捕らわれた先
ジャンク屋の面々に会う為に、レンとリンが準備をする頃、Auto Imperial基地内でも動きが─
果たして、ユマは生きているのか─!?
─第4話─
Auto Imperial基地内部
司令官エアが各地の進行状況を確認していた。
『第24ブロック倉庫の物資が最近減っている』
モニターに映し出された映像には、人間が箱を運び出してる様子が流れていた。
この施設には、抜け穴はどこにもないはずだが、なぜ人間が箱を運び出せるのか。
不思議であった。
司令官エア─
Auto Imperial内の戦闘ロボを指揮する、【司令官】と呼ばれる人型の1人である。
通常のアンドロイド達の上位種に位置する彼らはみな、仮面をしていた。
その付けている仮面の下の顔は、誰も見た事がないと言う。
エアは特徴的な長い髪と刀を持ち、左手には手袋をしている。
レジスタンスの敵となる、ボス的存在の1人と言って良いだろう。
Auto Imperialにおける、見張り用ロボットや戦闘ロボに関しては、全てMotherMakerが作り出していた。
そのM.M.の能力を最大限生かす為には、より高度な頭脳が必要であったのだ。
司令官は全部で3人。
一見すると、人間にも見える人型タイプの司令官達はそれぞれがお互いをコードネームで呼び合い、それぞれが特徴を持っていた。
司令官達は、基地内を循環する見張り用ロボットや戦闘ロボットの性能を上げる事にも、日々注力していた。
Auto Imperial基地・第4区画内倉庫。
『ココは、どこだろう?』
周りをキョロキョロ確認しながら、ユマは独り言を呟いた。
前回の仕入れの際に、捕まりそうになっていたイチを庇い、刀を持った髪の長い赤い目をした何者かに捕まった─
はずだった。
そこから先は、良く覚えていない。
重いと感じた手足を見れば、左右それぞれに鉄球の付いた錠がガッチリとされていた。
どうにかして逃げないといけない!焦る気持ちを尻目に、看守らしいAIと共に仮面を付け、マントで体を隠した何者かが近づいて来る。
『コチラに来てもらおう…』
一言だけ不気味に告げると、その不安な怯える瞳を隠すかの様に、頭に袋をかぶせられた─。
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カナ視点・回想
2958年─
A.I.との小規模戦闘も日常的になりつつ、そんな中でも人間らしい生活を!と、それぞれの家で暮らす人達もそれなりに多かった、そんなある日。
『ねぇ〜?なんでウチには、パパがいないの?』
8歳のカナは、無邪気に尋ねる。
お遣いを頼まれては居たが、行く前にはどうしても聞きたくてたまらなかった様子だ。
『パパはね、カナが産まれる前に、ママとカナを助けてくれたからよ?』
事実、あの時レンがその身を呈して守ってくれなければ、今の私もカナもココに居ないだろう。
それを噛み締める様に、静かにリンは答えた。
『ふぅ〜ん。そうなんだ。』
ママからの言葉には、今のカナにはよく分からない意味だったが、ママから頼まれたお遣いに行く為に準備をするカナ。
『コレもちゃんと持ちなさい?』
リンから手渡される刀を、うん!と大きな返事と共に受け取ると、今はもう珍しくなった眩しい太陽の照る、家の外へと駆け出して行った。
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リン視点・回想
カナなら大丈夫だろう。
見送るリンは、ある程度の信頼を置いていた。
何年か前から体の不調を起こし、今はもう戦えなくなったリンは、娘のカナに必要な物の買い出しや戦闘面でも頼りっきりになっていた。
私にはもう必要ないから…と、約3年程前から愛用の刀を娘の護身用に預けてもいた。
最初から、戦闘センスも高かったカナは、今やレジスタンスの大人も顔負けな程には、群を抜いて、強かった。
『あの子なら、大丈夫。』
そう呟くと、久しぶりに顔を出し照り返す太陽を睨みつけた。
Auto Imperial基地内部で、捕らわれながらも生きていたユマ─
そして─
未来の小さなカナがレンの亡くなった世界で、リンと共に日々を必死に生きていた。
果たして、カナは生きているのか─!?
今後の展開を、お楽しみに─