第89話「再度学校にて…」
今回で番外編と登場人物紹介を合わせれば百話目になります。
と言っても特に何もやることは無いですが…。
もう私も就職して社会人になりましたので…今は時間が取れますが後々時間が取れなくなる可能性があります。
学校にて午前中の授業が終わり、お昼休み。
紫電はあまり人目に付かないところに入り、壁に背を向けて座るとお弁当を広げて食べ始める。
その紫電に近付く影が一つ。
「こんな人目に付かない所でお弁当を食べてるなんて、紫電さんはぼっちなのかしら?」
「人聞きの悪いこと言わないでくれるか? あんな護衛の仕方じゃ不安だったから話をしたかったんだよ。実際その本人が近くに来てくれたしな」
「あら、私は誘い出されたってわけね」
「さっきから言い方に悪意があるな? まぁいいけど。それにしてもあんなバレバレの護衛の仕方でよく不審者扱いされなかったもんだな」
「ん? そのことを心配してくれていたのね。大丈夫よ。気配を消すことに関しては自信があるから一般の人には気づかれないわ」
「ふ~ん、気配消しね~?」
「信じてないって顔をしてるわね」
「そんなことないぞ? 実際午前中はあのままの状態で乗り切ったみたいだし」
「褒めてくれて、るのよね。それにしても美味しそうな弁当」
「母親と弟が作ってくれたんだ」
「家族仲が良くて何よりね」
「で、周囲にクロノストリガーの姿はあった?」
「今のところ何も? 特に怪しいやつもいなかったわ」
「目下一番怪しいやつは紫杏、貴女だけってことか」
「酷い!」
「お弁当食べるか?」
「一応私も準備してるけど、頂きます」
(仲がいいわね~)
そんなこんなでお昼が終わり、午後の授業を受けている紫電と窓の外に木が生えており、その木の陰に隠れるように紫杏がもたれかかって授業の風景を眺めていた。
平和な時間が過ぎていたがこのまま私が平和に終わらせるわけないだろう?
ほぼ同時に紫電達は異変に気づく。
(うん? この気配…)
(紫電気づいてる?)
(気づいてる。何かがこの学校に入ってきた)
紫電が視線を外に逸らすとタイミングよく先生が紫電の方へ向き、声を出して紫電に注意する。
「白石、今は授業中だぞ。よそ見とは随分と余裕みたいだな?」
「…? 先生!」
「どうした? 畑山」
「何か妙な車が大量に校内に入ってきています」
「何だと?」
野次馬根性を発揮して外を見るために教室にいるクラスメイト達全員が窓の外を見る。
そして謎の車から武装した者達が出てきて、紫電がいるクラスに向けて一斉に射撃してきた。
悲鳴を上げながら教室から逃げ出していくクラスメイトとその場に伏せて銃弾を避けるクラスメイト達がいる中で紫電は慌てずに状況判断に徹していた。
(ネル、敵の数は分かるか?)
(軽く数十人ってところね)
(多いな…。しかも今度はしっかりと重火器まで持ってきやがった)
(そのくらい奴らも本気で殺すつもりってことね)
(くそ~…これでまた学校が休校になってしまう。本来なら休みの日にまで学校に行きたくないし、課題が大量に出ることになるんだぞ)
(前回は悲惨だったわね)
「何をしてる! 早く避難するんだ!」
「分かってます! 先生は先頭に立って生徒たちの避難指示をお願いします!」
「勿論そのつもりに決まってる! 白石も急ぐんだ! この騒ぎだ、警察もすぐに動いてくれるはずだからそれまではお前達生徒を守り通すのが教師の役目だ!」
そう言って先生は慌てふためく生徒達を束ねて避難していく。
「なかなか良い先生じゃない。自分の命まで危ないってのに生徒を第一に考えて動くなんて」
いつの間にか紫電の傍に来ていた紫杏は先ほどの会話を聞いていたようだ。
「紫杏、そんなこと言ってる場合じゃないだろ。俺達も動かないと。警察なんて待ってたら死人が出ちまう」
「分かってるわ。でもどうやってバレずに奴らを倒すつもり?」
「簡単なことだ…。こうするんだよ!『幻影 剣幻の霧!』」
紫電はその手に白雪を出現させると廊下に突き刺す。
するとそこから魔法陣が現れて学校全体を包みこむと学校自体が一瞬揺らぎ、避難していく生徒たちの姿が消える。
「幻影…。しかもこんな大規模に行うなんて…」
「生徒達の方には自分達を追ってくるクロノストリガーの連中が見えてるはずだ。だけど、それは幻影。本物じゃないから怪我もしないし、避難場所に着いたらもう追いかけてくることは無い」
「それで? こんな規格外な幻術を戦闘しながら維持し続けられるの?」
「俺が維持するわけじゃないから戦闘に関しては問題ない」
(私がやるからね!)
「……そう。ならその人の集中力が切れるまでに決着を付けないとね」
紫杏も背負っていた竹刀袋から刀を取り出し、抜刀する。
校庭に集まりこちらを見据えるクロノストリガーの構成員達。
一斉に銃口を紫電と紫杏に向ける姿は圧巻の一言であり、普通の人なら絶望する場面だが…。
「今の俺を銃火器程度で殺せると思っているのか? 魔法と化学は紙一重。そうやすやすと俺の魔法壁を破れるとは思うなよ!」
「まだ奴らはアレを使わないのね。ありがたいけれど、何を考えているのかしら?」
やる気に満ち溢れている紫電。
そしてクロノストリガーの構成員の動きに疑問を感じている紫杏だったがクロノストリガーが一斉に銃撃し始めたので考えることを一旦やめて、意識を切り替え、紫電と一緒に銃弾を回避しながらクロノストリガーに向けて向かっていくのだった。
次回は学校でクロノストリガーとの戦闘になります。
これが投稿される頃にはもう私は会社で研修を受けてますね。
仕事頑張るぞ~!




