お約束だね
転生した。また転生してしまった。
何度も転生していると、慣れてくる。
起きたことは起きた事として生きていくだけ。
なのだが…
今度のはどういう状況ですか?
目の前のクマのような魔物。デカい。
よだれを垂らし、その対象がオレの意識が宿った子供?
いや、もっと小さいぞ。幼児か?
ふむふむ、なるほど。
いきなりピンチだ。
これはいけない。このままではいきなり終わってしまう。
こんな時、いままでだったらどうなってた?
いきなりチート能力で危機回避とか。
と焦っていたら、クマの魔物の首がズレ落ち、巨体は前のめりに倒れ…
ドスン。どうやら死んでしまったようだ。
ああ、今度も魔法は使えるみたいだ。無詠唱のうえ自動発動。
なにこれ凄い。ってこれ全前世から持っていたし。
焦ることもなかったようだ。チートですよ。異世界物のお約束ですね。
これなら身の危険を感じることなくのんびり生きてゆけそうです。
ここは森かな?そもそも俺は誰?
「ステータス」
これもお約束。
名前「未定」
性別:男
LV:1
HP:10
MP:10
未定?…ええええ!
名前無いの?もしかして初期設定?ゲーム?なにこれ。
今、もの凄い現実味あるのですけど。
いやいやいや。落ち着け俺。ここはあれだ。お約束として神様が出てくる場面だ。
「おーい、神さまー。俺が今の状況に困っていますよー。」
…
「返事がない。どういう事だ。神はいないのか。」
お約束はどうなった。いやお約束がある前提と考えるのもおかしい。
しばらくして、考えるのを止めた。
こういうもんだと思えばいい。
ん?きたか。あれだな
「ステータス」
名前「未定」
性別:男
LV:2
HP:20
MP:20
どうやら今ので上がったみたいだな。近くの村でも探そうか。