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持ち帰ったカードの名前がとんでもないものだったんだが

今回は持ち帰ったカードを元にゲーム名等を調べる話です

新年最初の更新です。持ち帰ったカードはどんな名前なのでしょう……

では、どうぞ

 少年のデッキからカードを一枚拝借し、神子の部屋に戻った俺はある事が気になっていた


「なぁ、神子、一つ聞きたい事がある」

「ん?何?」


 ゲーム名とルールを調べる為にカードを一枚拝借して戻ってきたはいいけど、その間、少年はどうなっているんだろうって事だ


「ゲーム名とルールを調べる為に俺は詩央君のデッキからカードを一枚拝借してきたわけだけど、その間に俺が行った世界の時間はどう流れるんだ?」


 篠崎の世界では俺が滞在している間は時間は俺に合せて流れていたようだけど、今回は異世界に行ってその世界のものを持って戻ってきた。そうなった場合はどうなるんだろう?


「洋平が異世界からものを持って帰って来たからその世界の時間は洋平がいた時と変わらないスピードで流れているよ」

「え?そうなの?」

「うん。あれ?言ってなかったっけ?」

「聞いてないな」


 俺が聞いた説明は俺が異世界から帰って来てからの時間の経過についての説明は聞いたけど、俺が異世界からものを持って帰ってきた場合の事は聞いてない


「じゃあ、改めて説明するけど、洋平が異世界に行っている間と洋平が行った先の世界からものを持って帰って来たらその世界の時間の流れは洋平がいた時と変わらないスピードになるんだよ」

「つまり、俺が異世界からものを持って帰って来たらその世界から一部が欠けるって事か?」

「うん。それより、洋平は調べものしなくていいの?」

「そ、そうだった!調べもの調べもの」


 異世界の事に聞き入って調べものを忘れるところだった


「『音痴ゴリラ』か……なんつーネーミングしてんだよ」


 少年から借りてきたカードを見た。それにしても、このカードを作った制作側のネーミングセンスを問いたいところだけど、カードの名前よりも効果の方が重要だ。あの少年もカードの効果を重視してデッキに入れたに違いない


「『音痴ゴリラ』って……洋平、もう少しマシなカードを借りて来れなかったの?」


 ジト目で俺を見る神子。俺だって好きで『音痴ゴリラ』だなんてふざけた名前のカードを借りてきたわけじゃない


「適当に選んで借りてきたんだ。俺のセンスを問われても困るし、そもそも、名前を考えたのは俺じゃない」

「それはそうだけど……」

「カードのネーミングについてとやかく言ってたら調べものができない」

「それもそうだね」


 俺はパソコンを立ち上げ、検索サイトに『音痴ゴリラ』と入れて検索してみる。間違っても某アニメのガキ大将じゃないぞ


「『音痴ゴリラ』っと……マジか」


『音痴ゴリラ』と検索した結果、トップに出てきたのは俺が少年から借りてきたカードだった。


「洋平、何か見つけた?」

「ああ、俺が欲しい情報は見つかった」


 あんなふざけた名前のカードが本当にあるとは思わなかった。いや、こうしてカード化してるんだからあるに決まってるんだけど


「じゃあ、次はゲーム名だね」

「ああ」


 俺は見つけた公式サイトにアクセスした。


「なになに?『ファンタジーファイト』か。どうやらこの『音痴ゴリラ』は『ファンタジーファイト』ってゲームに使用されるカードみたいだな」


 ゲーム名は解った。そして、その公式サイトからルールも解った。といっても基本的なルールとデッキレシピはあったけど、大会で優勝できるようなデッキレシピはなかったけど、俺はこのゲームで大会に出る気は毛頭ないので関係ないけど


「洋平、何かわかった?」

「ああ、ゲーム名と基本的なルールはわかった」


 俺の隣りからパソコンの画面を覗き込む神子


「へぇ、じゃあ、説明してくれる?」


 俺のいた世界じゃトレーディングカードゲームは男子だけのものと思われがちだけど、意外と女子もやっている。結論を言うなら神子に理解できない事はない


「ああ、まず、このゲームはモンスターと魔法を駆使して闘うゲームらしい。デッキ枚数だけど、デッキ枚数は五十枚で一つのデッキに同じカードは四枚まで。で、ゲーム開始時に任意の枚数マリガンできるらしい」


 俺はサイトに書いてある事を軽く説明する。ひょっとしたら理解しづらいところもあるかもしれないけど、神子はこの説明で理解してくれただろうか?


