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第7話 この村をシメる 神官

 翌日、習い事の為教会に行くと、神官に悪戯をする子供がいた。無論、止める様注意した。

「ケッ、ヤクタタズのクセに、ナマイキなんだよ。」

 誰も、取り合わなかった。濡れた雑巾を、扉の上部に挟む古典的な手法だった。

 そこで、神官が、扉を開く前に、『念動』で雑巾を押さえ、事なきを得た。しかし……

「それを、ヤッタのは、コイツだよ。ゴーダだよ。」

 あろう事か、濡れ衣を着せるのは、悪戯の犯人共だった。

「そうか、皆は、ここで大人しく待ちなさい。ゴーダ君、私と一緒に来なさい。」

 勿論、同意の返答を供について行く。すると、神官の執務室へ連れていかれた。

「今日は、ここで勉強しなさい。できるね、ゴーダ君。」

 これは、昨晩の内に、神官にかけておいた『永続化』した『魅了』の効果によるものだ。

 『魅了』とは、術者を尊敬し、術者の為になる事を『したい』と思わせる『魔法』だ。

 『洗脳』と違い、強制力こそ弱いが、使い方次第となる『魔法』とも言える。

「神官様、彼等には、『ゴーダ君は、反省室に入れておいた』。そう伝えて下さい。」

「お安い御用だ。では、私は授業に戻るからね。ゴーダ君。」

 こうして、神官の執務室に1人取り残される形になった。よし、これで自由に行動可能だ。

 まずは、『念視』だ。これで、村中の出来事全てを、つぶさに見聞きできる。


 * * * 


 場所は、村長宅の敷地内、牛舎だ。乳しぼりを手伝う為、母親を初め村の女性達がいる。

「おーや、役立たずの、極潰しの母親じゃないか。オラァッ!」

 母さん! あの女、母さんを突き飛ばしやがった。何故、ここにも邪悪な人間ばかりか。

 ……『詠唱省略』……『凶暴化』!

 ここで、牛の乳しぼりの為、牛の右後方に回り込んでしゃがむのは、太った奥方。

「Bwwwooowehh!」

「ぶぎぇっ!」

 そこに、鼻息も荒く暴れ出した乳牛の後ろ蹴りを、もろに顔面に喰らった太った奥方。

「いけない!」

 慌てて、乳牛を宥めに掛かる母さん。いかんな。『凶暴化』……『解除』……

「今、牛の雄叫びが、聞こえたぞ! 何があった!」

 息せき切って、牛舎に駆けこんで来たのは、村長だった。

「プププっー! なんだ、そりゃ。鼻が潰れて、豚みたいじゃないかぁ! ゲラゲラゲラ!」

「はっ! はにゃぁーー! ぶっ……ビヒヒィー!」

 泣き喚くのは、太った奥方だ。泣き声も、豚の如しだった。

 気を取り直して、テストの際、わざわざ教会まで『転移』で移動したのは、あくまで試し。

 この村……ギャロー村の中であれば、全てを『射程内』に収め、『魔法』を行使可能だ。

 故に、ここ……教会からで十分。さて、既に村長にも『魅了』をかけてある。そろそろだ。


 * * * 



次回予告

第8話 この村をシメる 村長

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