同じ物語の違う世界に行けとか言われたんだが
今回は同じ物語の違う世界の話です
甘ったれ転生者の次はどんな転生者なんでしょうか?
では、どうぞ
「今回は転生者が甘ったれなところを除くと楽な世界だった」
「大剣やカードを届けに行った時は大変だったの?」
「そりゃ、大剣を届けに行った時は転生者と魔王の戦っている最中のところだったってのもあるけど、初めてだったから大変だったというよりも疲れたってのが大きいし、カードの時はルールとゲーム名を調べなきゃいけなかったから手間が掛かったな。そういう意味ではどちらの世界も大変だったよ」
大剣やカードを届けに行っただけという話だけならお使い程度の話だけど、戦っている最中の場所に飛び込んだり、転生者がいる世界に行ったはいいけど、その転生者が意識不明だったり、全くトレーディングカードゲームを知らない人間がトレーディングカードゲームのカードを届けるだなんていうのは俺的には無謀だと思う
「そっかぁ……でもなぁ……」
「でも何だ?」
転生者の少年に届け物を届け、無事、自分の仕事を終えたというのに神子の浮かない表情の神子。どうしてそんな表情なんだよ……
「あ、うん、『マスクヒーロー・タイム』の世界は一つじゃないんだよ」
そりゃ世界は一つじゃないと思うけど、俺からしてみればそれがどうしたと聞きたい。っていうか、神子が浮かない表情をするのと世界は一つじゃないって言うのと何の関係があるんだろうか?
「そりゃ世界は一つじゃないと思うよ?特に既存の物語の世界だったら尚更な。でも、このタイミングで俺にそれを言う意味は?」
「実は……洋平にもう一つ行ってほしい世界があって……ね?」
「いや、“ね?”じゃなくて、届け物がないんだけど?」
直接見たわけじゃないから何も言えないけど、俺は転生者の少年に届け物を届けたし、届け物がない以上、別世界だとしても同じ物語の世界に行く意味が理解できない
「届け物はないんだけど、なんて言うか、転生者の子を励まして来てほしいんだけど……」
届け物を届けに行っただけなのに無理矢理悩み相談に乗せられたけど、今度はガチの悩み相談かよ……
「届け物をしに行っただけなのに無理矢理悩み相談に乗せられたのに今度はガチの悩み相談かよ……ぶっちゃけ俺は男の惚気話や悩み相談に乗るのはもう疲れただんだけど?」
ハーレム少年然り、甘ったれ転生者然り、俺は今まで男の悩み相談ばかり乗ってきた。別に悩み相談に乗るのはいい。しかし、男の悩み相談に乗るのがだんだんしんどくなってきた
「大丈夫!今度の転生者は女の子だから!」
「あ、そう……」
転生者が男か女かなんてこの際どうでもいい。問題なのはその転生者が何に悩み、何に苦しんでいるのかだ
「洋平、女の子の転生者に会うの初めてだけど、嬉しくないの?」
届け物を届けたり、悩み相談がなければ彼女がいる身でありながらも少しだけ嬉しいと思ってしまう。しかし、そう思うのはその時の俺のテンションによるから結局は嬉しいとも嬉しくないとも言えないんだけどな
「別に嬉しくはないな」
「どうして?女の子に会えるんだよ?」
不思議そうに俺を見る神子。コイツは俺が別の女に会いに行く事に対して嫉妬とかしないのか?
「付き合っている女がいるのに別の女に会いに行くほど俺はチャラくない」
「よ、洋平……」
俺の言葉に頬を真っ赤に染める神子だが、彼氏に対して別の女性に会いに行けって言うのはどうなんだろう?
「神子、俺は転生者の女の子に会いに行くのは別にいいけど、それって神の使いとしての仕事で行けって事でいいんだよな?」
「うん、そうだけど?それ以外で何かあるの?」
「いや、仕事ならいいんだ」
俺が懸念していたのは神子が嫉妬してしまうんじゃないか?という事だ。仕事とはいえ、自分の好きな人が別の異性に会いに行く。俺だったら少なからず嫉妬する
「うん。本当は私だって洋平が他の女の子に会いに行くのは嫌だけど、あくまでもそれは洋平の彼女として嫌だっていうのであって神様としては困っている転生者は放っておけないんだよ」
「そうかい。ま、俺が別の女に恋愛感情を抱くだなんてありえないんだけどな」
「え?どうして?転生者の中には私よりも可愛い娘はいるのに?」
転生者の女に恋愛感情を抱くだけ無駄だ。そもそも俺は異世界転生を拒否したんだから、その転生者にッ恋愛感情を抱いてその世界に留まり続けるって事は俺が異世界転生を受け入れた事になる。
「俺は異世界転生を拒否したし、神様の力の一部を持つ俺が異世界転生なんてしたらチート能力持ちになるだろ?俺は異世界転生にもチート能力にも興味はない。それこそ転生者と付き合ったら俺は異世界転生を受け入れた事になる。異世界転生するくらいなら神子がいるこの部屋でヒモみたいな生活していた方がマシだ」
情けない理由だが、俺は異世界転生するなら神様とはいえ彼女の部屋でヒモのような生活をしていた方がいい。
「情けない理由だけど、洋平が私から離れたくないって事を聞けて私は満足だよ」
「それならよかったよ。それで、話は転生者の女に戻るんだが、ソイツは一体何に悩んでいるんだ?」
これ以上俺の情けない部分について掘り下げていても仕方ないので転生者の女に話を戻す
「うん、その娘は私が見た時は怪人をバッサバッサ倒してたし、強敵が現れてもめげずに頑張っていた。だけど、ある事がキッカケで戦う気力を失ってしまったんだ」
「ある事って?」
バトルもので出てくる『ある事』っていえば大体相場が決まっている。例えば『自分の戦う理由を見失った時』『力が暴走し、無関係な人間を傷つけてしまった時』『自分の大切な人を目の前で傷つけられた時、または死んだ時』ってね。転生者の女の悩みがこの三つのどれに該当するかは知らないけど、できる範囲で悩み相談に乗れればと思う
「その娘の好きな人が目の前で敵の攻撃を受けて意識不明の重体になったの……」
「そのパターンかよ……」
「そのパターンって?」
「あー、特撮ヒーロー然り、バトル漫画やバトル小説然り、戦いがある物語には大抵主人公が戦意喪失するシーンがあるんだけど、そのパターンに『自分の戦う理由を見失った時』『力が暴走し、無関係な人間を傷つけてしまった時』『自分の大切な人を目の前で傷つけられた時、または死んだ時』っていうのがある。その転生者の女の悩みは三番目だと思う」
俺は異形のものと戦った事なんてないし、戦いに理由を求めた事もない。もちろん、暴走し自分が制御しきれない程の力を得た事もない。自分の大切な人を目の前で傷つけられて事も大切な人が目の前で死んだなんて経験もした事なんてない。そんな俺が転生者の女に会いに行ってなんて言うんだよ?
