第81話「戦い後の話し合い」
今回ともう一つ番外編を書くことにしました。
その後に登場人物紹介を書いて今章を終了します。
紫電達がレイア邸に辿り着いたときには祭と雪菜はすでに戻ってきていた。
「お帰り、互いにこっ酷くやられた様だな」
「祭よりかは…随分とマシなようだけど?」
「紫電は脇腹で俺は左腕…確かに軽く差があるな」
「笑っている場合ですか…早めに治療できてよかったですよ。紫電達に倒れられると残った私達が困るんですよ?」
「……所で叢雲ちゃん。援護間に合ったのか?」
「誤魔化した」
「…というか、援護って? 俺は知らないけど」
「援護…間に合わなかった…他のアルターエゴの…人達と…鉢合わせちゃって」
「…ミストルに来ていた赤坂という少女が言っていたことか?」
「そう…別動隊と…接敵した」
「大変だったな。大丈夫だったか?」
「そうじゃ…なかったら…此処に居ない」
「そりゃそうか」
「皆様、お食事の用意が整いましたので食堂の方へどうぞ」
紫電達でそれぞれ会話していると鈴がやってきてご飯の準備が出来たことを伝えてきた。
「分かりました。すぐに向かいます」
「………」
「どうした紫電? 行くぞ」
「ん…悪い、ちょっと考え事してた。すぐ行く」
紫電達は鈴の案内の元、食堂へと移動した。
食事を取る中でも紫電は会話に参加せず、考え事をしているようで箸が進んでいなかった。
「如何なさいました紫電様? お食事が口に合いませんでしたか?」
「あ、いや。そういう訳では無く、ご飯は美味しいよ。今は少し考え事をしていただけ」
「そうですか。宜しければ、私が相談に乗りますよ」
「…そういえば、貴方は双鶴と知り合いのような話し方をしてたよね」
「はい、双鶴様とは学生時代からの付き合いとなります」
「そうなんだ。その時から双鶴って何か習ってた? 剣術とか」
「いえ、そのようなことは聞いたことはありません。ヴァイオリンの腕前が高くいくつかの大会に優勝していたことは聞き及んでおります」
「その時の正装に何か家紋のようなものはなかった?」
「そういえば、音楽とは不釣り合いの刀を象った紋章を入れている時がありましたね…」
「そう、ありがとうございます。それが聞けただけでも進展はありました」
「よく分かりませんが、お役に立てたのなら本望に御座います」
そこからの紫電は会話にも参加し、食事は何事もなく終えた。
「レイア、気になることがあるんだけどさ」
「何でしょうか?」
「鈴が俺を助けてくれた時に海上に浮いていたよね? あれどうやってたのかなって」
「ああ、そのことですか。あれは家で極秘に制作していた立体高機動補助装置です。試作型ですので空は飛べませんが、海上に浮かぶことなど色々出来ますよ」
「そんなものが…というか極秘なんだろ? 俺達に言ってよかったのか?」
「大丈夫ですよ。もともと今回のようなことが起きる可能性を考えて作っていたものですから、使わないに越したことは無かったのですがね」
「そうなんだ。そうだ、俺はもう家に帰らせてもらうな」
「何か用事でも?」
「まぁ、そんなとこ」
「分かりました。鈴に送り迎えさせますので」
「ありがと」
そして、先に家に帰ってきた家族にご飯を食べたことを伝え、お風呂に入るまでの空き時間、紫電は一人、家の道場の一部をいじっていた。
「確かここら辺に…あった!」
カチッとスイッチのようなものが入る音が聞こえ、道場の一部が開く。どうやら隠し扉があったようだ。
その先を進んだ紫電が開けた場所に出た後、中央に掲げられている紋章を見る。
「昔偶々このスイッチを見つけて、中を調べたことがあったけど…その時に見た紋章がまさか、アルターエゴの双鶴と零鶴の付けていた紋章と全く同じ何てね」
家の道場の奥にある昔父親に聞いたときに家紋と教えられた紋章と双鶴達が付けていたものが同じだったことに紫電の顔を俯かせた。
「双鶴と零鶴の剣術の師匠は――」
紫電がその先の言葉を紡ぐことは無く、そこから去っていった。
次回番外編のような物、ミストルかアルターエゴの人達のその後を書いてみます。
学校のテストがあって今回は遅れました。すいません




