になってまで蘇生術をしたいと思う人がいる確率など高が知れている。


「そういった理由なら、蘇生術がほとんど無効になっていることもうなずけます」


「とにかく、これらが治癒術を習得する前に知っておいてほしかった大切なことです。理解していただけましたか」


「はい! 丁寧に説明してくださりありがとうございました!」


馴染みのない忍術の話を素早く理解した



そして



早速自己治癒術の練習が始まる



「では、感覚を掴んでもらうためにけがをしてもらいます」


そう言うと、気だるそうな女性が持つとは思えないほどの大きな岩を持ってきた


「ちょ、ちょっと待ってください! って、あ」


華椰葉が気まずそうにニヤっとする




「あれ……腕と足は固定されていましたよね」




この話の冒頭を回想!


(身動きが取れなくなり、困る華椰葉だが一瞬『あ』と顔をする。チラッと白衣の女を見るが、もう一つの椅子に座ろうと背を向けていた。華椰葉は何に気付いたのか)




「……実は、結構はじめの方に焦っていたら壊してしまったみたいで」


絶対怒られる。ここまで話聞けたのに、教えてもらえなくなる。


そう不安に感じたとき



「そうだったのですね」

静子は華椰葉の前で初めてにこりと笑顔を見せた



「私ははじめに一色さんのことを怖いと言いました。なぜなら軍人だからです」


「ほう……」


「でもそれは私の勝手な決めつけだったのが、まさに今理解できました。もしも野蛮な方でしたら壊れた瞬間に私を襲いますから。むしろそれが壊れてよかったんですね、普通は絶対に壊れない頑丈なつくりですが」


「すみません、昔から力が強くて……次に拘束するときはもっとガッチガチに全身をグルグルにしてください! あと、私を理解してくださり、感謝します」


「とんでもございません。では、けがをしてもらいます」


「それは! ほんとに待ってください!」

「他の方法がいいですか?」


そういって痛そうな道具を見せびらかしてきた


あんなの、自己治癒術を学ぶ前に天国行きだよ、いや地獄か

そんなことは今はどうでもいい、とにかく

「いいえ、自分でやります」


そういって小さなナイフを腰から出し、指先をスッと切った

血がじわっとにじむ


「では、お願いします」


「わかりました。はじめにそのけがをじっくりと見て、まず状況を理解してください」

「はい」


じーーーっと見つめる


「そうしたら、治った状態を想像して」

「はい」


「それができたら息を止めて心拍数を上げます。そしてけがの現状と回復後を交互に、そして高速に頭で想像し続けてください」



すると、

指先がふわっした感覚になる



「まさか」



「できた?」




既に出ていた血を拭き取ると血は止まっているし、傷も何もない




「やったー! できました!」


「って、大丈夫ですか」




初回で成功させた華椰葉を見て硬直し、開いた口が塞がらない


「静子さん! 静子さん!」

そう言いながら手を取り


「本当にありがとうございます!」


やっと我に返る静子


「ま、まさかでしたね。でもこれはほんとに小さい傷ですから。徐々に傷のレベルも上げていきましょう」


「うげっ、はい......」


「あと治癒速度は感覚を掴めれば段々と早くなってくるので、そこはご心配なく」

「了解です!」


「初日はここまでできれば問題ありません。なので今日はお疲れさまでした」

「ありがとうございました! またお願いします」



スタスタ


カチャ

出口の扉を開けたとき、華椰葉がふり返る



「あ、静子さんよかったらこれ召し上がってください!」


すごくゴツい何かを渡す


「これは一体……」


「私がいつも持ち歩いている総合栄養食です! 静子さん、他人のことだけじゃなく自分のことも労わってあげてくださいね!」



パタッ



「行っちゃた」

そういえば、最近はお菓子かカップラーメンで栄養が偏っていることを思い出す


「だから身体が重かったのかも。ありがとう一色さん」

感謝をボソッとつぶやいた





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





セミが鳴く季節になった


「湿気でベタベタするー」

「さっきまでは動いてたからな」

「そうだね」

「僕なんかは湿気にさえ無視されるよ! だからこんなにもサラサラでしょほら見て!」


湿気が無視ってどういうことと3人が突っ込もうとしたとき



ガラガラ



「みんな最近仲いいね」



「朝霧先生!」

「昼休みに何か用ですか」


「そんな嫌な顔しないでくれ。まぁその予想通り任務に行ってほしい」


「今回は誰をご指名で?」




「全員で行ってほしい」





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