とりあえずカードゲームメインの世界に行く事にしたんだが
今回はとりあえずカードゲームメインの世界に行く話です
洋平は無事にカードを拝借する事ができるのか?
では、どうぞ
「神子、聞きたい事があるんだけど、いいか?」
カードゲームメインの世界で異変が起きているのを見た俺と神子。俺はその世界に行く前に神子にデッキと同じカードをデッキに複数枚投入する意味について軽く説明した。だけど、問題はここからだ。細かいルールの説明をするにしてもゲーム名がわからないんじゃ話にならない
「何?ゲーム名とルール解った?」
「いや、それ以前の問題だ」
「それ以前の問題?どうしたの?」
「ゲーム名とルールを調べるにしてもパソコンかスマホがないと調べられない」
今言った通りパソコンかスマホがないとゲーム名とルールを調べる事ができない。テレビがあってもそれは普通に観るものではなく、異世界での異変を調査する為のもので一般的なテレビじゃない
「そう言えばそうだったね。ちょっと待ってて」
「ああ」
神子は戸棚からノートパソコンを取り出した。神様でもパソコン使うんですね……
「はい、パソコン」
「あ、ああ、ありがとう。ちなみになんだが、これってネットには──────」
「繋がるよ!」
「あ、そう」
神様の部屋って何でもあるんだなと改めて実感した。パソコン出てきたし。それに、ネットも使えるとか……神様マジ万能
「さて、調べますか……あ」
「今度はどうしたの?」
ゲーム名やルールを調べるにあたって最も重要な事を忘れていた
「トレーディングカードゲームと一言で言ってもいろんな種類がある。いたずらにトレーディングカードゲームって検索しても種類が多すぎて見分けが付かないのを忘れてた……」
トレーディングカードゲームで検索すると膨大な数がヒットする。例えば、ドラゴンで検索した場合、題名にドラゴンと入っているもの、ドラゴンと名のついたカード、それ関連。つまり、何かゲーム名が必ず特定できるキーワード必須になってくる
「ええっ!?それじゃあどうするの!?」
種類が多いと聞いて焦る神子。対してキーワードさえ解れば何とかなると安心しきっている俺。この温度差は経験者と未経験者の差だろう
「焦らなくてもキーワードさえわかればゲーム名なんてすぐに特定できる。神子、少年が転生する前に具体的なカードを要求されなかったか?あのカードは絶対に持って行きたいとか」
少年が転生する前に具体的なカード名を言ってたのならまだ希望はある。指定されてなかった場合は……とりあえず少年の元へ行ってゲーム名だけ聞いて帰って来よう
「うーん、そういえば転生前に持って行きたいカードについて言ってたっけ……」
「それは何て名前のカードだ?」
神子が思い出してくれればルールを調べる事ができる!
「思い出せない……何か言ってはいたんだけど……」
マジか……
「そうか……ま、カードゲームが趣味じゃなきゃ覚えてるわけないか」
「ごめん……」
ションボリする神子。思い出せないだけで俺は怒ったりしない
「別にいい」
「でも……」
「趣味じゃなきゃ覚えてるわけないし、俺がこの少年の元へ行きゃいいだけの話だ」
「ごめん……」
「いいって」
趣味じゃなきゃ覚えてないのも当然だし、それに、行って確かめればいいだけの話だ
「ごめん……」
「謝るな。それより、ちょっと少年の元へ行ってくる」
「うん……」
座っていた俺は立ち上がり、玄関に向かった
「じゃあ、行ってくるな」
「うん……」
俺は靴を履き、玄関のドアを開け、少年の元へと向かった
「マジか……」
この世界は俺のいた世界と似て非なる世界。具体的にどこが違うかと言うと、カードゲームの種類が一つしかない。それはいい。問題はカードゲームによって世界の明暗が決まる世界であり、モンスターの攻撃でビルが簡単に吹き飛ぶ世界だってところだ。まぁ、それは特別な力、特別な装置を使った場合だと思うけど
