義母と義姉二人の思いを聞いたんだが
今回は義母と義姉二人の思いです
思っているからと言って何をしてもいいと言うわけじゃないんだなぁ
では、どうぞ
里奈と由維は篠崎に首を絞められたはずなのに里奈の首には痣がなく、由維の首には痣がある。それがどうしてかなんて事はどうでもいい。今はこれから俺は篠崎をどうするかを決める方が重要だ
「篠崎をどうするか……」
正直に言うと俺は迷っている。篠崎から力を取り上げるか、それとも篠崎に力を正しく使うように説得するか
「どうするってどういう事ですか?」
俺の独り言を聞いていた里奈が尋ねてくる。どういう事も何も篠崎の力をこのままにしておくか、取り上げるのかを迷っているんだ
「篠崎から力を取り上げるか、それとも正しく力を使うように説得するかだ」
俺は一部始終しか見てないけど、おそらくコイツ等は今まで篠崎をイジメてきた。その結果が今のこの状況だ。
「そんなの決まってるでしょ。康祐からあの恐ろしい力を取り上げて」
由紀子は忌々しげに力を取り上げろと言ってくる。だけど、力を取り上げた場合どうなる?コイツ等は篠崎をどうする?またイジメるに違いない
「仮に俺が篠崎から力を取り上げたとして、その後アンタは───いや、アンタ等は篠崎をどうする?篠崎に何をする?」
力を取り上げた後、篠崎は再びイジメられ、それこそ自殺するんじゃないかと考えてしまう。コイツ等ははそれくらい信用がない
「そんなの決まってるじゃない。また前と同じようにするだけよ」
由紀子は学習能力というものがないのか?それじゃ意味がないんだよ!力を取り上げても環境が前に戻るのなら力を取り上げても意味はない
「アンタは学習能力がないのか?力を取り上げても前と同じになったら意味がない」
力を取り上げるのは止めだ。一人でも篠崎を追いつめ、前と同じ苦しめる人間がいるのなら篠崎は今度こそ自殺してしまうかもしれない。そんな事になったら元も子もない
「フン!あんな化け物みたいな力を持ってられたら怖くて安心して暮らせないわよ!」
由紀子は篠崎が人知を超えた力を手にする事の何がそんなに気に入らないんだ?そもそもが義母である由紀子が篠崎をイジメていた理由って何だ?義母が息子をイジメる理由か……
「由紀子の言っている事にも一理ある。だけど、どうして息子を邪険に扱うんだ?義理とはいえアンタの息子だろ?」
俺は人の親になった事なんてないから理解できない。しかし、そんな俺でも義理とはいえ子供ができたら少なからず愛情は注ぐ気はある。それがどうして由紀子は息子を邪険に扱うんだ?
「フン!康祐が私に懐かなかったからよ!それだけの理由じゃいけないかしら?」
自分に懐かなかったからイジメたか……なんてバカらしいんだ……
「バカバカしい。子供はおもちゃじゃないんだぞ!」
子供にだって意思がある。当然、合う合わないもだが、親として認めるかどうかも入っている。それが自分に懐かったからなんて理由じゃ俺はコイツを助ける気は起きない
「…………じゃあどうすればよかったのよ!!」
由紀子の中で何かが切れたのかいきなり怒鳴り出した
「どうすれば?何の話だ?」
「決まっているでしょ!!康祐の事よ!!私だって仲良くしたかった!“お母さん”って呼んでほしかった!でもッ!でも、康祐は私を一度たりとも“お母さん”って呼んではくれなかった!!そんな康祐とどう接したらよかったって言うのよ!!」
“お母さん”か……いつの話をしているのかは知らないけど、いきなり来た女性を母と呼べだなんて年齢によっては無理だ。受け入れがたい事だってある
「知るかよ。俺は篠崎じゃないし義理の母ができた事もない。が、息子と上手くいかないからってイジメていいって事になるかよ」
不思議と怒りは湧いてこない。俺は由紀子に同情したわけじゃない。あるのは哀れみだけだ
「私だって仲良くしようとしたわ!!だけど、あの子は死んだ母の形見のペンダントをいつも大事そうに持っていた!私達よりも死んだ者の方が大事だって言うの!?」
自分達よりも死んだ者の方が大事かだって?篠崎の性格ならどちらも大事にしたと俺は思うけどなぁ……
「どっちも大事にしていたと思うぞ?死んだ母は自分を生んでくれた人だし、アンタは自分を育ててくれた人なんだからな」
「そ、それなら……それならそうと言ってくれればよかったのに……」
由紀子は泣きながら崩れ落ちた。里奈もそうだけど、コイツも思いを上手く伝えられないだけかよ
「それならちゃんと話し合うべきだったな。イジメなんてしてたら気が付くものも気が付かないぞ。ま、これは里奈にも言えることだけどな」
「うっ……強く否定できない……」
そりゃ里奈の図星を突いたから当たり前だ。さて、由紀子の本当の思いを聞いたところで由維と茉利奈を残すだけとなったか
「由紀子、アンタの篠崎と本当は仲良くしたかったという思いは理解した。が、義理の姉であるアンタ等の思いも聞かせてもらおうか」
俺は由維と茉利奈の方へと視線を移す。別に全員の思いを聞く必要はないとけど、篠崎に近しい者の思いは最低限聞いておきたい
「わ、私達の思い……?」
由維には篠崎関係で聞かれて都合の悪い事でもあるのか?