「ゲームの概要とデッキの枚数はいいとして、洋平」

「何だ?」

「マリガンって何?」

「あっ、ヤベ、神子はマリガンを知らない事をすっかり忘れてた」


 トレーディングカードゲームをやっていない人には理解しづらい言葉を使ってしまった……ウッカリしてたなぁ


「洋平?」

「あ、ああ、マリガンってのはカードゲームをする際、初期手札の内容があまりにもひどい場合、引きなおしを認める場合があるんだが、この行為あるいはルールをマリガンと呼ぶ事があるんだ。ゲームによっては違う名前で呼ばれることもある。まぁ、カードゲームによってはルール上できないものもあるし、枚数が決まっている場合もあるから枚数に関してはハッキリこうだって断言はできないけどな」

「そうなんだ。で、このゲームの場合はどういう手札だとマリガンするの?」


 神子の質問は答えるのに難しい。手札事故の場面を聞かれるよりも理想の手札を聞かれた方が助かるんだけど


「そうだな。このゲームの場合は理想の手札が初手にコスト1から5のカードがバランスよくあるのが理想だ。つまり、バランスの悪い手札だった時はマリガンした方がいいらしい」

「ほえ~、そうなんだ~」


 説明が終わった頃に神子は目が点になり、呆けていた。説明しといてなんだが、ゲームって時々専門的な用語が飛び交うから面倒だ


「ああ。それで『ファンタジーファイト』のチート級のカードを四枚ほどくれ」


 今回の転生者は全てのカードを貰ったらしいが、そのカードを駆使しても勝てない相手だったという事になる。ならば、神様の力が宿ったカードをデッキに入れ使用したら勝てるかもしれない


「それは別にいいんだけど……」


 いいけど何だ?使えば代償があるとかか?


「けど何だ?」

「神の力をポンポン使われたら世界に影響が出るから条件付きになるんだけど、それでいいかな?」


 神子の言う通り神様の力をポンポン使われたら世界の崩壊に繋がるかもしれない。まぁ、条件付きでも何でもとりあえず少年が勝てたらなんでもいい


「それでいい。今回は少年が勝てればそれでいい。この戦いが終わればカードが消えるようにでもしとけばそれでいいだろ?」

「うん。それでいいならそうするけど……」


 何だ?乗り気じゃないな


「どうした?」

「うん……気が乗らなくてね」

「どうして?」

「だって、一時的な力を手に入れてそれで勝っていいのかな?って思って」


 いつも力を与える立場の神子がそんな事を言うだなんて意外だ


「別にいいんじゃないか?アニメとかだと特別な力を得たカードって戦いの後で消えたりするし」


 カードゲームメインのアニメで特別な力を得たカードは大抵が消えたり、その人にしか扱えなかったりといろいろなパターンがある。まぁ、OCG化に伴いアニメで特別なカードとして扱われているものは効果が弱体化して世に出回るって話も聞いた事がある


「え?そうなの?私、男の子の見るアニメとか遊びとかあんまり知らないから意外だったよ!」

「ああ、アニメとかで特別な力を得たカードってのは消えたりとかその人にしか扱えなかったりとかして多用されない事が多いんだ」

「へぇ~、そうなんだ」


 意外そうな顔をする神子。いくらその人にしか扱えないカードだとしてもそれを乱用されたら面倒だから今回使ったらカードは消える。それでいいだろう


「他にもいろいろあるけど、神子の力が宿ったカードは今回使ったら消える仕様にしておいてくれ。少年の為にも神子の力が宿ったカードは一度きりの方がいい」


 人は目に余る力を手にしたら傲慢になったり、人格が変わる恐れがある


「それもそうだね。じゃあ、私の力が宿ったカードを作るね!」


 神子は祈るように両手を合わせ、何かを唱え始めた。


「さて、俺は神子がカードを作るまで一休み一休みっと」


 毎度毎度異世界に行くのはいいけど、行く世界によっては休みナシの時だってある。俺にだって休む時間くらい必要だ


「洋平、できたよ」

「え?もう?早くない?」


 一休みする間もなく神子はカードを完成させたらしい。


「うん。剣じゃあるまいし、カードを作るくらいなら五分も掛からないよ」

「あ、そう」


 せっかく一休みできると思ったのに……チクショウ


「さあ、行ってらっしゃい」

「あ、はい」


 俺は神子の部屋から出て少年のいる世界に向かう。貧乏暇なし、パシリに平穏なしってか?


