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休日

「今日は休みだ~!」



朝目を覚まして、改めて休みを実感する



「……でも、何しよう。」



昨日の夜のこと


「憂斗! 明日暇?」

「いや、任務ある」


「泊! 明日暇?」

「明日は美容dayなんだよぉ~! 最近僕のオーラが衰退する一方で……」


「みゆり! 明日暇?」

「明日は実家に帰るんだー、最近顔出せてなかったから!」



そして今


「せっかくの休みなのにこれはまずいんじゃ」


忙しすぎるせいで、休みができると逆に何すればいいのかわからなくなり顔が青くなる


「はぁ……このままじゃ時間がもったいないなぁ」

「あ! そういえば学校周辺のこと何も知らないじゃん! ゆっくり散歩がてら日用品の買い物でもしに行こうかな」



時間があるからこそ目的なしでとにかく歩き回る



「ここには公園が!」

「この路地には喫茶店が!」

「うわぁ、うなぎ屋のいい香りぃ~!」

「昔ながらの文房具屋さんもある!」


進み続けると段々と人が多くなってきた


「あれ、こんなに賑わう商店街があったんだ!」


すると、


「お母さん、お母さん! このおくつすごくかわいい……」

「そうだね、かわいい小春に似合うだろうね」


「ほしいな」

「ごめんね、今持ってるので我慢してもらえるかな」


「いや! みんなきれいなおくつ履いてる。これじゃなきゃ小春かわいくなれない! 絶対欲しいの!」


大きい声で駄々をこねる女の子と困っている母親がいた


「ほしいほしいほしいの!」



「小春! いい加減静かにして! 周りに迷惑がかかるでしょ!」



そういってペコペコと周りに頭を下げている


華椰葉は心がキューっと痛むが、他の家庭に口出しもできないしどうすれば......と思っていた時




スゥーと何かが靴屋へと入っていった



そして出てきて親子に話しかけた


「お嬢ちゃん、その靴履いてみて!」


そう声を掛けたのは紛れもなく



「泊?!」



「お母さん、写真撮っても大丈夫ですか? チェキですぐにお渡しできるので!」

「は、はい……」

不思議そうに泊を見る母親


「じゃ撮りますよー! はい、バター!」


「バターじゃないよ! チーズだよ!」

けらけらと笑う女の子を見て母親もほっとしている


数秒で完成した写真を手に持ち、女の子と同じ目線になり


「ほら、とってもかわいく写ってるね!」

と渡そうとしたとき



「ちょっと待って!」



「うわぁ! 華椰葉?!」


「あ、驚かせてごめんね! このお兄さんのお友達の華椰葉です! その写真、ちょっと貸してもらえるかな」

「う、うんいいよ」


ペタペタと何かを写真に貼り付ける


「はい、完成!」

それを泊に渡す


泊がにこりと写真を見て

「はい、どうぞ」


「うわぁ! キラキラしててかわいいぃぃぃ~! 私このおくつ履いてるよ、見てお母さん!」

嬉しそうに写真を見てぴょんぴょんと飛び跳ねる


「小春ちゃんが履いていた靴もかわいいよ。 大切に使っていてこのうさぎさんも喜んでいるはず」

「このお店の靴はいつか小春ちゃんが買ってあげてね。そしたらこのおじいさんも喜ぶと思うから」


店主もうなずきながら、

「たのしみだねぇ」

と答えた。


「うん! 小春お姫様になってこのおくつをお母さんにプレゼントしてあげる!」

「ありがとう、小春。そしてみなさんも本当にありがとうございます」


お母さんも小春ちゃんも、そこにいたみんなが笑顔になって帰って行った。





「まさかここでばったり会うとは思わなかったね!」

「ほんとまさかだよ! 華椰葉は何してたの?」

「私は学校周辺の探検をしていたの!」

「探検か! ということは、結局みゆりも憂斗も用事あったようだね」


「うんみんな忙しそうでさ! ……それにしても泊はすごいね」

「何が?」


「私はあの状況で、みんなをあそこまで笑顔にすることはできないから」

「あれは、少し僕の過去を見ている気持ちになってね」

「泊も欲しいものをあまり買ってもらえなかった?」


「ん-、どちらかというと『我慢して』とか『静かにして』って"言葉"かな。僕自身、こういう家庭だから自分の意思を押し殺して生きてきたんだ。なにか親に伝えたいことがあっても、どう伝えればいいのか段々と分からなくなった。だから、小春ちゃんもそうなってしまわないか心配になったんだ」


「そうだったんだ……」


「まぁその反動で忍術学校に入学したらこんなにおしゃべりになっちゃたんだ!」

前髪をかき上げ、面白おかしくそう言った


「あはは、泊の魅力が開花してよかったね!」

「うん、みんなたくさん話聞いてくれるから楽しくて!」


良い同級生を持ったんだなと温かい気持ちになった


「そういえば、華椰葉はシール好きなの? シール交換する?」

「シール交換って久しぶりに聞いた! 懐かしい……あ、あのシールはさっき文房具屋でキラキラしてて魅力的だから買っちゃたの」

「なんだぁ、シール交換が好きなら僕の水入りシャカシャカシールと交換して上げようと思ったのに!」

「それってみんな絶対あげたくないのじゃん! 大盤振る舞いだね! でもその気持ちだけ受け取っておくね!」

「どうぞふぉーい!!」


独特な反応に少し苦笑いをしてしまう


「僕このあと眼鏡屋予約しててさ!」

「泊って眼鏡するの?」

「うん、いつもはコンタクトだけどね! 部屋では眼鏡だから」

「そうなんだ! 私ももう少し散歩するから……んー、こっちの道に行くね!」

「おけぴより~ん! 楽しんで!」

「うんまたー!」




その後、

暗くなる前に寮に到着する



「はぁー! 充実した休みだった……ってあ、洗剤とかトリートメントとか買ってないじゃん」


着いた瞬間に気が付きため息が出る


「かーやはっ」


急に後ろから声を掛けられビクッとする

振り返るとそこには





「朝霧先生! どうしたんですか」


「華椰葉に朗報です!」


「朗報?」





「あぁ、実は憂斗から聞いたんだけど」





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