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ハーレムにはハーレムの悩みがあるみたいなんだが

今回は悩めるハーレム少年の話です

ハーレムにはハーレムの悩みがあるみたいです

では、どうぞ

「さて、落ち着いたところで話を始めてもいいか?」

「う、うん……」


 人の話を聞かないって言われてた少年は俺が神の使いと名乗ったら殺気を収め、落ち着いてくれた。それはいいとして、落ち着きがないってのはあながち間違っていないな。俺が一声掛けただけで剣もないのに『斬る!!』とか言い出したし


「お前が神様からどんな能力を貰ったかは知らないが、剣も持たずに『斬る!!』とか言い出す辺り人の話を聞かずに突っ走るタイプだってのは理解した」


 剣も持たずに人を斬れるなんてできるはずがないし、それに、前回の世界もそうだが、今回もファンタジー世界なのか?部屋がファンタジー使用じゃないからわからないが


「あ、いや、僕が神様から貰った能力は魔力を集中させると物を斬れる能力なんで剣の類は必要としないんですよ」

「は?じゃあ、何か?お前は手刀で物を斬れるって事か?」

「はい。そうです」


 神子さん……人の話を聞かない奴になんて能力与えてるんですかねぇ……


「はぁ、能力与えるならもうちょっと人を選んでくれよ……こんな人の話を聞かない奴に剣ナシで物を斬れる能力なんてやったら危なくて仕方ない」


 俺は手刀で物を斬るなんて能力じゃなく、戦ってるところへ乱入しても怪我しない程度の能力を貰ったからいいものの、普通の人間なら最悪の場合は即死するだろう


「ご、ごめんなさい……」


 俺が少年の事を人の話を聞かない奴って認識したせいか気まずそうにして謝ってきた。悪いと思うならこれからは人の話を聞いてから行動するようにしろ


「いや、いい。ただ、次からは人の話を聞いてから行動してくれ」

「は、はい……」


 まあ、コイツにはちょうどいい薬になったようでよかった。


「でだ、少年」

「あ、僕の名前は─────────────」

「ああ、名乗らなくていいよ。俺は君に伝える事を伝えたらすぐ帰るから」


 少年が名乗ろうとしたが、俺はそれを遮り、用件を伝えたら帰る事を告げる。この少年の名前を聞き、親しくなったところで俺はすぐに神子のところへ帰る。名前を知るだけ無駄だ


「そ、そうですか……それで、僕に伝えたい事って何ですか?」

「君は複数の女性から告白あるいはプロポーズを受けているな?」


 俺はこの少年がこの部屋で一人溜息を吐いてる場面しか見てないから何とも言えない。だけど、強大な力を制御しきれずに悩んでいるって感じじゃない


「僕のパーティーメンバーからプロポーズを受けました」

「そのパーティーって君以外は全員女性なのか?」

「はい……」


 なるほど、少年の所属しているパーティーは少年以外は全員女性で全員からプロポーズされたのはわかった。わかりたくないけど。で、この世界は一夫多妻が可能だからプロポーズしてくれた女性全員と結婚する事が可能なわけなんだけど……


「複数の女性からプロポーズされ、それがパーティーメンバーでどうしていいかわからなくなり悩んでいたと」

「はい……」


 人の話を聞かない割に繊細なんだな。


「まぁ、悩んでるって事はそれだけ仲間を大切にしているって事でそれはそれでいい事だ。ところでこの世界は一夫多妻が認められてるって知ってるか?」


 普通かどうかは知らないけど、この世界は一夫多妻制が認められてる。つまり、コイツは好きならパーティーメンバー全員と結婚する事だって可能だ


「え?そうなんですか?」


 少年が意外そうな顔をしたって事はやっぱり知らなかったか……


「ああ、この世界は一夫多妻が認められている。ま、知らないのも無理はないか……今まで考えなしに突っ走って来たんだろうから一夫多妻が認められてるって事は今知ったって感じだな」

「はい。僕が来た時はこの世界の状態はとてもじゃないけどいいとは言えませんでしたから」


 この世界がどんな感じだったか俺は知らないが、異性関係の事を考える暇もないくらいだったのか?


「そうか。でも、誰かが教えてくれなかったのか?例えば、パーティーメンバーとか」


 この世界がどんな状態であったとしてもパーティーメンバーの誰かが教えていてもいいようなものだけどな


「その頃は戦いに明け暮れていて恋愛どころじゃなかったんです」


 俺はこの少年が何と戦っていたかに興味はない。だから詳しい事は聞かないし、知りたくもない


「まぁ、戦いの最中だから恋愛なんてしてる暇ないよな……で、落ち着いた今になって恋愛を意識し、仲間の女達からプロポーズを受けたが、元の世界じゃモテた経験がなく、一夫一妻だったから困ってたんだな」

「はい。この世界に来る前まで僕は女性とはほぼ無縁の生活を送ってましたし、元の世界では一人の夫に一人の妻でしたから」


 転生者だったら誰もがぶつかる障害なんだろうな……だが、一夫多妻が認められていると聞いてこの少年は何を思う?


「そうか。ま、俺も君と同じ転生者だから気持ちは解らなくもない」

「え!?そうだったんですか!?じゃあ、どうして異世界に転生しなかったんですか?」


 少年が身を乗り出して聞いてくる。どうしてってそんなの興味がないからに決まってるだろ


「俺は異世界転生にもチート能力、ハーレムにも興味がなかったからな」

「そうですか……」

「ああ。それで?この世界は一夫多妻制が認められてるって聞いてどう思った?」


 元いた世界を忘れろとは言わないが、この世界に来た以上はこの世界の決まりに従わないといけない時だってある。ま、納得いかないなら従わなくてもいいけど


「こ、古風だとは思いました。でも……」


 まだ何かに迷っている感じの少年。何に迷っているって言うんだ?


