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ハーレムと能力について考えさせられたんだが

今回はハーレムと能力について考えさせられる話です

皆さんはハーレムとチート能力って好きですか?

では、どうぞ

「おかえり!洋平!どうだった?ハーレムに悩む少年の悩みは解決できたかな?」


 部屋に入って開口一番が『お疲れ様』じゃなく、異世界に飛ばした少年の心配かよ……


「ああ、解決したかどうかは知らないけど、前向きに考えるようにはしてきた」


 恋の悩みなんて外野がどうこう騒いでも仕方ない。時間と本人達の問題だ。俺は恋愛沙汰には極力干渉しないようにしているんでね


「そう。それで、洋平は今回の事でどう感じた?」


 俺がどう感じたか?そんなの決まっている


「俺にはハーレムなんて必要ないなって思ったな」


 ハーレム状態でそれが許されなくても本人達がそれでいいならいい。一夫多妻が認められてるから付き合うなり結婚すればいい。口で言うのは簡単だ。だが、それなり悩みや不安ってのがある


「どうして?男の人にとって女の人からモテるのは夢じゃないの?」


 神子は今まで死者をたくさん異世界に送ってきたせいか感覚がマヒしている。いや、違うか。俺と神子じゃ価値観が違うのか?


「確かにハーレム状態ってのは男性なら一度は夢見る状況だろうな。だがな、それはそれでいろいろ悩みや不安があるんだよ」


 元々ハーレムには全く興味がなかった俺だが、今回の事で少しだけ興味が湧いた


「どんな?」

「そうだなぁ……例えば、複数の女性を平等に愛せるかとか、自分が複数の女性を幸せにする事ができるのか?とかだな」


 俺は器用な方じゃない。複数の女性を平等に愛せる自信はないし、複数の女性を幸せにする事は俺には無理だ


「でも幸せの基準って人それぞれだから関係ないじゃん」


 神子の言う通り幸せの基準なんて人それぞれだ。だが、それは好かれてる、愛されてるっていう前提で成り立つものだ。ただ一緒にいるだけなら別に付き合ったり結婚しなくてもいい。同じ家で生活してりゃ一緒にいる事ができる


「人間は欲しいものが手に入ったら更に何かを求める貪欲な生き物なんだよ。好かれたいって欲求が満たされたら今度は愛されたいって欲求に変わるし、愛されてるって欲求が満たされたら今度は愛されてる証が欲しいって感じでな。だから、その人に好かれ、愛されてるだけでいいなんてのは最初だけなんだよ」


 俺の持論で申し訳ない。だけど、人間は常に求める生き物だと思う。それが物欲であろうと性欲であろうと関係ない


「そういうものなの?」

「ああ。だから、俺はハーレムなんていらないし、チート能力なんていらない。それを手にしたら更に別の何かが欲しくなるからな」


 まぁ、俺の場合はハーレムを手に入れたら次は名声が欲しくなるだろうし、チート能力を手に入れたら次は一つの国が欲しくなるだろう。何が欲しいかはその時になってみないとわからないが、確実に何かが欲しくなる


「それで最初にチート能力やハーレムなんていらないって言ってたんだ……」


 感心した様子の神子。そんな感心されても困るんだよなぁ……最初は純粋にチート能力にもハーレムにも興味なんてなかったし


「いや、最初は本当に興味がなかったからチートもハーレムもいらないって言ったんだよ。今回の事でハーレムになっても結局悩んだり不安になるってことは理解したけどな」


 そもそも、ハーレムになったところで俺には全員の面倒を見れる甲斐性なんてないしな!


「そんな悩みや不安があってもハーレムに憧れるんでしょ?男の人って」


『俺が』と言わないところを見ると神子は俺の人となりを理解したのか?


「そうなんじゃないか?俺には理解不能だがな」


 生きていれば─────いや、違うな。生活していれば悩みや不安はある。だけど、悩みや不安のない奴なんていない。だからハーレムが悪いわけじゃない。ただ俺には理解できないだけだ


「洋平って変わり者だよね。チート能力やハーレムに興味ないなんて」


 変わり者って言われたらそうかもしれない。だが、楽して手に入れた能力に何の価値がある?複数の女性をコレクションの如く侍らせて何の意味がある?


