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親父達が異世界デビューしたんだが

今回は洋平の父親達が異世界デビューを果たす話です

今回の転生者は理解不能なだと思います

では、どうぞ

 死安さんの実演により、俺が神子から水───────いや、水分であれば何でも自由自在に操れるという事が証明され、親父達にも俺と似たような力を与えた。どんな力か気にはなるところではあるけど、本人達曰く『使うまでのお楽しみ!』との事で俺は親父達の力を見れず終いだった。ま、楽しみは後にとっておくとして、現在、俺がいるのは神子の部屋の玄関ではなく……


「前にも見た光景だ……」


 俺が今いる場所は高層ビル街。超能力がメインの世界だから当然、科学技術は発展しているとは思う。しかし、だ。俺の元いた世界に行った時も高層ビル街に出てきたからぶっちゃけ、ここが俺の元いた世界と違うと言われても信用できない


「あれ?そうだっけ?」


 俺の呟きにあっけからんとして聞き返してくる死安さんはまるで世界の違いが判別できますよと言わんばかりの顔をしているけど俺には同じに見える。ファンタジー要素を含んだ世界はどれも木造建築かレンガ製の建物だった。探せば魔法メインだけど、現代に近い街並みや技術の世界もあるんだろうとは思う


「「「「ほえぇ~……ここが異世界……」」」」


 初の異世界に呆けている親父達は四人揃って間抜け面を晒している。ツッコめよ……目の前思いっきりビル街だろーが!元居た世界と何ら変化ねーだろ!


「はぁ……頭が痛い……」

「あ、あはは……大丈夫?」


 間抜け面を晒す親父達を見て頭痛が止まらない俺とそんな俺を見て苦笑いしている死安さん。きっと俺達を見ている周りの人達は俺達を田舎者だとバカにしているに違いない。その証拠にチラホラと『やだ、あの人達田舎者?』『今時この程度のビル街に驚いてるのかよ……やっぱ田舎者だな』と俺達を蔑むような声が聞こえる。居たたまれない。どうせ死安さんは死神で俺達はそんな死神の付き添いだなんて言っても誰も信用しないだろうから突っかかるだけ無駄な事は頭で理解していれもムカつくものはムカつく


「大丈夫じゃないです。それより、早く転生者の元へ行きましょう」


 俺は早くこの場を離れたい一心で転生者の元へ行きたかった。このままじゃやらかした転生者じゃなく、俺が蔑むような発言をした人間を殺したくなる。


「そ、そうだね。早くしないと取り返しのつかない事になりそうだし、行こうか」

「取り返しのつかない事?」

「あ、いや、何でもないよ。それよりも早く転生者の元へ行こう!」


 死安さんの言う取り返しのつかない事というのが気にはなるけど、それよりも早くこの場を離れたいという気持ちが強かったので間抜け面をしている親父達を引きづりこの場を後にした


「それで、さっき言ってた取り返しのつかない事って何ですか?」


 転生者の元に向かい歩いている道中、さっき死安さんの言っていた取り返しのつかない事がどうも引っかかっていた俺は思い切って死安さんに尋ねた


「あ、うん、こんなビル街で話すのは気が引けるんだけど、洋平君、それに洋平君のご両親、美緒さんも聞いてほしいんだけど、今回の転生者は転生してからしばらくは大人しかったんだけど、ある出来事をキッカケに周囲の人間を殺し始めたんだよ」

「「「「「…………」」」」」


 転生者が殺した周囲の人間というのに家族を含むのかは知らない。しかし、俺達には『周囲の人間を殺した』という事実が衝撃的だったのか一様に黙ってしまった。


「今回の転生者は完全に狂ってしまっている。だから、できれば洋平君だけに来てほしかったんだけどね」


 俺は過去に女に振られたという理由だけで世界を滅ぼそうとした転生者に会った事があるから周囲の人間を殺し、その上でまだ殺そうとしている転生者に会う事に全くとは言わないけど、抵抗はあまりない。けど、親父達や美緒は違う。初の異世界でどうして殺しの話をしなきゃいけないんだ?


「死安さん」


 俺はその場に立ち止まり、死安さんを呼ぶ。別に殺人鬼と化した転生者が怖いわけじゃない。


「ん?どうしたの洋平君」


 死安さんは俺がこれから言う事を解っていると言わんばかりの顔で俺を見つめる。理解が早くて助かる


「俺はこのまま残ります。ですが、親父達は神子の部屋に返してくれませんか?」

「「「洋平!?」」」

「お兄ちゃん!?」


 俺の提案に驚く親父達と美緒。それに対し、ただ黙っている死安さん。


「そうだね、洋平君はともかくとして、ご家族と美緒さんにはキツイだろう。いいよ」

「ありがとうございます」


 死安さんは俺の気持ちを汲み取ってくれたのか、アッサリと提案を受け入れてくれた。しかし────────────────


「待ってくれ!」


 親父が待ったをかけた。


「何だ?親父」

「洋平はきっと俺達が異世界に来るのが初めてでその転生者とやらが狂った殺人鬼だからという理由で神子ちゃんの元へ送り返そうとしているんだろ?」

「ああ」

「だったら、俺の事はいい!母さん達だけ神子ちゃんの部屋に送り返してくれないか?」

「「お父さん!?」」

「おじさん!?」

「親父……」


 俺の提案に待ったをかけた親父がお袋達だけ送り返せと言ってきたけど、どういうつもりだ?


