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第7話




 カランカランッ





 地面へと落ちたナイフが、高い金属音を奏でる。



 一歩、二歩。



 男はよろめきながら後ずさっていた。


 ただ、どうして後ずさっているのかは、ハッキリとは追えなかった。


 しおりの長い髪が、すれ違うナイフの表面に交錯していたのは確かだった。


 重力を坂撫でるような変遷が、持ち上がる後ろ髪の波間に触れていた。


 流れるような動作が、横方向へと傾く。


 わずかな隙間の中を流れる。


 

 半歩、——先。



 ブラウスが乱れるほど強く。


 その「動き」は、しおりのものとは思えなかった。


 攻撃しようとする男の手を掻い潜り、右半身を相手の懐へと潜り込ませた。


 ボクシングで言うダッキングのような動きだった。


 鈍い音が響いた後、男がよろめいたんだ。


 しおりの右手には、赤い血に塗れた”包丁“があった。




 「…なっ」




 絶句した。


 何が起こったのかわからなかった。


 その時に見た「光景」は、異様と呼ぶにはあまりにも滑稽だった。


 

 (なんで、しおりが…?)



 目に映った包丁。


 その“こと”の異様さは、思考の内側には無いものだった。


 想像さえできなかった。


 地面に落ちるナイフの音を、綺麗に拾い上げることもできず。


 

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