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異世界転生以外に選択肢があったんだが

今回は洋平がどうなるかです

洋平が生前の世界の人達との関係をどうするかです

では、どうぞ

「あの……俺のお願い聞いてくれるんですよね?」

「はい……」


 先程まで俺が怒鳴って神様が泣いてという状態だった。端的に言うと気まずい。ものすっごく気まずい……


「そ、その……俺のお願い言ってもよろしいでしょうか?」

「は、はい!元の世界に帰す事はできませんが、それ以外なら何でもします!!」


 神様は土下座せんばかりの勢いで頭を下げてきたが、それをされると逆に俺が恐縮してしまうので止めてほしい。だが、元の世界に帰す事以外は何でもしてくれるって言うし、お言葉に甘えるとしよう


「本当に何でもしてくれるんですね?」

「はい、白石さんを元の世界に帰す事はできませんが、それ以外なら何でも……」


 俺はもう『元の世界に帰せ』と言う気はない。それを言ったところで無駄だし、『帰せ』『無理です』の言い合いになる。それだったら俺が『元の世界に帰せ』って言わなきゃいいだけの話だ


「じゃあ、遠慮なく言いますが、元の世界で俺と関わりのあった人間の俺に関する記憶を全て消してください」


 俺の要求は俺に関わった人から俺に関する記憶だけを消してもらう事だった。死んだ人間は生き返る事はない。それに詳しく聞かない事には何とも言えないが、俺の死因は不明だろう。そんな死因不明な人間をいつまでも覚えていも時間の無駄だ


「えっ……?」

「できませんか?」

「い、いえ、できますけど……いいんですか?」


 俺の要求に戸惑っている様子の神様。俺がお願いしてるのに確認するなんて変な神様だな


「いいんですよ。死んだ人間の事をいつまでも気にしていたら前に進めませんし、それに、今はいいとして、同窓会で俺を思い出して気まずくなるくらいなら忘れた方がマシですから」

「は、はぁ、白石さんがそう言うなら私は何も言いませんが……」

「そうですか、ではお願いします」

「はい」


 神様はテレビを点け、チャンネル(?)を俺の世界に合わせた


「…………」


 俺はチラッとだが、俺が生まれ育った世界の様子を見たが、俺の父親と母親、それに妹と幼馴染(女子)が号泣していた。


「白石さん……本当にいいんですか?」


 神様は最後の確認と言わんばかりに聞いてきた。未練がないとは言い切れない。だけど、俺の死を乗り越えて前に進んでほしい気持ちもある。だからこそ俺の事は忘れてほしい


「ええ、俺の死をいつまでも気にしていたらアイツ等は前に進めませんし、それに、とある説では死んだ者を気にしすぎてストレスで病気になるなんて説もあるくらいですから。忘れさせた方がアイツ等の為です」


 できれば元の世界に戻してほしいが、それは不可能だって言ってた。なら、せめて俺の事は忘れて幸せになってくれ


「そうですか……そこまで言うならわかりました」


 神様は子供を救った時と同じようにテレビを指差した。指差しただけで世界をコントロールできるなら楽なもんだな


「終わりましたか?」

「はい……」


 神様は悲しそうな顔で答える。本来なら俺が悲しむところなのにどうして神様が悲しむんだ?


「そうですか……確認してもいいですか?」


 神様を疑ってはいない。だが、本当に忘れたか自分の目で確認したい


「はい……どうぞ」


 テレビの画面は俺の元いた世界を映したままになっていた。さて、神様が本当に俺の親しい人間の記憶を消したかどうかを確認しますかね


「どれどれ」


 俺はテレビの前に座り、俺の親しかった連中が本当に俺の事を忘れているかを確認する


『あれ?何か悲しい事があったような気がするが、はて、何だったかな?母さん、何か知らないか?』


 親父……………


『さあ?私も何か悲しい事があったような気がするんですけど、それが何か思い出せなくて……』


 お袋……………


「親父とお袋は綺麗サッパリ忘れていてくれてよかった」


 親父達は俺の死を綺麗サッパリ忘れていてくれてよかった。だが、妹達はどうかな?親父達と同じように忘れていてくれると助かるんだが……さて、妹達の確認だ


「妹達は忘れていてくれてるかな?」


 何もしてないのにテレビ画面の場面は親父達の様子から妹と幼馴染の会話している場面へと切り替わった


『あれ?何かとても悲しい事があったと思うんですけど美緒(みお)さん、何か知りませんか?』


 茉央(まお)……………


『茉央ちゃんも?実は私も悲しい事があった気がするんだけど、思い出せなくて……』


 美緒……………


「し、白石さん……」

「何ですか?」

「言われた通りに白石さんに関係のある人達はこのように記憶を消しましたけど……これでよかったんでしょうか?」

「ええ。これでいいんです」


 俺は神様と目を合わせる事なく答える。これで親父達は悲しみを背負う事なく普段通りの生活を送れる。だから、これでいいんだ……


「で、でもッ!!こんなの悲しすぎます!!」


 神様の言う通り、俺は残酷な事をしているのかもしれない。だが、悲しみをいつまでも引きずるよりはマシだ


「いいんですよ」


 俺は振り向く事なく答える。人の死を軽んじるわけでも死者を冒涜するわけでもない。だが、死んだ者として言うなら自分の死を乗り越えて前に進んでほしい


「で、でも……でもぉ……」


 振り向かなくても神様が泣いているって事くらいはわかる。でも、俺が神様の立場だったらどうだろう?いくら自分が原因とはいえ他人の為に涙を流すだろうか?


