第80話「メイドでございますが?」
前回に登場したメイドさんの事を書いて第一回組織対抗戦争を終了します。
メイドさんのイメージはアズー〇レーンの某エディンバラ級二番艦と東方の紅魔館のメイド長を足して二で割った感じと思ってくれれば…
「通りすがりの…メイドでございます」
そう乱入してきたメイド服を着た赤髪の女性が言う。
零鶴は意味が分からずに再度叫んだ。
「こんな海の上でただのメイドが通りすがるわけないでしょ!? それに私の全力で振り抜いた刀をそんな軽々と受け止めておいて…」
「いえいえ、見事な一撃でございました。受け止めるので精一杯です」
「そんな涼しそうな顔をしておいて、良くもまぁ…でも、紫電さんとの戦いを邪魔してくれた礼はしないとね!」
零鶴はメイドに向かって切りかかる。
メイドは何処からか取り出したナイフのような物…暗器を両手に握ると華麗な身のこなしで零鶴の刀を捌く。
「やっぱりメイドじゃないでしょ貴女。ただのメイドが海上に浮いてしかも私の刀を捌ききれるわけない」
「いいえ、私はお嬢様に使えるただのメイドでございます」
「やっぱり、レイアの所のメイドさん…」
「お久しぶりでございます紫電様。レイアお嬢様からの連絡で援護に参りました。間に合ってよかったです」
「レイアが…」
「叢雲様と芽衣様も向かっていらっしゃるそうです。もうしばらくの辛抱ですよ」
「私を無視しないで!」
紫電とメイドが二人で会話していると無視されている零鶴が再度切りかかってきたが…
遠くから伸びてきた茨によって中断される。
「レイアの出した茨…」
「紫電様、今の内に…」
メイドによって紫電はレイア達の方へ離脱。
「待ちなさい! くっ! 茨が邪魔して…」
零鶴はレイアの操る茨に苦戦している。
その隙に紫電はレイアの下にメイドと共にたどり着いた。
「紫電! 良かった間に合って…」
「お嬢様、少々危険な位置に抱き着いています。もう少しずらしてくださいませ」
「えっ!? あっ! ごめんなさい紫電」
「い、いいよ。大丈夫、だから。ともかく助かったよレイア、メイドさん」
「申し訳ございません。私としたことが名乗り忘れておりました。改めましてブラックバード家でメイドをしております。夜桜鈴と申します。宜しければ鈴、もしくは愛称のベルとお呼びください」
「分かった。よろしくお願いします鈴さん」
「私に敬語で話されなくとも構いません。レイアお嬢様のご友人ならば、どのような人物であれ、敬意を払います」
「それ、どういう意味ですか」
「紫電様は少々危険な方のようなので。ご自身の事など二の次、戦いを楽しむのは構いませんがもしもの時お嬢様が悲しまれてしまうことになっては困りますので」
「……それで結論は?」
「しばらくの間、貴方様の傍で見極めさせてください。貴方様の生き様を……よろしいですか? お嬢様」
「貴女がそう言うなら、私から言う事は何もありません。鈴の好きなようにしてください」
「ありがとうございます」
「だから、私を無視して楽しそうにしてんじゃないわよ!」
零鶴がレイアの操る茨を突破して地面に着地して叫ぶ。
「特にそこのメイド! 戦いにメイド服で乱入しておいてあっさりと撤退してくれちゃってふざけてんの!?」
「いや、そいつはいつだって大真面目な奴だ」
「双鶴兄。気が付いたの!」
「ああ、悪い。負けちまったよ。後撤退するぞ零鶴」
「どうして!?」
「周りが見えなくなるのはお前の悪い癖だ。他の奴も負けてる。残っているのは今気が付いた俺と零鶴だけだ」
「っ!?」
「そう言うわけだ。行くぞ零鶴」
「分かった」
「おや、お逃げになられるのですか? 双鶴様」
「この状況で逃げないという選択はないだろ。お前もいる事だし、こちらにもう勝ち目はない。だから大人しく撤退するよ」
「逃がすとお思いで?」
「簡単には逃げられないだろう。だからどんなに卑怯と言われようともどんな手を使っても逃げさしてもらうよ」
そう言って双鶴は周囲一帯に煙球を投げ、目くらましする。
「煙球程度で…いえ、もういませんね。相変わらず逃げ足の速いお方です」
鈴が再度暗器を構えたがすぐに構えを解いた。
周囲の煙が晴れ、辺りを見渡したがアルターエゴの人たちの姿はなかった。
すると遠くから叢雲と芽衣が走ってくるのが見えた。
「今回はなかなかにきつかったな」
「そうですね。この後しっかりと休憩しましょう」
そう言って紫電とレイアはいつの間にか用意されていた車に乗るのだった。
次回は日常会話を書いてその次に登場人物を書いて第5章を終わらせます。




