第66話「弟と街散歩」
今日でこの小説は一周年を迎えることになりました。
ということでその記念として前にほのめかしていた新しい小説を投稿しましたので、それも見ていただければ嬉しいです。
そのタイトルとURLはこれです。
最弱無双の妖精乱舞 ~最強へと誘うフェアリーダンス~
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祭が派手に紫電ごと自滅した模擬戦から数日後の事。
紫電は祭から模擬戦で受けた傷を治して今日は何をしようかなと思っていた時、紫音から町に散歩に行かないかと言われた。
「散歩って…なんで? 今は外、危ないぞ?」
「別に何かあっても大丈夫でしょ? 何とかなるって!」
「その自信はどこから出てくるのか…まぁいいか、気分転換にもなるし」
「でしょ? だから行こう!」
「はいはい…って、だからって引っ張らないでくれ紫音!」
紫電は紫音に引っ張られながら外に出る準備をして、すぐに街に出た。
久々に紫音と二人で街を歩くなと、ふとそんなことを考えた紫電。
最近は物騒になったから(まぁ、魔神のせいだが)、外に出ることは少なくなったらしいからな。
「で、散歩したいってのは分かったけどどこに行くのか、予定みたいなのあるのか?」
「無いよ、そんなの」
「でしょうね…」
何となく察していた紫電は、マイペースな紫音の様子にそっとため息をつくと、
「取り敢えず、何か買うぞ。そこのスタバに寄ろう」
「うにゅ? 分かった」
そして、スタバで飲み物を買い、また街並みの中を歩く始めた。
その後もただ、街を雑談しながら、目的もなく歩き続けていた時、紫電の耳にかすかに男女の言い争っているようなそんな声が聞こえた。
(なんだ? ――そこの路地裏からか…)
「? どうしたのお兄ちゃん?」
「いや、そこの路地裏から何か言い争っているような声が聞こえて」
「え? 僕には何も聞こえないけど…でもそれなら大変、止めないと!」
「あっ、こら一人でっ突っ込むな!」
(割と似た者同士ね、紫電と紫音は…兄弟だもの当たり前か)
紫音が先行して路地裏に突っ込み、紫電が少し遅れて路地裏に入る。
そして二人が見た現場は女性一人に対して複数人の男性が周りを囲んで、そのうちの一人は女性に対して壁ドンに近いことをしていた。
「うわぁ~、テンプレすぎるだろう。この状況…」
「確かに、ナンパにしてももうちょっと場所と人数を考えた方がいいね」
そんな事を話していると、男性たちが紫電達に気づいた。
「誰だ、お前ら! 俺達に何の用だ! 何をしに来た!」
「一度に聞くなよ、めんどくさい。そしてそれはこっちのセリフだ。このご時世にナンパなんて、しかも女一人に何人がかりだ?」
男の問いにめんどくさいと答え、逆に質問した紫電だが、
「お前らには関係ないだろ!」
と逆上された。
「確かに関係ないけど、それでもこれを僕は見逃すわけにはいかない!」
「…女のくせに生意気だな! お前らやっちまえ!」
男の一人が紫音に殴りかかるがその間に紫電が割って入り、拳を簡単に受け止めると
「俺の弟に何しようとしてんだてめぇ!」
と言い、腹と顔面に拳を叩き込んだ。
「な、何してんだお前ら、囲んでやっちまえ!」
「お、おぉ、行くぞ!」
そう言って紫電達を囲んだ男達だが、紫電と紫音に手も足も出ずに返り討ちにされた。
「くっ! くそ」
と劣勢になったのを見て逃げようとした残りの二人は気付かなかった近くから女性の拳が飛んできたことに…
「なっ!」
「なんだと!」
不意打ちに動揺していた男たちが反応することが出来るはずがなかった。
そのまま拳が入り、残った二人もそのまま気を失った。
「ふぅ♪ いいね。良い拳」
「お姉さん凄いね! 手伝う必要はなかったかな」
「ううん、助けてくれてありがとう。道に迷って困ってたところでその人たちに声をかけられてね」
「それでこの状況になったってわけか」
「あ、名乗ってなかったね。私は零鶴っていうの。よろしくね!」
「俺は紫電。でこっちが弟の…」
「紫音です! よろしくお願いします零鶴お姉さん」
「紫電さんと紫音君ね。で、ちょっと恥ずかしいけど、助けてくれた事とは別に頼みたいことがあるの」
「道案内か?」
「話が早くて助かるわ。お願いできるかしら」
「お願いされたよ! 行こうお兄ちゃん!」
零鶴の目的地に向かって歩き続けて、もうすぐ着くというところで紫電の電話に着信が入る。
「…あ、ごめん、電話かかってきた。俺はここで待っているから紫音、零鶴さんを連れて目的地まで」
「うん、分かった」
「また縁があれば会いましょう。紫電さん」
そうして紫電は電話に出て、紫音は零鶴を連れ、目的地に着いた。
その場に男女が二人携帯を手に立っていたが紫音と零鶴に気が付いた。
「やっと来たか、零鶴。待ってたぞ」
「ごめんね。双鶴兄、迷っちゃってこの人とその兄に送ってもらったの」
「相変わらずね。だからあまり一人で動かないでって言ったのに」
「うぅ、ごめんなさい。オーラ姉」
「あのぅ」
「あぁ、すまない。妹をここまで送ってくれてありがとう。何かお礼が出来ればいいのだが、あいにく今手持ちが無くてな」
「気にしなくていいですよ。それでは僕はこれで…兄を待たせてしまうので」
「感謝する、気を付けて」
そう言って紫音はその場から離れたのだった。
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紫電は電話をかけてきた相手…レイアと話をしていた。
「それって本当か?」
「はい、本当です。片方の敵のアジトが分かりました」
「分かった。一度集まって作戦会議といこう」
分かりました。っとレイアからの返事が返ってきた後、電話が切れたのだった。
後書きで書くワンダーランドウォーズの戦績発表の時間でございます。
74戦35勝39敗です。
次回はようやく章の通りに敵組織と対峙し始めます。




