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いきなり過ぎて理解が追いつかないんだが

今回は洋平にとっていきなり過ぎる話です

洋平にとっていきなり過ぎる話とは?

では、どうぞ

 ションボリした神子を慰めた後、俺と神子はテーブルでお茶を啜っていた。失敗したクッキーは食べられない程マズイというわけじゃないし、俺は食べ物を粗末にするのは嫌いなので、お茶菓子としておいしく頂いている


「「ふぅ~」」


 神子とお茶を飲むこの瞬間に『世界は平和なんだなぁ……』と感じる事ができる。いつもの俺はそうだけど、今回の俺はそうじゃない。死安さんに『幼い頃に神子に会った事はないか?』なんて聞かれたせいで俺は神子の事を考えずにはいられない


「なぁ、神子、ちょっと聞きたい事があるんだけど、いいか?」

「うん、何?」


 神子はいつもと同じ笑顔で俺を見つめてくる


「俺って神子と幼い頃に会った事があるのか?」


 リラックスした状態なら俺が幼い頃の事を聞ける。まぁ、会った事があってもなくっても神子は神様だから俺の事を知っていても不思議じゃない


「え?いきなり何?」


 神子はキョトンとした顔で聞き返してくる。この反応は何も知らないって事でいいのか?


「いや、死安さんに『神子ちゃんと幼い頃に会った事はないかい?』なんて聞かれたから俺は神子と幼い頃に会った事あるのかなと思ってな」


 神子と幼い頃に会っていたとして何らかの約束をしていたとして、俺はその約束を忘れていた事になる。


「あ、いや、ど、どうだったかな?」


 俺の質問にしどろもどろになる神子。何かを隠してるのか?それとも、俺に口説かれているとか思ってるのか?聞く人が聞けば口説いてるようにも見えなくはない


「いや、どうだったかな?って覚えてないのか?」

「あ、うん、洋平が幼い頃って十年前かそのくらいでしょ?いくら私が神様でもそんな昔の事は覚えてないよ~」


 神子が覚えてないのは変だと思う。だけど、俺も俺でちゃんと覚えているわけじゃないから追及はできない


「そ、そうだよな!いくら神様でも十年前くらい前の事なんて覚えてないよな?」

「う、うん!」


 俺が成長するまでに何十人、何百人の死者と会って来た。そんな神様がいちいち一人の人間を覚えているわけがない。詳しい事は死安さんに聞くか


「わ、悪い、急に変な事聞いて」

「う、ううん、死安が変な事聞いたのが原因なんだし、いいよ」


 俺がした質問のせいで気まずい空気が流れる。それにしても……彼女が欲しいなぁ


「み、神子がそう言うならいいんだ」

「う、うん……」


 その後、俺達は一言も話す事なくお茶を啜り、神子のクッキーを食べた。死安さん、恨むぞ……


「よ、洋平」


 気まずい沈黙がしばらく続いたが、神子が口を開いた


「な、何だ?」


 神子がどもりながら呼ぶものだから答える俺までどもってしまった


「初の死神業はどうだった?帰ってきた時は疲れたような事を言ってたけど」

「ハッキリ言って大変だった。それこそ殺される理由のない奴だったら俺は死安さんの邪魔をしていたと思う」


 殺される理由のない奴がターゲットだったら俺は死安さんの邪魔をしていた。これは事実だ。しかし、今回の転生者は女にフラれた腹いせに世界を滅ぼそうとした。殺されても文句は言えない


「そう。でも、思うところがあったんだよね?」

「まぁな。どうして自分が告白したら女は百パーセントそれを受け入れると思いこんでいる奴が異世界に転生できたんだって思ったよ」

「うん」

「そして、同時に神子は無差別に死者を異世界に転生させてるんじゃないかとも思った」


 俺は神子の神経を少しだけ疑った。コイツは死者を無差別に異世界に転生させてるんじゃないか?って


「私だって転生させる人くらい選ぶよ~!」


 涙目で俺に抗議してくる神子。転生させる人を選んでいるのならどうして無駄にプライドだけ高く、フラれた腹いせに世界を滅ぼそうとする奴を転生させたんだ?