「そうだ。アンタ達が篠崎に対して何を思うか、篠崎をどう思っているかを聞かせてはくれないか?」
幼馴染、義理の母、義理の姉二人の思いはきっと篠崎を説得する時に使えるはずだ。それを俺が伝えるか、本人達の口から直接伝えるかはその時になってみないとわからないけど
「私達が康祐に対する思いをアンタに語る意味があんの?」
俺に篠崎への思いを語る意味はない。それを俺が知ったところで意味がないからだ。だが、今のところこの世界で篠崎を止められるのは俺以外にいないだろう
「意味はない。だけどいいのか?今のところこの世界で篠崎を止められるのは俺しかいないと思うけど?」
「「…………」」
篠崎を止められるのは俺しかいないと言った瞬間、黙ってしまった。自分の力を自慢するわけじゃないけど、篠崎を止められるのは俺しかいない
「別に俺は構わないんだぞ?アンタ等が篠崎に殺されても。だけど、それじゃ神様の仕事が増えるんでね。できれば教えてほしいんだけど?」
神子の仕事が増えたら部屋が汚れるのは目に見えているからできれば殺される人間は少ない方が助かるんだけどなぁ……
「茉利奈は口下手だから私が言う。それでいい?」
「二人の思いが同じなら俺は誰が話そうと別に構わない」
由維と茉利奈が同じ思いなら語るのが誰でも構わない
「そう、ありがとう。それで、私達が康祐をどう思っているのかだよね」
「ああ」
篠崎に対する思いを聞けば説得する時に役に立つのとワンチャン篠崎を元に戻せるかもしれない
「私達は康祐を愛しているよ。もちろん、異性としてね」
頬を赤く染めながらも篠崎への思いを語る由維と頷く茉利奈。愛しているならイジメるなっての
「愛しているのならどうしてイジメたりなんかしたんだよ?」
本人の精神衛生上は決してよくないが、愛しているのなら部屋に突撃すればよかったものにどうしてイジメたりなんかしたんだ?誰がやったかは知らないけど篠崎の部屋の荒れようを見た後で愛している、仲良くしたかったと言われても信用性に欠ける
「そ、それは……少しでも康祐に意識してほしかったから……どんな形でもいいから私達を見てほしかった」
確かに篠崎は由維と茉利奈を意識したと思う。ただ、それは異性としてじゃない。憎むべき相手としてだ
「篠崎は幼馴染の後藤を含めてここにいる全員を意識してると思うぞ」
「「「「─────!?」」」」
俺の言葉に驚きの表情を見せる由紀子達。意識していると思うとは言ったが、それは異性としての意識や恋愛感情じゃない。憎むべき相手として、殺す対象としてだ
「ただ、それは憎むべき相手としてとか殺す対象としてだ。異性としてとか、恋愛感情と言ったいい感情でない事は確かだ」
「「「「…………」」」」
俺の言葉に黙り込んでしまう由紀子達。イジメられていい感情を持つ奴がいたらソイツは考えが前向きな奴かドMだ
「黙り込んでいるところ悪いが、お前達のしてきた事ってのはそう言う事だ。好きな相手、仲良くしたい相手にする事じゃあない。篠崎の事は元に戻してやる。だがな、その後でお前達がこれまでの関係に戻れると思ったら大間違いだ。常に殺されるんじゃないか?本当は私達の事を憎んでいるんじゃないか?って疑いながら生きていけ」
俺はそう言い残し、リビングを出ようとした。しかし──────
「待って!!」
里奈に引き止められた
「何だ?まだ何か用か?俺は篠崎の元へ行くんだが?」
俺は振り返る事なく応答する。
「わ、私達も連れて行ってください!!」
「どうして?お前達がいると篠崎の憎しみが増幅するかもしれないのにどうして連れて行かなきゃいけないんだ?」
今の篠崎が憎む相手の言葉に耳を貸すとは思えない
「こうなったのは私達のせいなんですよね?だったら私達が康祐を説得します!」
さっきからしゃべっているのは里奈だ。だから里奈一人の意思にも思える
「それはそれで構わない。だが、それは後藤一人の意思か?それとも、由紀子達も含めた全員の意思か?」
里奈の顔を見る為に振り返った俺が見たもの、それは────────
「私達全員の意思です」
決意に満ち溢れた目をした里奈と由紀子達だった。
「あ、そう。好きにするといい」
俺は篠崎をどうにかできればそれでいい。里奈や由紀子達が付いて来ると言うなら好きにすればいいし、仮に死んでも俺のせいじゃないしな
「「「「うん!!」」」」
この四人がいたところで足手まといにしかならないとは思うけど、連れて行かなかったら連れて行かないでうるさい。連れて行った方がいいと俺は判断した
「問題は篠崎がどこにいるかだな」
俺と篠崎は親しい仲じゃないから連絡先を知らない。そもそもが俺は携帯を持ってないからどうしようもない
今回は義母と義姉二人の思いでした
篠崎の話だけやたらと長いですが後数話で終わらせるようにしたいと思っております
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今回は最後まで読んで頂きありがとうございました!




