第5話 学習 この世界の歴史と社会
そこで、使える『魔法』を駆使して、教会の本を読み漁った。これで、基本情報は完璧。
何しろ、ここ数代の教会神官は、勉強熱心でかなりの本を所蔵している。そのお陰だ。
そこで分かった事は、ここ『レーペリン王国』は、疑似中世欧州風世界だ。
初代国王……『始祖王』は、神から授かった『力』を振るい、この世界に王道楽土を築いた。それこそが、ここ『レーペリン王国』の基礎になる。国堺は、後々変動するが……
更に、『始祖王』は、自身に付き従う6人の『腹心』に、自身の『力』を分け与えた。
彼等の内、4名は、初代侯爵となり、1名は、宗教指導者、初代教皇となり、紅一点は、王妃となった。こうして、国王を頂点とした、貴族、騎士、平民と言う身分制を固定化させた。
現国王は、ロバート・ジ・レーペリン13世。尚、王族は、即位すると必ず『始祖王』と同じ名前である『ロバート』と、改名する事が慣例となっている。故に、必ず代数を付与する。
……と、まあ……ここまではよくある『建国記』……その抜粋に過ぎない。
ここで、もう少しこれらの情報を、深掘りして行こう。
ここ『レーペリン王国』は、国王親政、いわゆる専制君主国家だ。当然、彼の配下には、爵位と国土の一部を領地として与えられている事で、忠誠を捧げる者達……貴族が多数いる。
これは、下から順に、男爵、子爵、伯爵、侯爵、公爵(王の親戚)となっている。
彼等、いわゆる少数の王侯貴族が、『権力』と『財力』と『魔法』を持つ者であり、大勢の持たざる者……平民を、支配している。それも、王侯貴族が、持つ『力』でねじ伏せている。
騎士に関しては少し特殊だが、元は、『武芸』を王侯貴族に、売り込んだ『ならず者』だ。それが、貴族の配下で、貴族式に教育され、貴族化したものだ。だから、礼儀作法にも拘る。
ちなみに、王侯貴族は、世襲だが、騎士は一代限りだ。その為、上の者から認められ、叙勲される必要がある。そこで、武芸だけでなく、学問にもかなりの時間を割く。
先程も触れたが、『魔法』は、王侯貴族が独占している。その為に、わざわざ教育機関を、作ったくらいだ。それが、『王立魔法学園』である。まあ、『魔法』を教える学校だ。
これは、王国の為、『魔法』の技術向上と発展に尽くし、また、必要な人材を育成する事を理念としてうたっている。無論、入学を許されているのは、貴族の子弟のみだ。
要するに、『魔法』の知識技術を、『独占』したい王侯貴族の為の『学び舎』と言える。
最後に、宗教だ。これは、『始祖王』に『力』を授けた神を崇める。名前は無い。
神の事は、『神』と呼び、宗教自体も『神教』と呼ぶ。要するに、他の神を認めていない。
ちなみに、『神教』関係者は、身分とは切り離されているが、尊敬されるのが常識だ。
で、『神教』関係者には、『階級』がある。これは、下から順に、神官、司祭、大司祭、司教、大司教、枢機卿、教皇だ。尚、神官とは、平民がなるもの、他は、貴族がなるものだ。
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次回予告
第6話 学習 問題点
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