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悩める少年の元へ行ったんだが

今回は悩める少年の元へ行く話です

今回は力を届けると言うよりもアドバイスに行く感じです

では、どうぞ

「平和だなぁ~」

「平和だねぇ~」


 部屋の片付けが終わり、話し方と呼び方、名前付けが一段落したので二人揃ってお茶を飲んでいた。最初は俺がお茶を飲んだら身体の色が変色するんじゃないかなんて思ったが、それは無用な心配だった


「なぁ、神子」

「ん?何?洋平」

「このまま茶を啜っていてもいいが、世界の様子を見なくてもいいのか?」


 俺が死んだのは神子の酒癖が悪いだけであって今はお茶を飲んでいるだけだから問題ないと思う。酒を飲んだ時はテレビを点けるのを全力で阻止するけどな


「あっ……あー、じゃあ、世界の様子見てみる?」


 神子は忘れてた上に怠いと思ってないよな?念のために聞いてみるか


「神子、忘れてた上に怠いなとか思ってないよな?」

「……………………………そんな事はないよ?」


 長い沈黙の後、神子は俺から目を反らして答える。わかりやすい奴だ。疚しい事があると目を反らすんだから


「忘れてた上に怠いと思ってたんだな」

「うん……………」

「いろいろとガサツな割に問い詰められたら素直に白状するんだな」


 自分の仕事を忘れてた上に怠いとか思っている時点で神子を神様にしておいていいものだろうか?と思うし、俺の世界で一人暮らしなんてさせたら一日で部屋がゴミだらけになるのが簡単に想像できる。うん、神子は早めに結婚した方がいいタイプだな


「洋平に聞かれたら隠しきれそうにないからね」

「あ、そう」

「うん、洋平は私の特別な人だもん」


 神子の言う特別が恋愛感情的な意味じゃないのは何となくわかる。


「その特別がどういう意味かは知らないけど、恋愛感情的な意味じゃないのは何となくわかるぞ」

「うん……」


 何か元気がないみたいだが、俺は何かしたか?


「で、俺がどういった意味で特別かは置いといて、世界の様子を見なくていいのか?」


 俺がどういった意味で特別かは置いといて、どこかの世界ではピンチに陥ってるかもしれない


「それもそうだね。世界の様子でも見よっか」


 神子はテーブルに置いてあったコントローラーを操作し、テレビを点ける。神子にとってはいつもしている事だが、俺にとっては初めての事だから無駄に緊張する


『はぁ……僕はどうしたら……』


 画面に映っていたのは部屋で一人溜息を吐いてる少年の様子だった。


「状況がサッパリ理解できないが、何か悩んでいるみたいだな」


 俺はこの少年に何があったかを最初から全部見ていたわけじゃないから詳しくは知らないが、悩んでいるのは解る


「そうだね。何かに悩んでるみたいだね」


 テレビを点けて少し様子を見ただけだが、何に悩んでるんだ?そもそも、コイツは転生者なのか?


