第1話 『洗礼』
「おはようございます。ディックさん、モビーさん、ゴーダ君。」
話しかけて来たのは、お隣さんのお父さんに、お母さんだ。
「おはようございます。ロイさん、オービィさん、トゥパ君。」
僕のお父さんに、お母さんだ。
「おはようございます。ロイさん、オービィさん、」
僕も、一緒に挨拶する。
「いやー、この日が、無事に来てくれて、本当に良かった。ゴーダ君も、立派に育ってくれて良かった。神の思し召しでしょう。そう思いませんか。ディックさん。」
「ありがとうございます。ロイさんの所のトゥパ君も、元気に育ってくれたと思いますよ。」
こんな具合に、挨拶を交わす双方の両親を置いて、子供同士で挨拶する。
「おっす。ゴーダ。」
「おはよう。トゥパ君。」
等と言いつつ、歩みを進める2家族。すると、他の家の人達も見える。彼等の向かう先……
こうして、村の教会へと、多数の村人達が集まった。
* * *
「神よ、今日と言う良い日に、感謝申し上げます。」
場所は、教会内部の礼拝堂。正面で、今声を発したのが、ランブル神官だ。
神官の言葉を復唱する村人達。皆、一様に吐く息が白い。
「さて、皆様。本年最初の礼拝は、『洗礼』です。これで、5歳を迎えたお子様質の『職業適性』が、判明します。お子様を連れ、こちらに一列に並んでください。」
村人達が、一列に並んでいる間に、『魔法』を『詠唱』する神官。
すると、輝きを放つ床。否、床に描かれた『文字』と『円』だった。
神官に、歩み寄る家族がいる。その家の子供に、『円』を踏まずに、中に入る様促す神官。
「うんしょっと。」
すると、空中に『文字』が、浮かび上がる。
「はい。『農民』ですね。お家の手伝いを、させてあげて下さい。良き導きのあらん事を。」
神官の言葉を復唱する家族。これで、1家族終わりだ。そして、次々と進む。そして……
「おや、トゥパ君は、『大工』ですね。親方に、弟子入りした方がよいでしょう。」
「最後は、ゴーダだよ。線を踏まない様に、『円』の中に入りなさい。」
お父さんに頷き、そっと『円』の中に入った。すると、空中に『文字』が、浮かび上がる。
「え? ……『旅人』……ですか。珍しいですね。」
「ププぅーー! 使えねぇー。ゲラゲラゲラ!」
* * *
次回予告
第2話 役立たず
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