第6話 学習 問題点
で、現状の確認は、ここまで。次に、僕の私見を交えた問題点の、洗い出しに入ろう。
まず、最大の問題点は、身分制度があることだ。人は、生まれた瞬間に、一生が決まる。
『農民』の子として、生を受けた以上、『農民』として、生きる義務がある。一生だ。
更に、神から授かった『力』。これを、部下達に分け与え、それが世襲されている事だ。
結果、持つ者は、『権力』と『財力』と『魔法』を持っている。それが、続く事数百年。
僕は、この世界で貴族に、お目にかかった事等無いが、相当選民思想に凝り固まっているに相違ない。少数の持つ者が、多数の持たない者を、選民思想で支配するのだ。この国は。
……これでは、社会が不健全化するのは必定。当然、宗教もこの支配に『加担』している。
国王陛下は、神より選ばれし神聖な存在である。故に、無条件で従え。当然、国王陛下が、定めた法……身分制度も、国王陛下同様に、神聖なものである。などと国民を洗脳している。
「いや、それ事実だろう。現に、神から『力』を授かったんじゃあないのか。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
「確かに、この世界では、神官でさえ、『魔法』を使っていた。が、国王が全国民を支配する『力』を持っているとは、限らない。その上、国民を押さえ付けているのはおかしい。」
などと言う無意味な指摘に、無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
これでは、社会は発展しない。むしろ、『安定』と誤解される『停滞』だけだ。
せめて、立憲君主制にし、『国王の基に、国民は平等』ぐらいにはすべきだろう。
そうすれば、国民全員に、同じ教育を施す事が可能だ。それで、多数の人材を賄える。
更に、『魔法』だって人材が増える。圧倒的にだ。即ち、すそ野が広がれば、山自体の高さを高くできる。これは、『義務教育』の目指す高みだ。
後は、能力主義、成果主義による格差こそできようが、身分による格差よりはましだろう。
それに、税制を工夫して、金持ちから搾り取って、貧乏人に再配分すればいい。問題無い。
で、ここから先は、『対策』を考えよう。と言っても、あまり詳細にはできないが。
まず、上記を取りまとめよう。この国には、『貴族不要』だ。百害あって一利なしでもある。故に、『対策』とは、国王に直談判する事だ。或いは、僕自身が、国王になるしかない。
何れの場合も、デメリットはある。前者は、国王を説得する材料だ。後者は、『始祖王』に、『力』を授けた神が、介入してくる可能性だ。それは、当然と言えよう。
神が、自ら『力』を授けた『人間』が、滅びたら怒るだろう。その結果、何かの制裁を加える可能性がある。或いは、より強い『力』を授けて、対抗するかもしれない。
何れにしても、『貴族』にならねばならない。『貴族』になるには、養子になるしかない。
そうすれば、『王立魔法学園』に入れる。そうすれば、堂々と『魔法』を使えるからだ。
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次回予告
第7話 この村をシメる 神官
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