「なぁ、この少年は転生者なのか?」

「うん、この人は若くして死んで今いる世界に転生させたよ?それがどうかしたの?」


 テレビに映ってる少年が転生者かどうか俺は興味ない。しかし、何に悩んでいるのかは想像できる


「いや、転生者であるかどうかは興味ない。だが、何に悩んでるかは大体理解した」

「え?理解できたの?」


 意外そうな顔をする神子だが、ラノベ的な展開では部屋で一人悩んでるなんて女性関係か自分じゃ制御しきれない力かって相場が決まっている


「ああ。この少年が悩んでるのは女性関係か自分じゃ制御しきれない力を持つ自分のこれからをどうするか悩むって相場が決まってるんだよ」


 まぁ、違う場合もあるが、大体はそうだと思う。


「そうなの?でも、私はこの子にチート能力を渡したから自分じゃ制御しきれない力なんてこの子は持ってないよ?」


 自分じゃ制御しきれない力を渡してないって事は女性関係か?こりゃこの世界の法を確認する必要があるな


「じゃあ、女性関係かもな」

「うん。多分、そうだと思う……」


 神子も同じ意見なのはよかった


「この少年が女性関係で悩む理由がわからない。神子、この世界の法はどうなっているんだ?」

「え?どうしていきなり少年がいる世界の法なんて気にするの?」

「この少年が俺のいた世界から来ていて女性関係に悩んでる。それって多分、複数の女性から好意をもたれてるんじゃないかと思ってな」

「洋平の言ってる事はわかるけど、それとこの世界の法と何の関係が?」

「この少年は多分、複数の女性から告白されたかプロポーズされたと思うんだ。だから、この世界が一夫多妻制かどうか知りたい」

「要するにこの世界が一夫多妻かどうか知りたいのね」

「ああ」


 俺は口下手で説明が長くなるからいかん。ま、この世界が一夫多妻制かどうか知れたら後は簡単に事が運べる。結婚させるか婚約させるかだし


「この少年がいる世界は一夫多妻制が当たり前だよ?それこそ妻が百人いる人だっているし」


 さすがに百人の妻を持つのはどうかと思うが、一夫多妻制なら一人の女性を選んで複数の女性を傷つけるだなんて心配ない


「そうか。じゃあ、話は簡単なんだが……ここは放置でいいか」


 この手の悩みは外野がとやかく言う話じゃない。むしろ自分で何とかしなきゃいけない話だ


「え!?それじゃ困るんだけど!?」


 この少年が自分で結論を出さなきゃいけない話なのにどうして神子が困るんだ?


「この少年の事なのにどうして神子が困るんだ?一夫多妻制ってこの少年も知ってるんだろ?」


 異世界に転生する時に軽く転生先の世界について説明しているはずだし、知らないとしてもその世界の人間が説明するから特に問題はないはずだと思うけど


「そ、それが……この世界でチート能力が使えるのは教えたんだけど、一夫多妻制の話はしてなくて……というか、それを教える前にこの少年が話も聞かずに転生してしまって……ね?」


 ね?じゃないよ。この少年が話を聞かずに飛び出したって事もあって神子を責める事はできない。それに、この少年が転生した時に世界がどんな状態だったかも気になる


「まぁ、この少年にも落ち度があるみたいだから責めはしない。だが、少年が転生した時、世界はどんな状態だったんだ?」


 この世界が崩壊寸前だったのなら一夫多妻制を知らなかったのも頷ける。だが、そうじゃなかったらコイツがただ人の話を聞かない奴だったって話だ


「この子が転生した時は平和そのものだったし、転生した後も特に世界が崩壊の危機に陥った様子はなかったよ」


 神子の話が本当ならコイツは単純に人の話を聞かなかっただけだ


「はぁ……ようするにコイツは人の話を聞かずに飛び出し、転生後も同じことを繰り返した。そういう事か?」

「うん……多分、そう」


 って事は、この人の話を全く聞かない少年は何かの理由で美女や美少女から好かれ、告白かプロポーズされた。でも、自分の世界じゃ一夫一妻制だったから複数の女性から好意を寄せられて困ってる。そんなところか


「人の話を聞かずに突っ走った挙句、何の因果か複数の女性に好意を寄せられ、告白かプロポーズを受けて悩んでいる。自業自得だな」

「洋平、厳しい……」


 当たり前だ。人助けを悪い事とは言わないが、転生する際に説明を聞かなかったところもそうだが、それ以前に人の話をちゃんと聞かない奴が悪い


「厳しくない。人の話を聞かずに突っ走る奴が悪い」

「で、でも、この少年に一夫多妻制の事を伝えに行ってほしいなぁ~なんて……」

「え?何で?」


 神子は俺に少年のいる世界に行って一夫多妻制の事を教えてこいなんて言ってるが、俺からしてみれば教える意味が理解できない


「このまま悩ませるのもそうだけど、悶々としたままの女の子達が可哀そうだから。だから、決断できるように洋平がこの子の元へ行って一夫多妻制の事を伝えてくれると嬉しいんだけど……」


