俺って結構紳士的だと思うんだが
今回は洋平の妹と幼馴染が一目惚れしたり、神子と洋平の両親が仲良くなったりという話です
洋平の死ぬ原因となった神子と洋平の両親の関係は良好なものなのか?
では、どうぞ
俺の両親と妹、幼馴染が俺と同じく天国にも異世界にも行かない選択をし、どこかへ意識を飛ばしていた神子が戻ってきた。それはいいとしてだ。この状況は何だ?
「いい?神子ちゃん、洋平は果てしなく鈍感だから世話はちゃんとしなきゃダメよ?」
「はい!お義母さん!」
和気藹々と俺の扱い方について談笑する神子とお袋。俺は最初、戻ってきた神子を責め立てると思っていた。しかし、実際は戻ってきた神子を座らせ、今に至るまでの経緯を聞きだし、そこから仲良くなり、今じゃ俺の扱い方についてレクチャーし始めている。死んでしまったから諦めたのか、それとも、最初から責める気がないのか……
「息子である俺が神子の酒癖の悪さで死んだって聞かされて怒るどころか恋人同士になるまでの経緯を聞くお袋。その話に目を輝かせる茉央と美緒。この状況をおかしいと思うのは俺だけか?」
お袋達を遠目で眺めながら疑問を呟く。この状況をおかしいと思う俺がおかしいのか、それとも、俺の死について怒りもしないお袋達がおかしいのか。神様である神子の部屋では何が普通で何がおかしいのかわからなくなってきている
「洋平」
「何だ?親父」
「洋平の死について母さんも俺も何も思わなかったわけじゃない。しかしな、それ以上に高校生にもなって浮いた話の一つもなかった息子にいきなり彼女ができました。それも神様ですって言われたら息子の死も俺達の死もどうでもよくなる」
「つまり、俺の死よりも俺に彼女ができた事の方が衝撃的だと。そう言う事だな?」
「ああ」
親父、俺が死んだ事を蒸し返せとは言わないけどよ……どんだけ俺に彼女ができた事が衝撃的なんだよ……
「親父とお袋、茉央と美緒が生前、俺をどんな目で見てたかよく解った」
「それはよかった!それで?お前は神子ちゃんのどこに惚れたんだ?」
何がよかったのかは知らん。だけど、どうして息子である俺が親父に彼女のどこに惚れたかを話さなきゃならんのだ
「親父がお袋のどこに惚れたのか言えば俺も神子のどこに惚れたかを話そう」
下手に秘密にすると弄られる。それだったら先に親父がお袋のどこに惚れたかを聞きだし、その後で俺が神子のどこに惚れたかを話した方がいいに決まっている
「俺は母さんの胸に惚れたんだ!」
親父がお袋に惚れた理由は女の立場から見ると最低の一言に尽きた。もっと他にねーのか?例えば、不意に見せる笑顔とか
「親父、最低だな」
「ああ!俺は最低だ!」
開き直るな。それに、胸に惚れたって言われて喜ぶ女がいるはずが─────────
「私はそんな最低なお父さんが大好きよ!」
いた。胸に惚れたと言われて喜ぶ女が。正確には俺のお袋だった。お袋はいつの間に神子との話を終えたんだ?
「洋平のお義父さんとお義母さんはラブラブだけど、私達もいつかこんな風になれたらいいね!」
神子の目標とする理想の夫婦は親父とお袋みたいだけど、俺は将来神子と結婚して親父とお袋みたいになるのは嫌だぞ?特にどこに惚れたかを聞かれて胸って答える夫にはなりたくない
「夫婦円満なのはいい事なんだけど、惚れたところを聞かれて胸って答える夫にはなりたくないんだけど?」
「え?洋平はお義母さん達みたいにいつまでもラブラブでいたくないの?」
「そうなの?お兄ちゃん?」
「そうなの?洋平?」
神子の質問にさっきまで黙っていた茉央と美緒まで乗っかってきた。俺は親父達のような仲良し夫婦になりたくないって言ってるんじゃなくて、身体の一部を惚れた理由に使う夫になりたくないと言っているのであって決して神子とラブラブでいたくないって言ってるわけじゃない。
「親父達のような仲良し夫婦にはなりたいとは思っているけど、胸を惚れた要素にしたくないって言ってるんだよ。それに、茉央と美緒はさっきまで黙っていたのにラブラブという単語を聞いた途端に話に入ってくるなよ。ビックリしちゃうから」
女子はラブラブって単語が好きなのか?
