彼女は、言葉の意味を知らないと言った。
はるか未来において、人類は「過去」を管理するネットワークを開発していた。
世界はやがて滅びる。
その運命に抗うためには、“過去を変える”必要があった。
しかし、それには問題がいくつかあった。
まず一つ、新しい未来を構築するためには、未来に存在するはずだった「記憶」を世界に返還する必要があった。
世界に流れている時間はたった一つだけであり、複数の時間を同時に交差させることはできない。
つまり未来を変えるには、これまでの時間を塗り替える必要があり、その意味で「記憶」を変換する必要があった。
もう一つが、「知脈(エビデンス・ライン)」と呼ばれる電磁波ネットワークへの侵入である。
過去を変えるには、人の遺伝子の中に流れる記憶を遡る必要があり、その「ネットワーク」を通じて過去へと戻る必要がある。
しかし、このネットワークに侵入することができるのは、生身の人間には不可能であった。
そのため、このネットワークに侵入することができる人工的な“知能”を生み出す必要があり、この知能を、人々は「返還者(ロスト・メモリーズ)」と呼んだ。
ロスト・メモリーズは、過去の人間の意識の中に潜り込み、その人間の人格を乗っ取ることができる。
『世界のゲート』と呼ばれる知脈を通じ、過去への扉を開く。
ロスト・メモリーズの使命は、かつて人々が開けなかった扉を、こじ開けること。
手に触れられなかった時間を、繋げることだった。
プロローグ
ピアニッシモの岸辺に
2024/11/04 23:29
俺、何かしたっけ?
第1話
2024/11/05 08:36
第2話
2024/11/05 20:38
第3話
2024/11/06 08:39
第4話
2024/11/07 20:39
第5話
2024/11/07 23:35
第6話
2024/11/08 22:07
第7話
2024/11/09 18:47
第8話
2024/11/10 16:08
何千年後かの話
第9話
2024/11/11 08:24
第10話
2024/11/12 08:30
第11話
2024/11/12 08:31
第12話
2024/11/13 08:31
第13話
2024/11/13 08:32
第14話
2024/11/14 08:44
第15話
2024/11/15 08:32
第16話
2024/11/15 08:33
第17話
2024/11/16 18:50
第18話
2024/11/17 13:47