「選んでアレなら先が思いやられるんだけど?」

「うっ!返す言葉もない……」

「ああいう危ない奴は普通なら地獄に行くんじゃないのか?」


 天国はともかく、地獄が本当にあるのならの話だけど、今回の奴は転生させるべきじゃなかった。かと言って天国に送るのもどうかと思う。そもそも、転生させる人間の基準も天国に送る人間の基準も曖昧だ。死者本人に転生するか、天国で何百年か待って生まれ変わるかを選ばせてるんだからな


「その死者が生前に非道な行いをした場合は問答無用で地獄に送るけど、特別悪い事をしてない場合はその死者がどんな性格でも一応、転生するか天国で待って生まれ変わるか選ばせるっていうのが神の掟で定められてるんだよ」

「なるほどな」


 どうしてあの男が異世界に転生できたか神子の話を聞いて納得した。あの男は性格こそ最悪だけど、生前、非道な行いをしてなかった。だから、異世界に転生するか天国で待って生まれ変わるかのどちらかを選ばせ、その結果、あの男は異世界転生を選んだ。という事になる


「でも、転生した後で非道な行いをする人も中にはいて、そういう人を排除するのが死安の仕事なんだよ」


 そりゃ元の世界で非道な行いをしてなかったからと言って転生した先でもそうとは限らないのは当たり前だ。


「そうなのか。でも、俺のいた世界じゃ死神って人の魂を無差別に狩っているイメージがあったんだけど?」


 俺の世界じゃ死神は人の魂を無差別に狩り取っているイメージが強かった。その辺りはどうなんだ?


「それはあくまでも人間が勝手に付けたイメージだよ。死神の仕事の事を私が詳しく教える事はできないからその辺りの事は死安に聞いてくれると嬉しいな」

「わかった」


 神子が神様とはいえ、死神の仕事を全て把握しているってわけじゃない。知らない事があって当然だ。死神の仕事内容は死安さんに聞いた方がより詳しく教えてくれそうだ


「ところで、さっきから気になっていたけど、洋平の世界の死神に対するイメージってどこから来たの?」


 神子がふとおかしな質問をしてきた。死安さんの次は神子ですか?


「え?どこからって、神話とか、童話とかからだけど?それがどうかしたのか?」


 死神に限った事じゃないけど、空想上のものに対するイメージは大抵が神話だったり、童話だったりからくる事が多い。河童が緑色をしていると思うのは絵本の童話を読んだ時に河童が緑色をしていたから。死神が陰気くさいと思うのは神話に髑髏の仮面に鎌を持ったのが死神だって書いてあったりするから


「ううん、洋平の世界は勝手なイメージで物事を決めているだなと思って」


 確かに、俺の世界は『きっとこうだったんだろう』『よく知らないけど、そうに違いない』という勝手なイメージが多い。例えば恐竜だ。化石が発見されているからいた事は確かだろうけど、実際の色まではわからない。だけど、恐竜図鑑とかを見ると恐竜に色が付いてる事が多い。ま、俺は別に人が勝手に付けたイメージには興味ないけど


「確かに俺の世界は『きっとこうだったんだろう』『よく知らないけど、そうに違いない』という勝手なイメージが多いな。死神然り、神様然り。だけど、俺は人が勝手に付けたイメージには何の興味もない。確認しようがないものに偏見を持つだけ時間の無駄だ」


 死安さんと初めて会った時、死神は陰気くさいと思っていた。しかし、それはあくまでも俺のイメージだ。しかし、実際に会ってみると爽やかなイケメンだった。勝手なイメージを押し付けるのはエゴというものだ


「そうなんだ……ところで、神様が女だって知った時はどう思ったの?」


 神子さん?質問の意味がよく解らないんですけど?


「質問の意味がよく解らないけど、別に何とも思わなかった」

「ど、どうして?」

「どうしてって、神様が男だって誰が決めたんだ?神様がヨボヨボの爺さんだって誰が決めたんだ?そもそも、俺達人間は神様に会った事がないんだから確認しようがないし、別に神様が女でも、ヨボヨボの婆さんでも俺は気にしない」


 神様が男だって証拠もヨボヨボの爺さんだって証拠もどこにもない。それに、女神が存在するくらいだ。神様が女であってもヨボヨボの婆さんでも俺は気にしない。気にしたところで無駄だし


「そ、そうか……って、ちょっと待て」

「ん?何だ?」


 心なしか神子の声のトーンが低くなったような気がするけど、俺、地雷踏んだ?