「変わり者か……確かにそうかもしれない。が、楽して手に入れた能力に何の価値がある?複数の女性をコレクションの如く侍らせて何の意味がある?別に俺はチート能力やハーレムを否定しないけど、能力は努力して手に入れたいし、好きになったり愛したりする女は一人いれば十分だ」

「そうなの?」

「ああ。何かを手に入れるにはそれ相応の努力をするものだし、性格はともかく、女性はアクセサリーじゃないんだ。自分が優越感に浸る為に付き合うなんてしたくない」


 能力は置いといて、ハーレムで言えば逆も然りだ。男性はアクセサリーやコレクションじゃない。自分の下らない優越感で選ばれて付き合うのなら俺はそんな彼女なんて必要ない


「じゃ、じゃあ!私が今『付き合って』って言ったらどうする?」


 いきなり何を言い出すんだ?そもそも、神子とはまだ出会って間もないじゃないか。そんなのどうしようもない


「それはどうしようもない。俺と神子はまだ出会って間もないからな。付き合うのであればもうちょっと互いを知った方がいいんじゃないか?」


 俺は別に付き合うのが嫌なわけじゃない。ただ、安直に付き合って後悔したくないだけだ


「そ、そうだよね!私達はまだ出会って間もないから早いよね!」


 どこかションボリした様子の神子。これじゃ俺がフッたみたいだが、俺はフッてない。時期が早いとは言ったけど


「ああ。だがな、神子」

「何?」

「俺は神子をフッたわけじゃない。ただ、時期が早いって言っただけだ」


 これがドッキリでした!ってオチならそれはそれでいい。ただ、神子は態度に出やすいからドッキリなんてできないと思う


「そ、そっか……」


 ホッとした様子の神子。え?なに?ひょっとして俺と付き合いたいの?


「ひょっとして俺と付き合いたいの?」


 自意識過剰だと思う。ただ、これからどうなるかは知らないが、念のために聞いておこう


「ち、違うよ!ただ聞いてみただけだよ!」


 そんな勢いよく否定されたらさすがの俺も傷つくんだが……


「そ、そうか……まぁ、可能性がないわけじゃない」

「う、うん……」


 神子が変な事言ったせいで気まずい空気が流れる。何とか話題を恋愛方面から変えなければ!


「ところで神子」

「な、何?洋平」

「お前、あの少年に恐ろしく危険な能力を与えただろ?」


 恋バナしてて忘れそうになったが、俺は少年に危うく斬られそうになった事を思い出した


「な、何の事かな?」


 あくまで知らんぷりするつもりか……


「魔力を込めれば手刀でも物を斬れる能力に覚えはないか?」

「さ、さあ?な、何の事かな?」


 冷や汗をダラダラ垂らしながら目を反らす神子


「人の話を聞かない少年が神子からそんな能力を貰ったって言ってたんだけど、神子は知らないか」

「し、知るわけないじゃん!やだな~洋平ったら!」

「「アハハ」」


 神子と俺は二人で笑いあう。が、笑って誤魔化されないのがこの俺!!


「で、本当は?」

「ごめんなさい。あの子が『剣を使わずに戦える能力が欲しいです!』って言われてあげました!」


 神子の見事な土下座が決まった!最初から素直に言えばいいのに……


「そうか」

「あ、あれ?何もしないの?」

「ああ」

「ど、どうして?」


 イタズラしたら叱られる。まぁ、誰もが知ってる事だな。神子もきっと俺にお仕置きされると思っただろう。だが、俺はお仕置きしない。だって───────────


「水の力を持ってる俺に物理攻撃が効かない事は神子が一番よく知ってるだろ?」

「う、うん……で、でも!」


 水の力を持つ俺を斬るなんて不可能だからな。神子を怒るだけ時間の無駄だ


「神子ならできるかもしれないが、あの少年に水を切り裂くなんてできるとは思えない。例え斬られたとしても俺は神子を怒るなんてしないさ」


 水道水然り、川の流れ然り、海然り、水を分断できる奴は探せばいると思う。が、俺は怪我一つしてないんだ。怒る理由がない


「そう言ってくれるのは有難いけど、いいの?」

「何が?」

「だって洋平はあの子に斬られてもおかしくなかったのに……」


 確かに、あの少年は俺の話を聞かずに斬りかかって来ようとした。だが、流れる川、広大な海を分断できる程の能力とは思えない。認めたくはないが、これでも俺は自分の力くらい把握している。あの少年に俺は斬れない