「いいんですよ。それより、この後の話をしませんか?」


 いつまでも俺の事で泣かれても困る。それよりもこの後の話をしたい。主に俺がどうするかって話を


「白石さん!!」

「何ですか?そんなに叫ばなくても聞こえて───────────────」


 面倒だと思いつつ神様に叫ばなくても聞こえていると言おうと振り向く。だけど、神様に抱き着かれてその先が言えなかった


「どうして?どうしてあなたは自分の親しい人に対して冷酷になれるんですか!?白石さんを死なせてしまったのは私ですが、こんなの残酷過ぎます!!」


 抱き着かれて顔は見えないので声だけで判断するが、神様は泣いていると思う。表情は見えないけどな


「神様の言う事は正しいです。ですが、俺は自分がした選択を間違ってるとは思いません」


 俺は自分のした選択を間違ってるとは思わない。俺なら大切な人が死んだら何年もズルズルと引きずるだろうし


「で、でも……」

「いいんです!!」

「─────!?」


 神様が何かを言う前に叫んでその先を言わせない。俺がそれでいいって言ってるんだ!俺がどうするかは俺自身が決める!


「これから俺がどうするかを決めたいんで離れてもらってもいいですか?」

「はい……」


 ションボリしつつも神様は俺から離れる


「やっぱり泣いていましたね」


 俺から離れ、顔を上げた神様の目を見ると案の定、神様の目は真っ赤に腫れていた


「いけませんか?神様であろうと何であろうと悲しい時は泣くんですよ!!」

「別にいけないとは言ってません。ですが、忘れないでください。俺が死んだのはあなたのせいです」

「はい……」


 神様が忘れないように釘を刺しておくが、俺が死んだのは神様のせいだ


「さて、暗い話はこれくらいにして、これからの話をしましょうか?」

「はい……」

「俺は元の世界に帰れません。ですが、異世界に転生するつもりなんて毛頭ありません」

「はい……」


 元気がない神様に俺は今の自分の状況の確認と自分の意思を伝える


「ですが、神様的には俺が異世界に転生しないと困るんですよね?」

「…………いいえ」


 そうそう、いいえって……え!?いいえ!?ラノベとかだとこういう場合って異世界に転生してくれなきゃ困る的な展開じゃないの!?


「え!?この展開なら異世界転生しなきゃ困る展開じゃないんですか!?」

「いいえ、言うほど困るってわけじゃありませんし、天国に行くも異世界転生するもその人の自由です。ですが、私の力を持っている白石さんは普通の人間の魂じゃありませんから天国に行くのは不可能ですけど……」


 神様の力を持っている俺は天国に行けないって事は異世界転生しか選択肢がないって事か?


「じゃあ、俺に残された道は異世界転生しかないじゃないですか?」


 元の世界に戻るのがダメ、神様の力を与えられたことによって天国に行くのもダメ。じゃあ、残る選択肢は異世界に転生するしかない。俺、異世界に転生する気なんてサラサラないんだけどなぁ……


「いいえ、もう一つあります」

「え?」


 元の世界に戻るのがダメで天国に行くのもダメなら残る選択肢は異世界転生しかない。だが、神様はもう一つあるって言うけど、もう一つは何だ?


「神の使いとしてここに残るって選択肢があります」

「え?」

「で・す・か・ら!私の使いとしてここに残るって選択肢がありますって言ってるんです!」


 聞こえなかったんじゃなくて信じられないから聞き返したんですけど……


「いや、聞こえなかったんじゃなくて信じられないから聞き返したんですけど……」


 俺が勧められて読んだラノベだとこういう場合は何が何でも異世界に転生させたがるんじゃないのか?


「信じられませんか?」

「ええ、俺が友達に勧められて読んだラノベではこの場合は何が何でも異世界に転生させられるものなんですけど……」


 強引にではないけど、神様が原因で死んでしまった場合とかだと大体は異世界に転生するパターンが多い。だけど、この神様は違うみたいだ


「まぁ、小説だとそういう展開が多いですけど……別に異世界転生がすべてじゃありませんし、それに、白石さんはチート能力やハーレムを望んでないし、どうしても異世界に行きたいってわけでもないですよね?」

「まぁ、そうですけど……」

「じゃあ、いいじゃないですか」


 別に異世界転生やチート能力、ハーレムには興味ないし、異世界に行きたいとも思わないので神様の使いでもいいけど


「まぁ、異世界転生やチート能力、ハーレムには興味ないですから神様の使いでも構いませんけど」

「じゃあ、決まりですね!」


 異世界転生を拒否した俺はよく言えば神様の使い。悪く言えば神様のパシリになりました。これからどうなる事やら……



今回は洋平がどうなるかでした

天国に行く事も元の世界に戻る事もできず、異世界転生を拒否し続けた洋平は第三の選択肢を神様から提案され、それを選びました。そんな洋平は次に行く世界はどんな場所になるのか


感想等があれば気軽に感想欄へ書いていただけると嬉しいです!

感想を書くついでに評価して頂けると作者のモチベーション向上になるので宜しくお願いします


今回は最後まで読んで頂きありがとうございました!

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