「そう……それで、洋平、その女の子に会いに行って慰めてきてくれないかな?」
「その女に会いに行くのはいい。だけど、慰められる自信はない」
「そんな……」
神子と転生者の女には悪いけど、下手な慰めは逆に怒りを買ってしいかねない
「転生者の女を慰めるよりも意識不明になっている方をどうにかした方が手っ取り早いと思うぞ?意識不明って事はまだ助かる可能性があるんだからな」
転生者の女を慰めるよりも意識不明になっている奴をどうにかした方が早い。しかしだ。意識不明の人間に朝だから起きろと言ったところで聞こえはしない。
「じゃあ、意識不明の男の子の精神世界に行って早く起きるように説得してきて!」
神子さん?最初に言ってた事と違いますけど?まぁ、意識不明で夢の中を彷徨っている人間の精神世界に行って神の使いを名乗ってた方がまだ楽だとは思うけど、俺は人の精神世界に入る方法なんて知らないんだけど?
「いや、それはいいけど、俺は人の精神世界に入る方法なんて知らないし、そもそも俺って人の精神世界に入れるの?」
俺は届け物を届ける時に怪我をしない程度の力さえあればいいっていう名目で水を司る力を貰った。しかしだ。今回は意識不明で夢の中を彷徨っているだろう人間の精神世界に入れときたもんだ。今まで俺はそんな事したことなんてない
「私の力なら一応、人に幻覚を魅せる事も人の精神世界や夢に入る事もできるよ?」
「マジで!?って事は俺も?」
「う、うん、洋平が持っているのは私の力だからやってやれない事はないと思うけど……」
「けど?」
「できなかったら転生者の女の子を慰めてきてね?」
俺はどうやら練習なしのぶっつけ本番で人の精神世界に入らなければいけないらしい。それがダメだったら転生者の女を慰めなきゃいけないみたいだ。うん、資料持って行こう!
「ああ、わかった。だけどその前に転生者の女と意識不明だっていう奴の資料をくれ」
今回はただ転生者に会いに行くわけでもただ慰めるわけでもない。人一人の命が掛かっているかもしれない一大事だ。下調べはじっくりしなきゃいけないと思う
「うん!今持ってくるね!」
篠崎の資料は戸棚にしまってたのに今回は資料を取りに寝室まで行ってしまった。やっぱり女はデリケートな事まで書いてあるから保管場所を変えてるのか?
「まさか、同じ物語の違う世界に行けって言われるとは思わなかったなぁ……」
女で変身特撮ヒーローの世界に転生したっていう珍しいとは思うけど、その初めて会いに行く女の転生者が抱える悩みがこんなに重いものだとは思わなかった
「洋平!持ってきたよ!」
資料を持って元気よく戻ってきた神子とは反対にゲンナリしている俺は神子の元気な理由が知りたい。切実にそう思う
「あ、ああ、それにしても神子は元気だな?」
「洋平が女の子に会いに行くって事を考えると嫉妬で狂ってしまいそうになりそうなんだよ……でも、神様としては転生者が困っていたら助けなきゃいけないのが私の仕事の一つだし……どうしていいかわからないんだよ」
彼女としての感情を優先させるべきか、神様としての仕事を優先させるべきか悩んだ結果が無駄にテンションが高い神子ってわけか
「神子、俺が好きなのは神子だけだ」
「うん……」
「彼氏として神子が嫉妬してくれるのは嬉しい。だけど、転生者に会いに行くのは仕事だ。それが男でも女でも変わらない。だから、待っててくれないか?帰って来たら思い切り甘えていいから」
「うん!わかった!」
俺は神子から資料を受け取り、転生者の女の元へ向かうべく部屋を出た。同じ物語の違う世界に行くってのはなんだか複雑な気分だけど、これも仕事だから仕方ない。
今回は同じ物語の違う世界の話でした。
今回の話が後に重要になってくるはずだと思います
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今回は最後まで読んで頂きありがとうございました!




