親父とラブコメ的な展開になりかけたんだが
今回は洋平が父と親子の会話っぽい事をする話です
父親とラブコメ的な展開に!?
では、どうぞ
狂人と化した転生者の魂を昇天させた後、この世界に長居は無用という事で俺達は神子の部屋に戻る事にした。そういえばお袋の力は雷とわかったが、親父の力は具体的に何か知らないな。影を操って何かすると言うのは聞いたが、それしか俺は知らない
「なぁ、親父」
「何だ?洋平。父の戦う姿を見て尊敬の念でも抱いたか?」
狂人と化した転生者を前にした時の親父よ、戻ってこい。俺はそう思わずにはいられなかった
「それはない」
「じゃあ、何だ?俺と母さんの馴れ初めでも聞きたいのか?」
親父はこんなにウザい奴だっただろうか?
「ちげーよ!っつーか、何が悲しくて自分の両親の馴れ初めなんて聞かなきゃいかんのだ!子供じゃあるまいし!」
幼い頃ならいざ知らず、さすがに十代にもなって親の馴れ初めなんて聞きたくない
「洋平、お前は俺にとってはいつまでたっても子供だよ」
「親父……」
唐突に真剣になるんて俺の親父は狡い。きっとお袋はそんな親父を心の底から愛したんだろうな……って!そうじゃないだろ!白石洋平!なんかいい感じの雰囲気に流されそうになってけど違うだろ!俺が聞きたい事も話したい事もちげーだろ!
「洋平も茉央も美緒ちゃんも俺と母さんにとっては大事な子供なんだ。あんま親に心配掛けさせんなよ?」
うん、そーだね。親を心配させるのはよくないね。
「あ、ああ、わかった……ところで親父は何の力を貰ったんだ?お袋は雷だろ?茉央と美緒は不明として、親父は一体何の力を貰ったんだ?」
「…………」
力の話をした途端、無言になる親父。ん?なんか耳まで真っ赤になってるのは気のせいか?
「なぜ黙る?俺はただ、何の力を貰ったのかを聞いてるだけなんだが?」
「…………………」
さっきよりも長い沈黙が俺と親父の間を支配する。
「教えてくれないのならお袋達に聞いてもいいんだけど?」
「それだけは止めて!!」
親父が教えてくれないのならお袋達に聞こう。そう思った俺は前を歩いているお袋達に声を掛けようとした。が、それは親父によって阻まれてしまった。ここから推測してみよう。お袋や茉央、美緒に知られても恥ずかしくなく、死安さんにも知られて恥ずかしとは思わない。しかし、俺には知られちゃ恥ずかしい力。言い換えるのであれば俺には絶対に知られたくない力という事になる
「どうしてだよ。親父が教えてくれないのならお袋達か死安さんに聞くしかないだろ?」
この時点である程度の予想はできている。お袋達は同時に力を貰っているわけだから知っていて当然だし、力を与えた死安さんが知らないわけがない。つまり、俺達の中で当事者の親父を除けば俺以外の奴はどんな力を貰ったか知っている事になる。考えてみれば割り出すのは簡単だった
「あ、いや、ほら、俺の力を洋平が知るにはまだ早いと思うんだよ」
力を手にしたのは俺の方が先だ。それなのに早いもヘッタクレもあるか。まあ、ここまで言われれば推測が確信に変わる
「そーだな。親父が闇を司る力を手にした事を俺が知るにはまだ早いよな……」
「…………」
確信していたとはいえ、こっちも半信半疑で言った事なのにそれを聞いた瞬間、親父からは滝のような汗が噴き出した
「どうした?汗なんか掻いて?この空間は太陽なんて出てないから暑いとは感じないはずなんだけど?」
今いる空間……いわば異世界と神子の部屋を繋ぐ道は太陽なんてない。だから暑いも寒いも感じない。だと言うのに親父からは大量の汗が噴き出している。つまり、俺は正解にたどり着いたと言う事だ
「いいいいいいいいや、ななななななななななななななな何でもない!」
親父は大量の汗を掻きながら動揺していた。そりゃもう誰が見たって判るくらいに
「いや、汗を大量に掻いてどもってりゃ誰だって動揺してるって判るし、俺が当てずっぽうで言った事が本当だってすぐに理解できるからな?」
「そ、そんな事はないぞ?」
焦って否定するところがこれまたわかりやすい。
「慌てて否定されたところで説得力はないぞ親父」
っていうか、逆にその反応で親父が闇の力を手にしたという事がわかってしまう
「で、でも!俺の力は別の何かかもしれないぞ?」
今更になって話を逸らそうったってそうはいくか
「今更違うと言ったところでもう遅いっつーの」
「…………」
ついに諦めたのか無言になってしまった親父。一時のテンションで何かをすればそうなる。俺はまた一つ賢くなった
「さて、どうして親父が闇の力を貰ったかを教えてもらおうか?」
別に闇の力を持っているからと言ってその力を捨てろとか言うつもりはない。ただ、どうして親父のような闇とは無縁でクール系でも何でもない冴えないオッサンが闇の力を欲したのかが知りたいだけだ
「──────じゃないか……」
蚊の鳴くような声で何か言っているが、そんなんじゃ聞こえないぞ。親父
「え?何だって?よく聞こえなかったぞ」
「────いじゃないか……」
「はぁ~?何だって~?」
煽っているつもりはないのになぜか煽っている感じになる俺は性格が悪いのかもしれない
「だって!闇の力とかカッコいいじゃないか!」
顔をこれでもかと言うくらいに真っ赤にしている親父。ぶっちゃけオッサンが顔を赤らめて見つめてきても何も思わん。むしろキモイとさえ思う