「確かこの辺りだったよな……」
俺は半壊したビルが並ぶ街を歩き出す。テレビで見た限りじゃこのビル街の奥で少年は誰かとバトルをしていた。
「こんな事なら資料がないか確かめておくべきだった……」
資料で住んでる場所くらいは特定できた。しかし、今回俺はそれをしなかった
「はぁ……これじゃ探しようがない」
今までは着いたら目的の人物がそこにいたり、資料を貰っていたから目的地に迷わず行けたり、死安さんが一緒だったから案内してもらえたりと苦労する事はあんまりなかった。だけど、今回はノーヒントなのでどこから探せばいいか迷う
「ちょっと!詩央!しっかりして!詩央ってば!」
探そうと思っていた少年─────詩央に呼びかける女性の声がした。
「詩央!死んじゃヤダよ!詩央ぉぉぉぉぉ!!!!」
女性の悲痛な叫び声が瓦礫と化したビル街に響く。
「はぁ……目的の少年が見つかったかと思えば生死の境を彷徨ってるところに遭遇するとは……」
大剣を届けに行った勇者はボロボロだった。ハーレムに悩む少年はボロボロじゃないにしろ暗いオーラを出していた。篠崎は無傷だったけど、復讐に燃えていた。死安さんが魂を消し去った転生者はこれと言った特徴はなかったから覚えてない。今まで四つの世界で主要人物に会ってきたけど、生死の境を彷徨っている奴は初めてだ
「カードを届けるより先に治療が先になるとは……」
愚痴をこぼしても仕方ないので俺は詩央と呼ばれる少年の元へ向かった。本当に勘弁してくれよ……
「詩央……お願い、目を開けて……」
泣きながら詩央と呼ばれる少年に縋りつく女性。
「ねぇ、そこの人」
俺は詩央と呼ばれる少年に縋りつく女性に声を掛けた。倒れている人間を目の前にして俺に何ができるのかはわからない。だけど、この世界でメインのカードゲームの名前を知らなきゃ話が前に進まない
「わ、私ですか……?」
泣いていたから当たり前だけど、目は真っ赤に腫れ、鼻は赤い
「そうだよ。さっき泣きながら詩央って呼んでたみたいだけど、その詩央君がどうしたの?」
俺は生死の境を彷徨っているって事は知ってたけど、あえて知らないフリをして状況を聞いてみた
「さ、さっきバトルに負けて……そ、それで、倒れたきり目を覚まさないんです……お願いです!詩央を……詩央を助けてください!!」
土下座する勢いで俺に頼み込む女性。だけど、俺にはこの少年を助けられる力はなない
「と、とりあえず落ち着いて!こんな時に一番近しい人である君が取り乱してどうするの?」
俺は取り乱す女性を一旦宥める。状況が状況だから取り乱すのは当たり前だけど、そんな時だからこそ落ち着いて対処しなきゃいけない
「そ、そうでした……詩央が倒れて私、取り乱してました……」
この女性が少年とどんな関係であるかは知らない。だけど、ゲーム名くらいなら教えてくれそうだ
「いや、それはいいんだけど、その詩央君はどうしたの?さっきバトルに負けたって言ってたけど」
「はい……さっきまでバトルをしていたんですけど、その対戦相手に負けた途端に意識を失って倒れたんです」
「そう……」
女性の話でおかしな点がある。それは、この世界はカードゲームメインだ。揉め事から世界の明暗までカードバトルの勝敗によって決まる。特別な力、特別な機械を使えばビルすら破壊できるほどの影響だ。なのに詩央と呼ばれる少年には目立った外傷がない事だ
「そうって、それだけですか!?貴方は目の前で人が倒れているのに何も思わないんですか!?」
さっきは助けてって懇願してきたクセに今度は問い詰めてくるんですか……
「別に何も思わないわけじゃない」
「だったらどうして平然としていられるんですか!?」
どうしてって何となくだけど俺はその少年が死なないって予想できるし
「どうしてって、俺が神の使いだからだよ」
何となくとか言うと目の前の女性はブチ切れそうだから神の使いだと名乗る
