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第8話 この村をシメる 村長

「おはよう。今日はよくやってくれたな。ありがとう。モビーさん。」

「いえ、あのまま牛が、暴れていたら、狂暴化が他の牛にも、『伝染』していたかもしれませんでした。無我夢中でしたけど、上手くいったのは、たまたまですよ。村長さん。」

「これは、お礼込みだ。取っておきなさい。モビーさん。」

 そう言って、いつもより沢山の小銭を、支払ってくれた村長だった。

「あら、こんなに……宜しいんですの。村長さん。」

「まあまあ……『お礼』だよ。これは。で、ついでと言っちゃあ何だが、我が家で働かんかね。今のままでは、生活も苦しいだろう。もう少し楽な生活を、させてやれるんだがねぇ。」

「いえいえ、お気遣いなく。それに、主人や子供の事もありますわ。村長さん。」

「なあに、『魚心あれば水心』とも言うじゃないか。そこは、奥さん次第だよ。なぁ。」

 そう言いつつ、母親の背中に手を回す。更に、微妙にその手を、下へとずらす笑顔の村長。

「おい! 何だ! 村長のその『笑顔』は! エロい事考えてる顔にしか見えねぇぞ!」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「村長! 『いつものお客さん』です。待たせてあります。」

 そこに、息せき切ってやって来たのは、村長宅で働く下男だ。その隙にさっと離れる母親。

「では、失礼致します。村長さん。」

 そう言い置いて、持つべき物を持って、そそくさとその場を離れ、家路を急ぐ母親だった。

 無論、村長にその様な『役得』を許した訳では無い。報告が来たからやめるだろう。そう考えたまでだ。で、『いつものお客さん』って、きっとあれか。ま、村長が案内してくれるさ。

「……分かった。今行く。待たせておけ。」

 如何にも、釣りの際、魚に糸を斬られた釣り人の如し。そんな貌になる村長だった。

 で、村長が会いに行った『いつものお客さん』だが、行商人の事だ。おっ、好都合だな。

 この村は、まだ裕福な方だ。何しろ、村長が、乳牛を100頭飼育している。だから、村の女性達は、手伝いに来るのだ。その牛乳を買い取りに来るのが、『いつものお客さん』だ。

 いつもの定型文の様な挨拶をすまし、伝票を確認する村長、行商人。その間に、村長の下男や家族が、大急ぎで牛乳を満載したタンクを、行商人の馬車に積み込む。

 積み込み作業を終えると、村長が伝票に署名し、書類を持った行商人は、馬車で帰る。

 その隙に、『魅了』と、『記憶』を読み取る『魔法』……『記憶探査』を使う。良し成功。


 * * * 



次回予告

第9話 この村をシメる 悪ガキ共

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