第14話「貧乏な神社 博雷神社」
神社の名前、似たようなのを見たことがある?
気にしたらダメです。
設定は最初から決まってました。名前を考えていなかっただけで。
町中でのゲート攻略戦から数日。
紫電は珍しく、母の志奈と弟の紫音と共に朝ご飯を作っていた。
「母さん、こんな感じで大丈夫か?」
「はい、それで大丈夫ですよ。紫電」
「お兄ちゃんが料理に参加するなんて珍しい事があるもんだね」
「いいだろ別に、久しぶりに料理したって。それに今日、博雷神社に差し入れに行くんだろ?世話になった礼もあるから些細な事でも恩返ししていかないと」
「そっか。お兄ちゃんまだ学校が休みなんだっけ。普段は学校があるからね。僕も学校が休みだったら行きたかったよ」
「しっかり勉強しておいたほうがいいぞ。じゃないと俺みたいになる」
「いえ、紫電はしっかり勉強しているでしょう。私は知っていますよ」
「それはわかってるよ。お母さん。お兄ちゃんの頑張りはよくわかってる」
「…なんか、恥ずかしい感じがする」
と家族仲良く朝ご飯と差し入れ用の料理を作る。
父親の奏斗を呼びに行き、家族揃って朝ご飯を食べ、奏斗と紫音は仕事と学校へ向かう。
母と一緒に神社に向かう準備をしていると今まで黙っていたネルが念話のようなことをして話しかける。
(ねぇ、博雷神社ってどんな所?)
(世間的に言えば、貧乏神社。けど、父さんと母さんが向こうの親と交流があってね。まぁ、どんな所かは見ればわかる)
(なんとなく分かったわ。紫電と交流があって貧乏な神社。少し、気になるわ)
そんなこんなで母と共に博雷神社に向けて出発した紫電。
距離的にはそんなに遠くない為、歩いて向かう。
「久しぶりに博雷神社に行くな。あの兄妹、元気にしているのだろうか」
「春ちゃんと秋君の事ですか? 二人共元気ですよ。紫電。」
春ちゃんこと春香、秋君こと秋乃の兄妹は博雷神社を支える神主と巫女で、親の跡を継ぎ、神社を運営している。
「ああそっか、母さんは毎回届けてるから知っているのか」
「はい、二人とも久しぶりに紫電に会うから届けた後はゆっくりしていきましょう」
「うん、そうしよう母さん」
博雷神社に到着した紫電と志奈。
博雷神社の見た目は一言で言って古き良き神社。
古い見た目に反し綺麗な境内、木造の神社がよりいっそう年代を感じさせている。
その神社を見てネルの感想は
「なんか、こう、古いけど綺麗で年代を感じさせる神社ね」
と曖昧な言葉を言う。
そのネルの反応に少し笑いながら、紫電は神社の境内で掃除をしている男性。
博雷 秋乃に声をかける。
「おっす。久しぶりだな、秋乃。差し入れに来たぞ」
「ん? おお、紫電じゃないか! 久しぶりだな。元気そうで何より」
「そっちも元気そうで何よりだ。春香は?」
「春香は中だ、差し入れは春香に渡してくれ」
「分かった。母さん、中にいる春香に渡して欲しいって」
「分かりました。それでは失礼します」
「毎度すみません。志奈さん」
「構いませんよ、秋君。貴方の親からの付き合いですから」
そう言って神社の中に入っていく志奈。
それを見送って秋乃は紫電に話しかける。
「そういえば聞いたぞ紫電。お前の学校、なにか起きて今休校だそうじゃないか。大丈夫なのか?」
「大丈夫だ、心配してくれてありがとうな」
「年が違くても大切な友人だ心配もする。だが、本当に大丈夫そうだな」
「掃除、手伝うよ。お昼は4人で食べようか」
「そうするか、ありがとな紫電」
そうして時間は過ぎていく。
つかの間の平和な日常を存分に楽しむ紫電だった。
次回は時間軸を少し戻して祭視点でもう一つの神社の事を書いて行きたいと思います。
神社の名前、どうしよう。