「誰がヨボヨボの婆さんですって?」


 俺は神子にヨボヨボの婆さんだってハッキリ言った覚えはないんだけど?どうしてそんな鬼のような形相をしているのかな?


「俺はイメージの話をしたのであって神子がヨボヨボの婆さんだって話した覚えはないんだけど、どうして神子はそんな鬼のような形相なのかな?」

「わ・た・し・は婆さんじゃなーい!!」


 テーブルをひっくり返さんばかりの勢いで怒る神子。俺には神子が怒るポイントが理解できないよ!!


「お、落ち着け!俺は神子がヨボヨボの婆さんだなんて言ってないだろ!?」

「だ、だって!洋平に婆さん呼ばわりされた!私まだピチピチなのに!」


 いやいや、神子さん?俺達人間の倍は歳食ってるのにピチピチって言うのはキツイと思いますよ?そりゃ見た目だけで言えば二十代前半でも通ると思うけど


「わ、悪かった!俺が悪かった!神子はまだピチピチだ!大丈夫だって!神子はまだ若い!俺の世界じゃ女子大生で通るから!俺が保障するから!」

「ほんと……?」


 テーブル越しに俺を上目遣いで見る神子。女子大生で通るというのは嘘じゃない。神子の容姿なら本当に女子大生で通りそうだ


「あ、ああ、本当だ」

「じゃあ、私が洋平の世界にいたら洋平は私をナンパしてくれる?」


 何を聞いてるんだコイツ?


「も、もちろん!」


 とりあえずこれ以上騒がれない為にも俺はもちろんって答えた


「洋平は私が告白したら付き合ってくれる?」

「あ、ああ、もちろん!」

「私がプロポーズしたら受けてくれる?」

「も、もちろん……」

「じゃあ、私と付き合ってくれる?」

「もちろん!」


 ん?今なんて言った?『私と付き合ってくれる?』って言わなかった?


「やった!じゃあ、今から私と洋平は恋人同士だね!」


 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?いやいや!待て待て待て待て!!どうしてそうなる!?展開がいきなり過ぎてついて行けないんだけど!?え?何?どうしてこうなった!?


「いやいや、展開が急過ぎてついて行けないんだけど!?どうしてこうなった!?アレか?ドッキリか!?」


 急展開過ぎて俺には何が何だか理解できない


「ドッキリでも何でもないよ!私は洋平が好きなんだよ!」


 だーかーら!!好かれる事をした覚えもなければ今までそんな素振りを見た事ないのにどうしてだって聞いてんだよ!!


「いやいや、俺は神子から好かれる事をした覚えはないし、神子は神子で俺の事を好きだって素振り見せなかっただろ!?」


 一目惚れって可能性もないとは言い切れないけど、それってイケメンに限るだろ?それこそ死安さんみたいな!


「細かい事はどうでもいいの!!洋平はさっき私が告白した時にOKくれたよね?」


 確かに『付き合ってくれる?』って聞かれた時に『もちろん!』って答えたけど、それは遊びに行く的な意味で恋愛感情的な意味だとは思わなかったし……


「そ、そりゃ、もちろんとは言ったけどよ……」

「ひょっとして私じゃイヤ?」


 上目遣いで俺を見る神子。そんな目で見られたら断われるはずもなく……


「イヤ……じゃないです……」

「じゃあ、今から私が彼女だよ!」

「はい……」


 俺が死安さんに幼い頃の事を聞く前に神子と恋人同士になってしまった。どうしてこうなったかなんて俺が聞きたい。人生初の彼女が神様だなんて体験してるのなんて世界中探しても俺くらいのものだろう。そもそも、神子は俺のどこを好きになったんですかねぇ……






今回は洋平にとっていきなり過ぎる話でした

そんな素振り見せなかった神子のいきなり過ぎる告白。その訳は後々


感想等があれば気軽に感想欄へ書いていただけると嬉しいです!

感想を書くついでに評価して頂けると作者のモチベーション向上になるので宜しくお願いします


今回は最後まで読んで頂きありがとうございました!


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