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第3話



 「…冗談…だろ…?」



 身に覚えがない。


 ナイフを突きつけられるようなことをした覚えはない。


 …でも、じゃあなんで目の前のコイツは、俺を襲おうとしてるんだ?



 声を出そうにも、息切れしてて全然…


 周りに人はいない。


 俺が住んでる町は、良い意味でも悪い意味でも長閑だった。


 助けを呼ぼうにも、周りにいるのは近所のおばさんくらいだ。


 そもそも家が少なかった。


 車の通りだって少ないし、歩いてる人なんて滅多に…



 終わる——



 後ずさる俺を見下ろしながら、男はナイフを振りかざしていた。


 マスク越しに見える眼光が、交差する視線の中に動いていた。


 死ぬと思った。


 咄嗟にガードしようとしたが、ナイフを防ぐ方法なんて…


 


 ——ドッ…!




 鈍い音がして、自分の体が無事かどうかを確認しようとした。



 …傷は…ない…?



 


 血は出てなかった。



 …っていうか、あれ…?




 傷がないどころか、痛みすらなかった。




 …でも、なんで…





 見上げると、そこには人影が覆い被さっていた。


 揺れるスカートと、オーソドックスなセーラーカラー。


 一瞬、目を疑った。


 そんなわけないと思った。



 どうしてそこにいるのかも。


 なんで、急に現れたのかも。



 どこかで見たことがある背中だった。


 長い髪の隙間に見える白いうなじと、レモンの香り。


 四角い後ろ襟が、重力に逆らうように浮き上がっていた。


 さっと風が吹き抜けるような、



 そんな軽やかさの、——中で。


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