「確かにあの少年ならやりかねない。だが、あの少年に流れる川、広大な海を分断できるほどの力があるとは思えない」

「え?どういう事?」


 意味が解らないと言った様子の神子。そりゃ、こんな詩人みたいな事をいきなり言われれも困るよな


「神子は前に水の力が俺に順応しているって言ったよな?」

「うん。私の与えた水の力が洋平に順応してるからその力を私に返すのはもうできないよ。それがどうかしたの?」

「つまりだ。今の俺は水そのものって解釈でいいんだよな?」

「う、うん。それが何なの?」


 俺は口が上手い方じゃないから上手く伝えられる自信はない。が、上手く伝わってくれよ


「言葉じゃ上手く伝えられないから風呂場に行って説明する」

「う、うん……」


 俺と神子は風呂場に移動した。言葉じゃ伝えきれないのなら実践あるのみ!


「さて、ここに二つの風呂桶があるよな」


 俺は神子に水の入った風呂桶を二つ見せる


「うん」

「この二つの風呂桶に入ってる水が俺の身体だ。そこまでいいな?」


 上手く説明できるかどうかはわからない。が、上手く伝わってくれよ


「で、そこに用意してある空の水槽が俺の身体だ」

「うん」


 さて、問題です。二つの風呂桶に入った水を水槽に移したらどうなるでしょうか?


「この二つの風呂桶に入った水を水槽に入れたらどうなると思う?」

「そんなの決まってるじゃん。風呂桶に入った水が一つになるんだよ!」


 そう。風呂桶の水を水槽に移したら水が一つになる。つまり、最初に神子が机をぶつけた時と同じように元に戻る


「そう。斬られた状態の俺が再生するのと同じように一つになるんだわかったか?」

「な、何となく……」


 何となくか……やっぱ俺って説明下手だな


「説明が下手でゴメン」

「ううん。それより、蛇口から出る水を手で遮ってその後元に戻るって言われた方が解りやすかった」


 ですよね~変にカッコつけて説明するよりもそっちの方がいいと俺も途中から思ったもん!


「ですよね~」

「うん。それよりも理解しやすいのが川の流れを遮る事はできないって言われた方がもっと解りやすかった」


 俺氏、撃沈……確かに川の流れを遮るのは不可能だって言えば実演する必要もなかったな……


「リビングに戻るか……俺からも聞きたい事があるし」

「うん……」


 俺と神子は居たたまれないままリビングに戻った


「で、俺の聞きたい事なんだが、いいか?」

「うん」


 二つの世界に行った後でアレだが、今更になって聞きたい事ができた


「どうして『水を司る力』なんて曖昧な言い方をするんだ?『水系統の魔法』でよくないか?」


 一つ目の世界は魔法がメインの世界だった。二つ目の世界は詳しくは知らないが、少年の話から察するに魔法メインと見て間違いない。が、俺は神子から『水を司る力』と言われただけで具体的に魔力かどうかは聞いていない


「洋平、異世界は魔法メインの世界だけじゃないんだよ。霊力メインの世界だってあるし、超能力メインの世界だってある。力の大元が不明確な以上、ここでは『水を司る力』って曖昧な表現をするしかないの。お解かり?」

「ああ。要するに世界によって力の大元が違うから魔力とも超能力とも霊力とも断言できないし、しないって事だろ?」

「そう言う事」


 行く世界によって違うから断言できない。曖昧な表現をするしかないってことか……まぁ、自分が転生しないって決めたんだし、そこは従うか



今回はハーレムと能力について考えさせられる話でした

ハーレムは大勢の異性にモテますが、その分、甲斐性が必要になってくると思います。で、チート能力ですが、時には弱点も必要じゃないかなと思う今日この頃


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感想を書くついでに評価して頂けると作者のモチベーション向上になるので宜しくお願いします


今回は最後まで読んで頂きありがとうございました!

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