「神の使い?」
「ああ、信じられないと思うけど、俺は神様に言われてここに来ている。だからわかるんだよ。その少年は死なないって事がな」
俺は死安さんじゃないから人間の寿命なんて見えないけどな!だけど、淡い希望かもしれないし、口から出任せだと思われるかもしれない。だけど、ほんの僅かな希望でもないよりはマシだ
「ほ、本当ですか……?貴方が神の使いで詩央は死なないんですか?」
「ああ、全部本当だ。俺は神の使いだ」
「なら証拠……証拠を見せてください!」
毎回の事だから慣れたけど、証拠を見せろと言われると困る。だって神の使いを証明できるものが何もないんだから
「証拠を見せる前に詩央君のデッキを見せてくれ」
証拠を見せる前に少年のデッキを見せてもらわなきゃいけない。これからコイツに何が必要なのかを知るために
「デッキなら詩央の懐に入ってますよ」
カードゲームもののアニメでは敗北した人間が意識を失って倒れた場面を目にする事が多い。そう言った場合はカードが床に散乱しているものだ。それなのにどうして懐に?
「どうして懐に入っているんだ?この少年が負けた時にはカードが散らばってたんじゃないのか?」
「散らばったカードは私がまとめたんですよ。それから詩央に声を掛けましたから」
どういう事?この女性は倒れている少年よりもカードを集める事を優先させ、少年は放置したって事?
「普通、倒れている人間を優先させると思うんだけど?」
見方を変えるとこの女は薄情な奴になる。
「最初に見た時は寝てるだけだと思ってんです。こんな事が前にもありましたから」
「前にもあった?どういう事だ?」
「前に詩央が敵を倒した時、恐ろしい力を宿したカードを使った事があるんです……不適合者が使うと死に至る恐ろしいカードでしたが、詩央は適合しました。ですが……」
「あまりの強大な力ゆえに身体が耐え切れなくなり、眠ってしまった」
「はい……」
目立った外傷がなく、そこで倒れているのなら何かの病気か眠っているだけだと思う。この女性はそう思ったんだろう。しかし、今回はそうじゃなかった
「事情は理解した。できれば俺だって助けてやりたいけど、今の俺にはその力がない」
俺の力は水を司る力。生死の境を彷徨っている人間を治療する力はない
「そ、そんな……」
絶望の表情を浮かべる女性。できれば俺だって助けてやりたい
「だけど、その少年の持っているカードを一枚貸してくれたら助けられる」
「本当ですか!?本当に助かるんですか!?」
助けられるって言っただけなのに俺の方に詰め寄ってくる女性。近い近い
「ああ、本当だ……だから、一旦離れてくれ。そして、詩央君のカードを一枚貸してくれ。何でもいいから」
「ご、ごめんなさい……」
女性は俺から離れた。こんな場面を神子に見られたらどうなるか……想像もしたくない
「そ、それで、詩央君のカード一枚借りるぞ」
「はい……」
俺は少年のデッキからカードを一枚抜き取った
「さて、カードも手に入ったし、戻るか」
カードが手に入った以上、ここに長居は無用だ。さっさと神子の部屋に戻ってゲーム名とルールを調べに行くとしますか
「戻るってどこにですか?」
「神様のところだけど」
「詩央は助かりますか?」
「医学的に言うなら本人次第だ。しかし、神様の力があれば助かる」
「そうですか……」
俺は神子の部屋に繋がる扉を出現させた。神の部屋に繋がる扉を人間に見せていいのかは知らん!詳しい話を聞いた事ないし。まぁ、いい。女性の方は驚き過ぎて声も出ないみたいだし。
「じゃあ、神の力を貰ったらすぐに来る」
俺は女性にそう言い残し、神子の部屋へと戻った。
今回はとりあえずカードゲームメインの世界に行く話でした
洋平は無事にカードを拝借する事ができました。具体的な事は次回。
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