「俺は親として息子がどんな仕事をしているかを見届ける責任がある!それにだ!息子がそんな危険な奴に会いに行くって聞いたら父親として息子を守らなきゃならん!」


 親父の目を見れば判る。親父は本気だ。本気で俺を守ろうとしている。息子としては嬉しく思うけど、今回は相手が悪い。力を貰ったばかりの親父を連れて行くわけにはいかない


「親父、息子としては嬉しく思う。だけどな、力を貰ったばかりの親父を連れて行くわけにはいかない。それくらい危険な相手なんだ」


 世界を滅ぼそうとしている奴も十分に危険な存在だ。が、世界を滅ぼすだなんて抽象的な目的をもって行動している奴ならともかく、周囲の人間を殺した。俺の価値観で言うなら世界を滅ぼそうとしている奴より周囲の人間を殺した奴の方が危険だ。基準は未遂かどうかだけど


「それは十分理解している!それでも、息子を危険な奴に会わせるわけにはいかん!言っとくがこれは面白半分とかじゃないぞ!」

「んなモン目を見れば判る!でも、話を聞いた限りじゃ本当に危険なんだよ!」


 話を聞いただけで実際に見たわけじゃない。死神である死安さんが言ってただけで本当は大した事ない奴かもしれない。そう、周囲の人間を殺したっていう情報しかないけど、親父達を危険な目に遭わせるわけにはいかない。


「洋平!俺だってお前と似たような力を持っている!自分の身ぐらい自分で守れる!」

「しかし!────────────」

「洋平君!ストップ!」


 俺の言葉を遮り、死安さんがストップをかけてきた


「何ですか!」

「洋平君、周り、見て」

「はあ?周りがどう────────あっ……」


 俺は死安さんに言われ、周囲を確認し、初めてここがまだビル街だという事に気づく。そして、俺と親父の口論を見てヒソヒソ話す人もいる。


「洋平君、君が家族や幼馴染を危険な目に遭わせたくないって気持ちも解るし、この世界の転生者について説明してなかった僕にも非がある。でも、君の家族も幼馴染も君と同じような力を持っているんだよ。少しは信用してあげてもいいんじゃないかな?」


 俺は親父達が手にした力をこの目で確認したわけじゃないからどんなものなのかは知らない。だからなのか、親父達を信用しきれなかった。だけど、死安さんが言うなら信じてみてもいいかかもしれない。そう思う


「はぁ、わかりました……親父達を信用しますよ」

「うん!」


 俺が折れる事で親父達を神子の部屋に返すことはせず、このまま転生者の元へと向かう事が決定した。ちなみに、お袋達にどうして俺と親父の口論を止めなかったのかを聞いたところ『どうせアンタじゃお父さんに適うはずないから黙っていた』との事だった。確かにその通りだ。ふざけている時の口論はともかく、真剣な口論で俺は親父に勝てた事なんて一度たりともなかった


「死安さん」

「何かな?」

「すみませんでした。くだらない親子喧嘩なんて見せて」

「別にいいよ。それに、親子喧嘩する姿の洋平君なんて珍しいものも見れたしね」

「そ、そうっすか」


 死安さんは俺と親父の喧嘩の事について許してはくれているんだろうけど、それ以前に俺だって親子喧嘩くらいするんですけど


「さて、このまま歩いていても仕方ないから転生者の元へ飛ぼうか」

「「「「えっ!?飛べるんですか!?」」」」

「飛べるなら最初からやれよ」


 子供のように目を輝かせる親父達とゲンナリする俺。飛べるなら最初からそうしてほしかった。それと、毎回毎回思うけど、出るなら転生者の居場所が近い場所に出してほしい。


「洋平君、何か言った?」

「いえ、別に」

「そう?じゃあ、飛ぶよ?」

「はい」


 ビル街のど真ん中で飛んでいいのかとツッコミたいけど、ここは超能力メインの世界だし、テレポートの一つや二つあるだろう。そう結論付けて俺は何も言わなかった。親父達は遊園地に来たかのようなはしゃぎようだったけど、どこからそんな元気が出てくるのか教えてほしいものだ


「こ、これは……」

「とてもじゃないけど、子供達には見せられないわね……」

「ええ、これは大分酷いです……」


 転生者の近くの場所という事で転生者が住んでいるだろう家の前に来た。その光景は親父、お袋、死安さんからしてみれば酷いものだった。当然、神子の使いで異世界に行って悲惨な場面を見ている俺はともかくとして、そんな場面を見慣れていない茉央と美緒はついてすぐに気を失ってしまった


「親父、その黒く変色してるのってまさか……」


 転生者が住んでいるだろう家は外観こそ普通の家と大差ない。しかし、問題は家の前から見てもわかる黒く変色しているものだった


「ああ、血液だろうな……」

「やっぱりか……」

「でも、あれが本当に血液かどうか調べたわけじゃないから何とも言えないぞ」

「そうか……しかし、どうやったら窓一面に血液が付くだなんて状況になるんだよ……」


 目の前の光景は俺にとって理解の外だった。最初に大剣を届けに行ったときにも血は見た。しかし、肩を切ってたり、顔の切り傷からの血で言うほど出血はしてなかった。しかし、今回は別だ。どうやったら窓ガラス一面に血液が飛び散るんだよ


「どうやったかは知らないけど、そうね……その転生者君は相手の血を全て抜き取って撒いた可能性があるわ。まぁ、アレが人間の血なのか、別の生き物の血なのかは判別できないけどね」


 人間のものか否かはともかく、転生者は狂っているという事だけは理解できた。こりゃ本格的に取り返しがつかなくなる前に対処しないと大変なことになるな


今回は洋平の父親たちが異世界デビューする話でした

今回の転生者は理解不能な行動をしました。その理由等については次回

今回は最後まで読んで頂きありがとうございました!

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