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第8話



 「行くよ!」





 …行く…?



 …行くったって、どこに?



 男の胸は真っ赤に染まっていた。


 赤黒い色調が、少しずつ布に染み渡っていく。



 しおりは俺の手を引っ張り、走り出した。


 俺は茫然としたままだった。


 目の前で起きたことを整理できないまま、浮き足立つ足をうまく支えられない。




 走る——



 まるで嘘みたいな出来事だった。


 風が流れるような速さで、目の前の景色が揺れた。


 息つく間もなかった。


 急いで家を飛び出して、緩い坂道を下った。


 空は赤かった。


 薄長い線を引くひつじ雲が、町の向こう側へと伸びていた。



 心臓の鼓動が高まっていく。


 揺れる視界の先で、長閑な町の風景が通り過ぎていく。



 俺はただ、しおりに引っ張られるがままだった。


 掴まれた手を伸ばしたまま、もつれそうになる足を動かしていた。


 空は少しずつ翳っていった。


 チチチと囀る鳥の声が、どこからか聴こえていた。


 

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