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家の前で転生者に出くわしたんだが

今回は家の前で転生者に出くわすところからのスタートです

今回の転生者はどんな感じなのでしょうか

では、どうぞ

 狂った転生者が住んでいるであろう家の前に来た俺達。しかし、そこで見たものは普通の家の光景とはかけ離れたものだった。何しろ家の窓ガラス全てが黒く変色した何かで覆われていた。親父の見解だとそれが血液なのかどうかすら判らないらしい。お袋の見解では人間のものかどうかは判別できないけど、転生者は相手の血を抜き取ってぶちまけた。そういう見解らしい。親父とお袋のどちらを信じるかよりも俺には目の前の光景が異様なものに見える


「これって中に入らなきゃいけないんでしょうか?」


 俺は誰に聞くでもなく、問いかけた。いや、この場合は死安さん含めた大人に問いかけたと言った方が正しいか


「そうだね。一応、中に入って調べなきゃいけない事もあるけど、洋平君は無理なら入らなくてもいいよ」


 死安さんは俺を気遣ってか、入らなくてもいいと言ってくれている。今までに俺は死神の仕事をちゃんとしたのは一回だけ。しかも、すんなり終わった。しかし、今回はそうじゃない。目の前の光景が転生者の異常性を表している


「そうだぞ、洋平。お前や茉央ちゃん、美緒ちゃんが見ていい光景じゃないことは確かだ。無理をする必要はないんだぞ?」


 親父も死安さんと同じで無理に入らなくてもいいと言ってくれている。


「お父さんと死安さんの言う通りよ、洋平。この光景は医療関係者の立場からしてみても異常だと言わざる得ないわ」


 お袋も親父達と同じ意見で無理に入る事はない。そう言ってくれている。確かに目の前の光景は異常なものだ。狂っているの一言に尽きる。しかし、そんな光景を目の当たりにしたからなのか、俺にはどうしても気になる事ができた


「親父達の気遣いは嬉しいし、自分で入らなきゃダメか?って聞いといてなんだけど、俺も入る事にする」

「「「ええっ!?」」」


 俺の言葉に三者三様、驚きの声を上げる。当たり前だよな。入らなきゃダメか?って聞いといて今度は俺も入るだなんて気が狂っているとしか言いようがない


「よ、洋平君!どうしたんだい!?いきなり入るだなんて……」


 死安さんは大層驚いている。だけど、何かが気になる。この家に住んでいた転生者がやったって事は間違いない。だけど、窓ガラスのアレが血であるにしろ、ないにしろ、どうして目立つようにしたんだ?


「いや、窓ガラスのアレが血であるにしろ、ないにしろ、どうして目立つようにしたんだろうって思ったんです」


 人間は隠したい事があれば目立たないようにするはずだ。しかし、今回の転生者はどうだろうか?隠れるどころか逆に目立っている。異様な光景に度肝を抜かれて忘れていたけど、どう見たって目立つ。茉央と美緒が気を失うくらいだから相当異様なのは間違いないだろう。それ以上に目立つ


「どういう事だ?洋平。父さんにも解るように言ってくれ」

「これは入るまでは何とも言えないんだけど、俺達は『転生者が周囲の人間を殺した』って事は聞いてるが、その方法は聞いてない。つまり、転生者がしたことは知ってても方法までは知らない」


 上手く説明できない自分にもどかしさを感じる。簡単に言うと『殺した』という事実は知っていてもそれをどうやってやり、その後どうしたまでは知らない


「洋平君は窓のアレが血じゃない可能性も考えているんだね?」

「はい」

「じゃあ、今からそれを確かめに行こうか」

「そうですね」


 お袋に茉央と美緒の事を任せ、俺、親父、死安さんの三人は家の中へ入ろうとした。しかし─────


「そりゃ、困るなぁ。人の家に勝手に入るんじゃねーよ」


 俺達以外の第三者に止められた。


「君は……」


 声の主の顔を見た死安さんは苦虫を噛みつぶしたような顔をした。コイツが転生者か?


「俺はこの家のモンだけど?何?アンタらは人ん家に勝手に入る趣味でもあんのか?あ?」


 見た目はヤンキーとかヤンチャとは程遠い。だけど、口調はヤンキーの人が時々使っているそれに近い。


「俺達はこの家の人に用があって来たんだけど、インターホンを鳴らしても誰も出てこないから何かあったのかと思って調べようとしていただけなんだ」


 俺は相手を怒らせないように目的と入ろうとした理由を簡潔に説明する。納得してくれるのであればそれで良し。してくれなかったら謝る


「そうかそうか、この家の人間に用があったのか~。納得納得」


 どうやら納得してくれたみたいだ。こっちとしても無駄な争いは避けたかったし、ちょうどいい


「納得してくれたようでよかった」

「ああ、納得はしたぞ。しっかしなぁ……この家の人間─────いや、俺の家族はもう死んでるから誰にも会えないんだよなぁ~。いや、俺が殺したんだからなぁ!!」

「「──────!?」」


 目の前の男が転生者……どうやら探す手間が省けたみたいだ。それでも、親父とお袋は転生者の言った事に驚いていた。驚いていなかったのは俺と死安さんだけだ


「そっちの男二人は驚いていないみたいだけど、そっちのオジサンとオバサンは驚いているみたいだなぁ!」


 俺達が驚いてない事に対してなのか、それとも、親父達が驚いてる事に対してなのかの判別はできない。今ハッキリしているのは目の前の男の顔から見て取れるのは狂気。それだけだ


「親父達はアンタみたいな奴と対峙するのは初めてだ。驚くのも無理はない。だけどな、俺と死安さんはアンタみたいな奴は初めてじゃないんだよ。その差だな」


 俺だって親父達に偉そうな事は言えない。転生者の抹殺は今回で二回目だ。だが、狂ってしまった人間に会うのは初めてじゃない。篠崎がいる。


「そっかそっか、で?アンタ達は俺をどうするんだ?殺すか?」


 やけに挑戦的だな。慢心するわけじゃない。しかし、この家を異様なものにした理由くらい聞いてもいいだろう。っと、その前に、親父と死安さんには茉央と美緒の様子を見に行ってもらうとするか


「そうしてやってもいい。だけど、少し待ってくれないか?」

「何だ?俺を倒す作戦会議でもするのか?」

「ああ、そんなところだ」

「俺は優しいからなぁ。別にいいぞ」


 転生者……いや、転生者という枠では収まりきらないな。目の前の狂人に許可を貰ったところで俺は親父達に声を掛ける


「親父と死安さんはお袋と一緒に茉央と美緒を見ていてください」


 開口一番に親父と死安さんに茉央と美緒の事を頼む。死安さんの方は問題ないと思う。問題なのは親父の方だ。親父だって俺と茉央の親だ。きっと目の前の狂人がしでかした事を聞いて正気でいられる保証がない


「僕は構わないけど、どうして君のお父さんも?」

「そうだぞ!どうして俺も一緒なんだ?」

「死安さんも親父もこれからアイツの話を聞いて正気でいられるとは思えません。死安さんは神として、親父は親としてね」


 死神が人間の命についてどう思うかは知らないし、親父だって自分の子供ならともかく、人の家の事に関してどう思うのかまでは知らない。だけど、コイツに親がいたとして、これからする話を聞かせられるかと言われれば答えは否だ。聞かせられるわけがない


「…………洋平君が何を考えているかはわからないけど、そうだね。これらかの話を聞いたら僕は神として正気でいられるという保証はできなさそうだし、茉央ちゃんと美緒ちゃんの事を見ているとするよ」

「…………俺も娘二人が心配だ」


 沈黙の後、死安さんも親父も納得して茉央と美緒の元へと向かった。だけどな、親父。美緒はアンタの娘じゃないぞ


「頼んだ」


 親父達との話し合いが終わり、親父達が茉央と美緒のところに行った事を確認した俺は狂人の方に向き直った


「作戦会議はもう終わりかぁ?」

「ああ、親父達にはお袋が見ている妹と幼馴染の元へ戻るように言っただけだからな」

「そかそか、で?アンタが俺を殺すのか?最強の俺を」


 そうって笑う目の前の狂人とまともな話し合いになるかどうかはわからない。俺はやるだけやってみるだけだからな


「そうしてもいい。その前に聞きたい事がある」

「何だよ、俺は今気分がいいから何でも答えてやるよぉ」


 不法侵入しようとした奴を前に気分がいいとか、コイツはどうかしているんじゃないのか?


「そうか、じゃあ、遠慮なく聞くが、お前の家の窓ガラス一面の黒ずんだものは何だ?血か?」

「あ?ああ、アレか?アレは俺の両親と姉、妹の血だなぁ。それがどうかしたのか?」


 俺の質問に何でもないように答える狂人。コイツは人を殺すという事に対して躊躇いがないのか……


「別に。ただ、アレが何か気になっただけだ。それからもう一つ、どうして血を窓ガラス一面にぶちまけた?」


 自分の身内を殺すだけでも理解できない。その上で窓ガラス一面に血をぶちまけるだなんて理解できるわけがない


「ありゃ、俺がぶちまけたんじゃねーよ。俺が少し能力(ちから)を使ったらアイツらが勝手に破裂しただけだ」


 コイツの言い分をまともに受け取ると、本位ではなく、能力を使ったら身体が破裂し、血が飛び散ってしまった。こう言う事になる。それにしても、神子、そんな能力をこんなヤバイ奴にやるなよな……


「そうか。アンタは最初から家族を殺すつもりで能力を使った。そう言う事でいいんだな?」


 もし、最初は家族を救う方法を模索していたが、泣く泣く殺してしまった。それなら俺だって死安を説得するくらいはする。しかし、そうじゃなかったら親父達が俺の元へ来る前に殺そう


「アァ?んなもん、当たりめーだろ?ったく、いちいちンな事聞くなよ」


 はい、決定。コイツは親父達が俺の元へ来る前に殺そう


「そうか。じゃあ、神の使いとして、俺はアンタを殺さなきゃいけないな」


 別に正義感が強いわけじゃない。家族や幼馴染は大切だ。喧嘩する事だってある。だけど、殺したいとは思わない。それを目の前の奴は平然とやってのけた。今回ばかりは許せそうにない


「はっ!やってみろよ!その前にアンタは終わりだがな!」

「───────!?」


 狂人がそう言った次の瞬間、俺の左腕が消え去った。だけど、目の前の奴は何もしていない。手を前に出し、何かの能力を発動させる準備をしていたわけでも何でもない。ただ、叫んでいただけだ。だというのに、俺の左腕が消え去った。どんな能力なんだ?


「痛みで声も出ねーか?」


 普通の人間だったら痛みで声も出なかっただろう。だが、俺の身体をよく見てほしい。俺は全く出血してないぞ


「確かに、普通の人間なら痛みで声も出ないだろうし、それこそ、出血多量で死んでたかもしれないな。だけどな、俺の身体をよく見ろ」

「は?アンタ何言って──────」


 狂人は俺の左腕がなくなった部分を見て言葉を失った。そりゃそうだろよ。だって────────────


「左腕から出血がなく、どれどころか、お前が消し去ったはずの左腕がすでに再生を始めているだろ?」


 消し去られたはずの左腕が再生を始めているんだから


「は?何だよソレ!?俺はアンタの左腕を完全に消し去ったはずだぞ!?」


 消し去ったはず……か。確かに消された。だけど、出血してない事に関してどう説明するんだよ


「消し去ったのは別にいいとして、だ。それならどうして俺は血の一滴も流してないんだよ?」


 俺が左腕を消されても再生し、血を一滴も流してないのは神子から貰った力で俺は水そのものになってるからだ。原理は知らないけど、今はそれでいいだろう。




今回は家の前で転生者に出くわすところからのスタートでした

今回の転生者は狂いに狂った転生者にしてみました。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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