「は、はあ、カッコいいんじゃないんでしょうか?」
親父があまりにもキモイせいでつい敬語になってしまった。そして、内心、息子相手に顔を赤らめるなとも思った
「あー!カッコいいって思ってない!絶対にバカにしているだろ!」
近い近い!オッサンが顔を近づけるな!気持ちわりぃ……
「思ってる思ってる。カッコいいと思ってるから離れろ」
闇の力がカッコいいかどうかは置いといて、オッサンに至近距離で迫られるのは大変気色悪い
「ご、ごめん……」
「あ、いや、別にいい……」
「…………」
「…………」
ラブコメ的な展開だとヒロインに至近距離で迫られた主人公がヒロインを異性として意識するか意識してしまう展開になり、話題に困って無言になってしまうといったような場面なのだが、俺と親父は男同士で親子だ。加えて親父はオッサンだ。オッサンに至近距離で迫られても困るし、オッサンとラブコメ的な展開になるつもりもない。結論、おえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
「親父」
「何だ?」
「俺らがラブコメ的な展開になってもキモイだけだ。親父にはお袋が、俺には神子がいる」
「だな。正直、悪かったと思っている」
重苦しい空気の中、俺と親父は互いに愛する人の事を思い浮かべ、あまりの気持ち悪さに叫びたくなるのをどうにか堪えた
「それにしても、親父が闇の力を得たかぁ……」
「意外か?」
「まぁな。親父は闇とかクールとかから無縁の人間だと思っていたからな」
昔から親父は闇とかのネガティブなイメージはなく、どちらかと言うと炎とか風とかのイメージだった。そんな親父が闇の力とは……しっくりこなさすぎる
「俺だって男だ。厨二くさい力に憧れないわけじゃない」
男なら厨二くさい設定とか、厨二くさい力に一度は憧れるものだ。俺だって覚えがある
「まぁ、親父の気持ちも解らんでもない。だけど、どうして俺には隠そうとしたんだよ?お袋や茉央達はいいのに」
家族に隠し事をされたら悲しいとは言わない。家族にだって言えない事の一つや二つある。が、力の事は隠すことでも何でもないと思う
「だって、言ったら厨二だってバカにするだろ?」
「当たり前だ。神子との関係を冷かしてくれたお礼に盛大にバカにしてやる」
「だからだよ!父親の威厳に関わるから言いたくなかったんだよ!」
父親の威厳か……
「ふっ、お袋の好きなところを聞いた時に胸だって答えた時点で父親の威厳なんてねーだろ」
「………」
俺の言葉に黙り込んでしまう親父を見て『コイツは本当に自分が父親として威厳がある人間だと本気で思ってたのか?』と内心思ったのは……黙っておくか
「どうして黙るんだ?洋平?」
「いや、別に。親父も大変なんだなと思っただけだ」
「そうか、洋平にもようやく俺の苦労が解ったか」
「ああ、親父も苦労しているんだなって思ったよ」
これ以上深く探られたら面倒なので話はこれで切り上げる事にした。世の中には知らない方が幸せという事もあるしな
「解ってくれればそれでいい。ところで、どうして俺が闇の力を持っているってわかったんだ?」
「どうしてって、親父が狂人を影を使って押さえつけたからとしか言いようがないんだけど?」
親父が闇の力を持っているってわかった理由は安直だが、影を使っていたからとしか言えない。マンガの読みすぎかもしれない。でも、バトル系のマンガだと影を使うキャラってのは大抵闇の力を持っていると決まっている
「え?それだけ?もっとないのか?こう、父には闇がよく似合うとか」
この親父は日頃の行いを見直すって事をしないのだろうか?普段の親父は闇というより炎だ
「それはない!」
「酷い……」
「はぁ……」
ウソ泣きをする親父に溜息しか出ない。オッサンがウソ泣きとかマジでキツイんだけど
「洋平、ガチの溜息が一番心にくるんだ」
「知ってる。で、話を戻すが、影を使う奴ってのは大抵が闇の力を持っているって相場が決まっているんだよ」
「だよな……ところで、茉央と美緒ちゃんは何の力を貰ったかってのは」
「聞いてないな」
俺は自分の妹と幼馴染が何の力を貰ったかってのは聞いてない。まぁ、聞かない方が初見での楽しみが増えるからいいんだけどな
「おーい!お兄ちゃん!お父さん!着いたよー!」
話に夢中になっていたせいか、もう神子の部屋の前に来ていたらしく、扉の前で茉央が手を振っていた
「おう!今行く!」
俺は手を振る茉央に手を振り返す。親父もそうだけど、最初の異世界は楽しい思い出を作ってやりたい。俺はそう思うが、死安さんから言われるのは転生者の抹殺だし、神子から言われるのはピンチだったり苦悩している転生者や異世界人の元へ行けだし、楽しい思い出が異世界で作れるか……果てしなく不安だ
「洋平、行くか」
「そうだな」
でも、やっぱり親父達には最初に行く世界は楽しい場所がいいと思ってしまう。異世界転生を拒否した分際で何言ってんだ?って話だけどな
今回は洋平が父と親子の会話っぽい事をする話でした
父親とラブコメ的な展開・・・・洋平には彼女がいるのでラブコメには発展しません
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました




