1:中年の結婚話は、どこか打算的なワケで・・・
「そろそろオレみたいな男でどないや。」
15年来の友人である四十路男が、こう切り出してきた。
「それも‘有り’なのかな・・・」
何となく受けてしまったプロポーズ。
二十代の時のように、夢や希望に前向きだった時代が終わり、
何となく先が見えてしまった自分の未来。
自分の体力と精神力の低下で
毎日、何となく倦怠感とダルさが続くカラダ。
いつまで会社に雇っていてもらえるのか分からない、世界恐慌。
両親の病気も、そろそろ他人の手を煩わす病状が目立つようになってきた。
四十路男が結婚したい理由も
三十路女のワタシがプロポーズを受けてしまった理由も
きっと同じ。
‘独身貴族’なんて言葉は、
本当にお金持ちじゃない限り
自分も両親も‘身心共に元気な時’にしか使えない言葉。
「オレの両親も、いつまで元気でいられるか分からないし、
オレは仕事があるから、面倒は見れないし・・・」
・・・
ソレって要するに、ワタシは介護要員なんだろうか?
そういうワタシも‘不安定な自分の未来予想図’と‘この結婚話’を
天秤にかけているわけで・・・
どっちもどっちの話なのである。
中年男女の、どこか打算的な未来予想図。
愛し合ったコトのない二人から始まった、この結婚話。
プロポーズを受けてから約一年。
愛が生まれていないのだから
ワタシ達はまだ、どうしてもSEXをするコトが出来ないでいる・・・