 俺としてはこのまま悩み続けてくれててもいいんだけど、コイツが決断しないせいで女性陣が悶々としているのであればコイツの背中を押しに行ってもいいかな


「仕方ない。コイツには全く興味はないが、優柔不断な奴のせいで周囲が苦しんでるのは見過ごせないからちょっくら行ってくるかね」

「うん!お願いね?」


 神子は太陽のような明るい笑顔になった。笑顔はいいんだが、俺、白石洋平は学習する男だ。前回は帰る方法を聞かなかったが、今回はちゃんと帰る方法を聞いてから異世界に行こう


「行くのはいいんだが、帰る時はこのネックレスに手をかざして扉を呼び出せばいいんだな?」

「うん、そうだけど?あれ?言ってなかったっけ?」

「言われてないから聞いてるんだよ!前回はいきなり異世界に大剣を届けろって言われて帰り方を聞かずに飛び出したからな」


 前回は状況が状況だったから俺は帰り方を聞かずに飛び出したし、神子はネックレスを渡してそのまま俺を異世界に放り出したと言っても過言じゃない。


「そ、そうだった……うん、帰る時はそのネックレスに手をかざして扉を呼び出せばここへ戻って来られるよ!」

「そっか、じゃあ、行ってくる」

「うん!行ってらっしゃい」


 俺はドアを開け、悩める少年の元へと向かった。はぁ、俺は落ち着きのない子供の保護者じゃないんだけどなぁ……


「僕は一体どうしたら……」


 俺がドアを開けてたどり着いたのは先程テレビで見た少年の部屋。そして、目の前には今もウジウジと悩み続ける少年。面白そうだからもう少しこのまま黙って見ているか


「はぁ……生前は全くモテなかった僕がいきなり複数の女性から告白された挙句、プロポーズされるだなんて……」


 生前はモテなかったのに転生したらハーレムだなんてラノベ的展開で面白そうだが、目の前でウジウジ悩まれるのはウザい事この上ないな


「一人を選べば大勢が傷つくし、誰も選ばなければ全員が傷つくし……」


 コイツには全員を選ぶって選択肢はないんだろうか?


「じゃあ、全員選べよ」


 ウジウジしているのがウザかったせいか、俺は思っている事をつい声に出して言ってしまった。


「えっ?っていうか、あなた誰ですか!?どこから入ったんですか!?」


 俺の声に驚いた少年だが、俺が誰か、どこから入ったかなんて関係ない。俺はこの世界は一夫多妻制だって事を伝えに来ただけなんだから


「俺が誰か、どこから入ったかなんて今は関係ないだろ?俺はお前にある事を伝えに来ただけなんだから。それに、俺が誰か、どこから入ったかを知ってどうするつもりだ?」

「そんなに決まっている!敵なら今、ここで斬る!!」


 この少年はバカなんじゃないかな?俺がコイツを殺す目的でこの部屋に入ったなら声なんて掛けないと思うんだが?


「そうか。俺がもしお前を襲うつもりならわざわざ声なんて掛けないと思うぞ?」


 いや、襲うつもりでもバカで余裕があるなら声掛けるかな?まぁ、いい。この少年バカっぽいし簡単に騙されるだろ


「そ、それもそっか」


 先程まで身構えていた少年はその体制を崩した。ところで、剣も持たずにどうやって俺を斬るつもりだったんだ?


「ああ。だが、まぁ、名前を知らないと不便な事だったあるからなぁ……ま、俺の事は神の使いとでも呼んでくれ」

「神の使い?そ、それって僕がこの世界に来る前にあったあの美しい女性の事かな?」

「美しいかどうかは知らないけど、その女性の使いなのは間違いない」


 神子って美しいか?なんて疑問は置いといて、用件だけ伝えて早く帰りたい。俺の話を聞いた後どうするかなんて少年次第だしな





今回は悩める少年の元へ行く話でした

洋平は悩める少年に何を言うのか?

感想等があれば気軽に感想欄へ書いていただけると嬉しいです!

感想を書くついでに評価して頂けると作者のモチベーション向上になるので宜しくお願いします


今回は最後まで読んで頂きありがとうございました!

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