「はぁ……『音痴ゴリラ』のカードは持ってきたし、神子の力を宿したカードも持ってきたからいいものの……まだあの場所にいるのか?」


 俺が最初に少年と出会った場所にいてくれると助かるんだけど……いてくれるかな?


「詩央!しっかりして!もうすぐ神様の使いの白石さんが詩央を助ける為のものを持ってきてくれるからね!」


 少年と最初に出会った場所に歩いていくと横たわる少年と必死に声を掛け続ける女性がいた。まだいてくれて助かった……


「よかった~、まだいてくれて」


 病院にでも行かれたら探すのに手間が掛かったけど、その場から動いてくれなくて助かった


「詩央!詩央!」


 女性は少年に声を掛け続けている。その目からは大粒の涙が流れており、早くしないと涙が枯れ果ててしまうのではないかと心配になる


「お、お待たせ……」


 待たせてしまった手前、元気よくあいさつというわけにはいかず、つい控えめに声を掛ける。まぁ、約束通り神の力を宿したカードを持ってきたから多分、問題ないはずだけど……今更ながら俺は神子に少年を目覚めさせる力をカードに宿してくれとは言ってないからカードを渡して大丈夫かという不安はある


「し、白石さん!神の力を持ってきてくれたんですよね!?詩央を……詩央を助けてくれるんですよね!?」


 女性が俺に詰め寄ってきた。この女性にとって少年がどんな存在か俺は知らないけど、きっと大切な存在なんだろう


「あ、ああ、神の力を宿したカードはちゃんと持ってきた。そのカードを詩央君に渡せば目覚めるはずだ」


 詳しい事を神子に何も言ってないから少年を目覚めさせる力がカードに宿ってるかは知らない。無責任かもしれないけど。それに、俺がいない間、神子が何をしているかなんて知らないからこの世界の様子を知っているかどうかすらわからない


「神様の力を宿したカードを詩央に渡せばいいんですね!?」

「ああ、そうすれば詩央君は目覚めるはずだ」


 絶対とは言い切れないけど、神子の力を持ったカードだ。少年の意識くらい取り戻せるはずだ


「そのカードください!」

「あ、ああ、これだ──────────」


 これだよと言い切る前に女性は神子の力を持ったカードをひったくるように俺の手から持ち去った


「詩央!神様の力が宿ったカードだよ!お願い!目を覚まして!」


 女性は少年の手にカードを持たせる。持ってきといてなんだけど、目が覚めるかどうかは俺にすらわからない


「うっ、ううっ……ここは?ぼ、僕はどうして……?」


 少年が目を覚ましたようだ。目覚めたてで意識はまだハッキリしてないけど。さて、神子の力を宿したカードは少年の手に渡ったし、あとは『音痴ゴリラ』のカードを返して俺の仕事も終わりだ


「詩央……しお~!!」


 目覚めたての少年に抱き着く女性。目覚めて嬉しいのは解るけど、目覚めたての人間に思い切り抱き着いたらマズイんじゃ……


「し、詩音(しおん)姉さん……く、くるしい……」


 思った通り目覚めたての人間に抱き着くのはマズかったみたいだ。それにしても、あの女性は姉だったのか……


「あ、ごめん!でも、詩央が目覚めたのが嬉しくて……」

「ごめん、心配を掛けたね」

「うん……」


 それからしばらく少年達は抱き合い続けた。俺が近くで見ているのを忘れて。っていうか、さっさと『音痴ゴリラ』のカードを返したいんだけど……疑うわけじゃないけど、第三者である俺からしてみれば姉と弟ってより恋人同士に見えるのは気のせいかな?




今回は持ち帰ったカードを元にゲーム名等を調べる話でした

少年が目覚めて後はカードを返して帰るだけとなりました。少年と女性の関係が義理なのかどうかは次回!


感想等があれば気軽に感想欄へ書いていただけると嬉しいです!

感想を書くついでに評価して頂けると作者のモチベーション向上になるので宜しくお願いします


今回は最後まで読んで頂きありがとうございました!

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