「妹には兄の恋愛を観察する義務があるんだよ!」
「幼馴染もね!」
「んなわけあるか!死んだ人間にこんな事言うのもアレだけど、お前らも早く恋人作れよ」
死んだ人間に出会いなんてあるはずはない。いや、神様関係だとあるか。死安さんとか
「「今は身内の恋を見て楽しんでるからいいの!!」」
「………………」
茉央と美緒の言い分に俺は言葉が出ない。身内の恋って言ってるけど、要するに俺の恋を楽しんでるだけじゃねーか。こんな時に都合よく死安さん現れないかなぁ~
「洋平君、仕事頼めるかな?」
都合よく死安さんが来ないかなとか思っていたら本当に死安さんがどこからともなく現れた
「いいですよ。それで、今回はどんな世界に行くんですか?」
「今回は超能力メインの世界だよ」
「わかりました。それで、超能力メインの世界で俺は何をすればいいですか?」
「前回同様、転生者の抹殺」
「了解です」
俺は死安さんと行く世界がどんな力をメインで使っているのかと行った世界で何をすればの話をする。俺の過去以外で死安さんとする話と言えばこれくらいしかないのは残念なような気がするけど、死安さんは滅多にこの部屋に来ないし、それに、俺も死安さんの部屋に行くだなんて事はあまりしないので話す事が少なくなるのは当たり前の事だった
「お兄ちゃん!!」
「洋平!!」
死安さんとの話を終えた俺に詰め寄る茉央と美緒。何だ?って言うか、近い……
「ど、どうしたんだ?二人とも?」
「「さっきの人誰!?」」
「死安さんの事か?」
「「死安さんって言うんだ……」」
「あ、ああ、死神の死安さんだけど、それがどうかしたのか?」
「「紹介して!!」」
さっきまで俺の恋を弄るか観察するような事を言っていた茉央と美緒がいきなり俺に詰め寄り、死安さんを紹介しろと言ってきたけど、もしかして……
「紹介するのは構わないけど、もしかして二人とも死安さんに惚れたのか?」
「「…………………」」
俺の言葉に茉央と美緒は顔を赤くし、無言になった。こりゃ黒だな。まぁ、妹と幼馴染が一目惚れとはいえ恋をしたんだ。兄として、長年一緒にいた幼馴染としては応援してやらない事もない。が、さっきまで俺の恋愛を弄り倒そうとしたんだ。それなりの仕返しはさせてもらうぞ
「どうした?黙ったままじゃわからないぞ?俺、バカだから。正直に言えば紹介してやらない事もないんだが、今のまま黙ってちゃ紹介しようにもできないなぁ~」
我ながら意地が悪いと思う。しかしだ。人の恋で遊ぼうとしたんだ。これくらいの仕返しはしてもいいと思う
「「惚れたよ!!一目惚れだよ!!文句ある!?」」
茉央と美緒は二人揃って死安さんに一目惚れをした事は見りゃわかる。しかし、ただ、紹介するだけじゃ面白くないので本人達の口から『一目惚れした』という事を言わせる必要があった。本当に一目惚れしたとは思わなかったけどな!
「文句はない。それに、本人にバッチリ聞こえてるんだ。勝手に自己紹介しろ。わざわざ俺が紹介するまでもないだろ?って事で、死安さん。後よろしく。俺は神子と寝室に行ってるんで」
そう言って俺は神子の手を引き寝室に向かった。後ろで神子が『ちょ、ちょっと!洋平!?』なんて言っているけど、そんなのは無視だ。さらに言うと、茉央と美緒を押し付けられた死安さんは『よ、洋平君!?』だなんて情けない声を上げていたけど、それも無視!!俺は親父達に引っ掻き回される前に神子と二人で寝室へ避難したいんだ
「ねぇ、洋平」
「何だ?神子?」
寝室へ着いて早々、戸惑った様子の神子がいた。いきなり連れ出されたら戸惑うのは当たり前だとは思うよ?でも、親父達や茉央達と同じ空間にいたら悪影響だ。
「お義父さん達と茉央ちゃん達を残して来てよかったの?」
「あー、いいのいいの。親父達は若者の恋を目の前で見れればそれでいいし、茉央と美緒は死安さんに一目惚れしたみたいだからな。俺達は俺達で二人きりの時間を楽しもうぜ」
茉央の兄として、美緒の幼馴染として言うのであれば、死安さんガンバッ!くらいしか言えない。しかし、ここは日本じゃない。茉央と美緒が死安さんに惚れたとしても何ら問題はない
「い、いいのかな……?」
「いいんだよ。ここは日本じゃないんだし、重婚だって可能だろ?」
「そ、それはそうだけど……死安、大丈夫かな?」
「何か問題でもあるのか?掟により神とは恋人になれないとか、結婚できないとか」
神と恋人になれない、結婚できないなんて掟があるなら神子は俺の告白を断ってるだろう。でも、それをしなかったとなるとそんな掟は多分、存在しない
「いや、そんな掟はないんだけど……」
「じゃあ、何が問題なんだ?」
人間と神が恋人になる事も結婚する事も問題ないとしたら何が問題なんだ?
「洋平には言ってなかったと思うけど、死安って女の人に言い寄られるのに慣れてないんだよ」
神子が語った死安さんの意外な真実!イケメンのクセして女の人に言い寄られるのに慣れてない!
「意外だな。死安さん程のイケメンなら女の人には慣れてるんだとばっかり思っていた」
イケメン=女慣れしているだなんて俺の勝手な偏見かもしれない。しかし、死安さんはこれまでいろんな世界に行ってるわけだし、その中では女に言い寄られた事だってあるはずだ。そんな死安さんが女に慣れてないとか、冗談にしては面白すぎる。そう思うのは俺だけじゃないはずだ
「今までは仕事をする時は姿を隠して転生者の元へ行ってたし、私は死安に言い寄った事なんてなかったから普通に話してたけど、死安は恋愛には滅法弱いんだよ」
「そうだったのか……しかし、アレだな。いい機会だし、茉央と美緒でその女に不慣れなところは治してもらおう」
俺は死安さんの為に茉央と美緒の恋愛を成就させるのだ。断じて『茉央と美緒を押し付けるちょうどいい相手が見つかった!これで俺と神子の平穏は約束された!』とか思ってないし、それに、恋する乙女を応援するのが紳士だろ?
今回は洋平の妹と幼馴染が一目惚れしたり、神子と洋平の両親が仲良くなったりする話でした
洋平の死ぬ原因となった神子ですが、洋平の死よりも洋平に彼女ができた事の方が洋平の両親にとっては重要だったみたいです
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