「でも何だ?いいじゃないか。一人を選んで複数を傷つける事もなければ誰も選ばずに全員を傷つける事もない。全員幸せでハッピーエンドで不都合があるのか?」


 恋愛をする上で一人を選べば大勢の人が傷つくなんて当たり前だ。だが、一夫多妻制ならみんな幸せになれる。何の不満もないはずだ


「そ、それはそうなんですけど……複数の女性と結婚するって不純じゃないかなと思うんです」


 真面目だなぁ……だが、この世界はそれを認めてるんだ。そう考えると不純でも何でもないだろ


「この世界は一夫多妻制が認められている。不純でも何でもないだろ。それに、君はパーティーメンバーの女性陣の事は嫌いか?」


 俺は会った事がないから何にも言えない。好きか嫌いかは少年の問題だ


「い、いえ、嫌いじゃないです」

「じゃあ、好きか?」

「それは仲間としての意味ですか?それとも、女の子としての意味ですか?」


 この少年、話を聞かない奴だと思っていたが、案外鋭いところもあるのか?俺の質問の意味を何となく理解してるみたいだし


「そうだな。今の君の状態、状況から考えると女の子としての意味だな」

「そうですか……僕は女の子として彼女達の事は好きです」

「女の子として好きなら結婚したらいいじゃん」


 女の子として好きなら結婚したらいい。それがどうして部屋に籠って悩む必要がある?


「で、でも、僕は他人の人生を背負える程の甲斐性なんてないんです……」


 甲斐性か……まぁ、結婚する上では養って行ける甲斐性は必要だよな


「結婚がダメなら婚約したらいいだろ?何を悩む必要がある?」


 結婚がダメなら婚約すればいい。それじゃダメなのか?


「で、でも、複数の女性と婚約するのはいけない事じゃ……」


 まだそこを引っ張るか……この世界じゃ一夫多妻が認められてるってのに


「あー!!もう!じれったい!!全員好きならそれでいいだろ!!この世界は一夫多妻が認められてるんだからよ!好きなら全員と婚約するなり結婚するなりしてやれよ!!何を悩む事あある?」


 複数の女性と付き合う事が咎められる世界なら複数の女性と付き合う、結婚する事はダメだと思う。だが、複数の女性と付き合う事、結婚する事を合法的に認められてる世界なら決まりに従えばいいと思うんだが……それは気のせいだろうか?


「自信がないんです……僕が彼女達を幸せに出来るかどうか……」


 幸せか……それって何を持って幸せって言うんだ?金があるのが幸せか?じゃあ、貧乏だったら幸せじゃないのか?俺の家は裕福な家庭じゃなかった。だからと言って貧乏な家庭でもないがな。ごく普通の家庭だったが、両親は毎日幸せそうだったし、俺はそんな両親の元へ生まれて不幸だなんて思った事はない


「幸せねぇ……お前は何を持って幸せって言うんだ?金がある事が幸せなのか?じゃあ、貧乏な人は幸せじゃないと。そう言いたいのか?」

「そ、それは……違いますけど……貧乏な人だって幸せだって言う人もいますし」

「そうだろ?じゃあ、幸せって何だ?」

「それは……」


 俺の質問の答えは多分、永遠に出ないだろう。幸せなんて人によって違うし、金があっても不幸だって言う人もいる。幸せなんて人それぞれだ


「答えられないみたいだな。まぁ、当たり前か。俺にだって何を持って幸せかなんてわからない。結局、幸せなんて人それぞれなんだよ。好きな人、愛する人と一緒にいれるだけで幸せって思う人もいるんだからな」


 さて、そろそろ少年に自分を好いてくれている女性達と向き合わせて俺は神子のところでお茶を啜りたいんだが……


「いいんでしょうか?」

「何が?」

「僕は好意を持ってくれている女性全員と結婚してもいいんでしょうか?」


 一夫多妻が認められている世界なんだから結婚するには何の問題もない。問題なのは本人達の気持ちだけで


「いいんじゃないか?この世界は一夫多妻制が認められてるんだし。それに、俺はお前のパーティーメンバーに会った事がないから何とも言えないが、幸せなんて本人が決める事であってお前が決める事じゃないとだけ言っておく」


 これで俺も面倒な仕事から解放される。どうして死んだ後でこんな面倒な事しなきゃならんのやら……はぁ、合法ハーレムの弊害だな。男性なら誰もが一度は夢見るハーレム状態だが、いざなってみると結構大変なんだな


「そ、そうですよね?幸せなんて本人達が決める事ですよね?」

「ああ」

「ぼ、僕、今から彼女達のところへ行ってきます!」


 ようやく決心できたか。さて、俺の役目も終わったし、帰りますか


「おう、行ってこい。俺は役目を終えたから帰る」

「はい!ありがとうございます!」


 少年は一礼した後、部屋を出て行った


「さて、帰りますか」


 俺はネックレスに手をかざし、扉を出現させた


「嫁達の尻に敷かれないように頑張れよ」


 誰もいない部屋で俺は少年へのエールを残し、扉を潜った。


「ただいま~」


 ドアを開け、部屋に入る


「おかえり!洋平!」


 エプロン姿の神子が出迎えてくれる。今回ばかりは本当に疲れた……ハーレムが認められている世界ってのも案外大変なんだな。

今回は悩めるハーレム少年の話でした

幸せって何でしょうね?金がある事?それとも、貧乏でも愛する人、好きな人と一緒にいる事?


感想等があれば気軽に感想欄へ書いていただけると嬉しいです!

感想を書くついでに評価して頂けると作者のモチベーション向上になるので宜しくお願いします


今回は最後まで読んで頂きありがとうございました!

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